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科学研究費補助金により進めているプロジェクト



宇宙有機物の構造と同位体 (分担者)

科学研究費補助金 新学術領域研究(研究領域提案型) 宇宙における分子進化:星間雲から原始惑星系へ 平成25年度-29年度 LINK

研究の目的
天文観測により星間分子雲には複雑な分子の存在が確認されている.また,隕石等の地球外物質中には水素や窒素の重い同位体が濃集した有機物が一部存在しており,分子雲起源の可能性が指摘されている.しかし,同位体濃縮が分子雲でどのようなプロセスでできたかは明らかになっていない.また,星間分子雲を模擬した有機物生成実験はおこなわれているが,生成過程と分子構造との関係についての研究は少ない.分子雲に続く原始惑星系での有機物形成過程についても同様にほとんど理解が進んでいない. 本研究では,難燃性有機物から可溶性有機物まで極微量有機物に対して,網羅的に分子構造を同定し,同位体を含め世界最高感度で分析する手法を開発し,実験班と協力して合成する濃縮同位体をトレーサーとした分子雲・原始惑星系模擬有機物の定性定量分析,有機化合物単位の構造解析・同位体分析を行うことにより,分子雲,原始惑星系での有機物生成過程と分子構造との関係を解明する.地球外物質中の極微量有機化合物に同様の分析方法を適用し,隕石有機物分子と分子雲分子・原始惑星系分子をリンクする新しいマーカー分子・マーカー官能基を探索する.このようにして得られる分子雲から原始惑星系までの有機分子進化解読のための知見は,炭素・水に富んだ始源小惑星からのリターンサンプルの分析研究の道標にもなる.


本研究は、次の5名の方との共同研究として進めています。
北海道大学大学院理学研究院・圦本尚義教授 (研究代表者)    LINK
九州大学大学院理学研究院・奈良岡浩教授           LINK
独立行政法人海洋研究開発機構海洋・極限環境生物圏領域・高野淑識主任研究員LINK
九州大学大学院薬学研究院・浜瀬健司准教授           LINK
京都大学大学院・伊藤正一司准教授           LINK



宇宙・原始地球環境におけるホモキラリティーの発現と増幅

科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究 平成25年度-26年度

研究の目的
宇宙環境で発現したと考えられているわずかな不斉(光学異性体比の偏り)が、現在の生物界でみられるホモキラルな世界(アミノ酸であればL-体のみからなる世界)に発展していく過程を実験的に検証することである。具体的には、これまでに申請者が研究を続けてきた前生物学的ペプチド生成反応中に、僅かに光学異性体比に偏りのあるα-ジアルキルアミノ酸あるいはその前駆体であるエチルメチルヒダントインを加えることで、生成するペプチド分子に取り込まれるアミノ酸の光学異性体比に偏りを導入し、プロテノイドミクロスフェア(球状構造体)形成という自己組織化過程の中で、光学異性体比の偏りの増幅効果が得られるか否かを検証する。



宇宙物質中の生体関連有機物の光学異性体比の超高感度分析法の開発

科学研究費補助金 基盤研究(B) 平成22年度-24年度 (終了)

研究の目的
炭素質隕石、宇宙塵中のアミノ酸などの光学異性体比を測定するための超高感度分析法を開発し、生命の起源を考える上で不可欠な光学異性体の偏りが宇宙からもたらされた有機物に起因するのか否かを明らかにすることが、本研究の目的となります。このために、超高感度検出器の開発、極微量試料のハンドリングシステムの構築、分析上の汚染防止技術を確立を行い、複数の炭素質隕石などに含まれるのアミノ酸の光学異性体比測定を実施し技術の実証を目指しています。特に、重要となるのは、amol超微量有機物分析技術の確立という世界でも最高感度の有機物の光学異性体比分析技術を確立すことであり、超微量試料ハンドリングのためのナノーマイクロ微細加工技術の利用、溶媒などに含まれるアミノ酸などのバックグラウンドの低減化、超高感度検出器の開発、2次元HPLCシステムの利用などの様々な最先端技術を融合させることで目標の達成を目指しています。


本研究は、次の2名の方との共同研究として進めています。
兵庫県立大学・高度産業科学技術研究所・内海裕一教授     LINK
九州大学大学院薬学研究院・浜瀬健司准教授           LINK

研究成果の概要

生命の起源を考える上で、アミノ酸の光学異性体の選択がどこで生じたのかが重要な課題の一つになっている。特に、近年、宇宙環境においてこの選択が生まれたと考えられるようになってきているが、これを明らかにするためには、多くの宇宙試料中のアミノ酸の光学異性体比を明らかにする必要があり、極微量の宇宙試料中の分析を可能するための分析技術の確立が必要である。そこで、超高感度分析技術の開発を行ない、数十ミクロンの炭素質コンドライト粒子の分析ができることを確認した。

本研究の成果の一部は、探査機「はやぶさ」が持ち帰った粒子の分析に使われています。  LINK