コンプライアンス関係・取組 教職員がハラスメント防止等のために認識すべき事項についての指針

本学は、教職員及び学生の人権を侵害し、就労上・就学上健全で快適な環境の形成を阻害するハラスメントに対して厳しい姿勢で臨むことをここに明らかにするとともに、このようなことが起こらないための防止策をも含め指針を定める。

Ⅰ ハラスメントの種類

  1. セクシュアル・ハラスメント
    就労・就学上の関係を利用して他者の意に反する性的な言動及び他者に不快感、その他の不利益を与えるものをいう。
  2. アカデミック・ハラスメント
    就学上における地位又は権力を利用し、または逸脱して、その指導を受ける者に不快感、その他の不利益を与えるものをいう。
  3. パワー・ハラスメント
    就労上における地位又は権力を利用し、または逸脱して、他者に不快感、その他の不利益を与えるものをいう。
  4. その他のハラスメント
    前述の(1)乃至(3)以外の不適切な行動であって、他者に不快感、その他の不利益を与えるものをいう。

Ⅱ セクシュアル・ハラスメントを行わないために教職員が認識すべき事項

1.意識の重要性
セクシュアル・ハラスメントが発生しないようにするために、教職員は他の教職員、学生及び関係者と接するに当たり教職員の一人一人が次の事項の重要性について十分認識しなければならない。

  1. お互いの人格を尊重しあうこと。
  2. お互いが大切なパートナーであるという意識を持つこと。
  3. 相手を性的な関心の対象としてのみ見る意識をなくすこと。
  4. 異性を劣った性として見る意識をなくすこと。

2.基本的な心構え
教職員は、セクシュアル・ハラスメントに関する次の事項について十分認識しなければならない。

  1. 性的な言動に対する受け止め方には個人間や男女間、その人物の立場等により差があり、セクシュアル・ハラスメントに当たるか否かについては、相手の判断が重要であること。具体的には、次の点について注意する必要がある。
    1. 親しさを表すつもりの言動であったとしても、本人の意図とは関係なく相手を不快にさせてしまう場合があること。
    2. 不快に感じるか否かには個人差があること。
    3. この程度のことは相手も許容するだろうという勝手な憶測をしないこと。
    4. 相手との良好な人間関係ができていると勝手な思い込みをしないこと。
  2. 相手が拒否し、又は嫌がっていることが分かった場合には、同じ言動を決して繰り返さないこと。
  3. セクシュアル・ハラスメントであるか否かについて、相手からいつも意志表示があるとは限らないこと。
    セクシュアル・ハラスメントを受けた者が、上司、教職員等との人間関係を考え、拒否することができないなど、相手からいつも明確な意志表示があるとは限らない。拒否の意志表示がないことを同意・合意と勘違いしてはならない。
  4. 勤務時間内又は職場内におけるセクシュアル・ハラスメントにだけ注意するのでは不十分であること。
    例えば、職場の人間関係がそのまま持続する歓迎会のような場合において、教職員が他の教職員、学生にセクシュアル・ハラスメントを行うことについても同様に注意しなければならない。

3.セクシュアル・ハラスメントになり得る言動の例
セクシュアル・ハラスメントになり得る言動として、例えば、次のようなものがある。

  1. 職場内で起きやすいもの
    1. 性的な内容の発言関係
      • ア 性的な関心、欲求に基づくもの
        • スリーサイズを聞くなど身体的特徴を話題にすること。
        • 聞くに耐えない卑猥な冗談を交わすこと。
        • 体調が悪そうな女性に「今日は生理日か」、「もう更年期か」などと言うこと。
        • 性的な経験や性生活について質問すること。
        • 性的な風評を流したり、性的なからかいの対象とすること。
      • イ 性別により差別しようという意識等に基づくもの
        • 「男のくせに根性がない」、「女には仕事を任せられない」、「女性は職場の花でありさえすればいい」、「女は学問などしなくても良い」などと発言すること。
        • 成人に対して、「男の子」、「女の子」、「僕、坊や、お嬢さん」「おじさん、おばさん」などと人格を認めないような呼び方をすること。
    2. 性的な行動関係
      • ア 性的な関心、欲求に基づくもの
        • ヌードポスター等を職場に貼ること。
        • 雑誌等の卑猥な写真・記事等をわざと見せたり、読んだりすること。
        • 職場のパソコンのディスプレイに猥褻な画像を表示すること。
        • 身体を執拗に眺め回すこと。
        • 食事やデートにしつこく誘うこと。
        • 性的な内容の電話をかけたり、性的な内容の手紙、Eメールを送りつけること。
        • 身体に不必要に接触すること。
        • 不必要な個人指導を行うこと。
        • 浴室や更衣室等をのぞき見すること。
      • イ 性別により差別しようとする意識等に基づくもの
        • 女性であるというだけでお茶くみ、掃除、私用等を強要すること。
        • 女性であるというだけの理由で仕事や研究上の実績等を不当に低く評価すること。
  2. 職場外において起きやすいもの
    1. 性的な関心、欲求に基づくもの
      • 性的な関係を強要すること。
      • 職場やゼミナールの旅行の宴会の際に浴衣に着替えることを強要すること。
      • 出張への同行を強要したり、出張先で不必要に自室に呼ぶこと。
      • 自宅までの送迎を強要すること。
      • 住居等まで付け回すこと。
    2. 性別により差別しようとする意識等に基づくもの
      • カラオケでのデュエットを強要すること。
      • 酒席で、上司、教員等のそばに座席を指定したり、お酌やダンス等を強要すること。
  3. 特に学生・生徒との関連で起きやすいもの
    1. 教職員の優位な立場や地位・権限を悪用し、成績あるいは指導を条件に持ち出し、相手を性的対象とすることで、相手の人格を傷つけること。
    2. 成績・指導等をめぐって、それらの代償として性的な要求を迫ること。
    3. それらを断ることによってさらに性的な嫌がらせをしたり、無視したりすること。

Ⅲ アカデミック・ハラスメントを行わないために教職員が認識すべき事項

1.基本的な心構え

  1. 指導教員が指導を受ける者に当人の教育・研究上必要性のない用務や教員の私的な用務を行うよう、要求しないこと。また、この場合、指導を受ける者がこの要求に応じないときに、報復的な差別的行為を行ったり、不適切な指導や評価をしないこと。
  2. 正当な理由なく、研究のために必要な文献、図書、資料、機器類等の使用を制限したり、廃棄したりして、研究活動を妨げないこと。

2.アカデミック・ハラスメントになり得る言動の例
アカデミック・ハラスメントになり得る言動として、例えば、次のようなものがある。

  1. 「放任主義だ」と言い、必要な研究指導やアドバイスをしない。
  2. 「お前はバカだ」と授業中に罵倒する。
  3. 不当に低い評価をつける。
  4. 個人指導を理由に、不必要に自宅へ呼んだり、休日に呼び出したりする。

Ⅳ パワー・ハラスメントを行わないために教職員が認識すべき事項

1.基本的な心構え

  1. 指導的立場にある者が指導を受ける者に対して、失敗やミスを過度に追求したり、必要以上に人前で大声で叱責しないこと。
  2. 飲み会等で参加者に飲酒を強要しないこと。

2.パワー・ハラスメントになり得る言動の例
パワー・ハラスメントになり得る言動として、例えば、次のようなものがある。

  1. 「文句があるならさっさと辞めろ。お前の代わりはいくらでもいる」というような嫌がらせ的言動をする。
  2. 職務上必要な情報を意図的に伝えない。
  3. 研修希望を出しても、毎回理由なく却下する。

Ⅴ その他のハラスメントを行わないために教職員が認識すべき事項

就労、就学、教育又は研究の場におけるハラスメントについて、前述のセクハラ・アカハラ・パワハラを紹介しましたが、その他に、性別による差別意識に基づく言動であって、他の者に不快感その他の不利益を与える「ジェンダー・ハラスメント」等のケースも考えられます。
このように、ハラスメントはこの前述の3つに限定されるものではありません。
また、ハラスメントはこの3つのいずれかに典型的にあてはまる場合もありますが、相互に複雑にからみあいながら発生することも多く、それぞれの境界は明確なものではありません。

Ⅵ 懲戒処分

ハラスメントの態様等によっては信用失墜行為、教職員たるにふさわしくない非行等に該当して、懲戒処分に付されることがあることを十分認識すること。

Ⅶ 就労上又は就学上の適正な環境を確保するために認識すべき事項

就労上又は就学上の環境は、教職員、学生及び関係者の協力の下に形成される部分が大きいことから、ハラスメントにより就労上又は就学上の環境が害されることを防ぐため、教職員は、次の事項について積極的に意を尽くすように努めなければならない。

1.適正な環境の確保
ハラスメントについて問題提起をする教職員、学生及び関係者をいわゆるトラブルメーカーと見たり、ハラスメントに関する問題を当事者間の個人的な問題として片づけないこと。
職場におけるミーティングを活用することなどにより解決することができる問題については、問題提起を契機として、就労上又は就学上の適正な環境の確保のために皆で取り組むことを日頃から心がけることが必要である。

2.周囲に対する気配り
ハラスメントに関する問題の加害者や被害者を出さないようにするために、周囲に対する気配りをし、必要な行動をとること。具体的には、次の事項について十分留意して必要な行動をとる必要がある。

  1. ハラスメントが見受けられる場合は、注意を促すこと。
    ハラスメントを契機として、就労上又は就学上の環境に重大な悪影響が生じたりしないうちに、機会をとらえて注意を促すなどの対応をとることが必要である。
  2. 被害を受けていることを見聞きした場合には、声をかけて相談に乗ること。
    被害者は「恥ずかしい」、「トラブルメーカーとのレッテルを貼られたくない」「仕返しが怖い」などの考えから、他の人に対する相談をためらうことがある。
    被害を深刻にしないように、気が付いたことがあれば、声をかけて気軽に相談に乗ることが大切である。

3.環境づくり
職場においてハラスメントがある場合には、第三者として、気持ちよく就労や就学ができる環境づくりをするために上司等に相談するなどの方法をとることをためらわないこと。

Ⅷ ハラスメントに起因する問題が生じた場合において教職員に望まれる事項

1.基本的な心構え
教職員は、ハラスメントを受けた場合にその被害を深刻にしないために、次の事項について認識しておくことが望まれる。

  1. 一人で我慢しているだけでは、問題は解決しないこと。ハラスメントを無視したり、受け流したりしているだけでは、必ずしも状況は改善されないということをまず認識することが大切である。
  2. ハラスメント防止の為の行動をためらわないこと。
    「トラブルメーカーというレッテルを貼られたくない」、「恥ずかしい」などと考えがちだが、被害を深刻なものにしない、他に被害者をつくらない、さらにはハラスメントをなくすことは自分だけの問題ではなく就労上又は就学上の適正な環境の形成に重要であるとの考えに立って、勇気を出して行動することが求められる。

2.ハラスメントの被害を受けたと思うときに望まれる対応
教職員はハラスメントを受けた場合、次のような行動をとるよう努めることが望まれる。

  1. 嫌なことは相手に対して明確に意志表示をすること。
    ハラスメントに対しては毅然とした態度をとること、すなわち、はっきりと自分の意志を相手に伝えることが重要である。
    しかし、背景に上下関係等が存在する場合には直接相手に言いにくい場合が考えられ、そうした場合には相応する上司に報告し、措置してもらうこと。
  2. 信頼できる人に相談すること。
    まず、同僚や友人等身近な信頼できる人に相談することが大切である。
    そこで解決することが困難な場合には、内部又は外部の相談機関に相談することも考えられる。

3.苦情・相談や訴えに対する対応について
学校法人福岡工業大学では、万一、教職員・学生へのハラスメントが起き、教職員・学生からの苦情・相談や訴えがあった時は、責任を持って次のような対応を取ります。

  1. ハラスメントに対する相談部門と、学生向けに相談窓口担当者を置く。
  2. 相談窓口担当者については、別にこれを定める。
  3. 教職員・学生からの苦情・相談や訴えが相談部門、相談窓口担当者に寄せられた場合には、速やかに実態を明らかにしなければならないものとする。
    この場合相談部門、相談窓口担当者は、苦情・相談や被害を訴えた学生から事情を聴取し、本人が同意した場合には、ハラスメント防止対策委員会に報告を行うものとする。
  4. ハラスメント防止対策委員会については、別にこれを定める。
  5. ハラスメント防止対策委員会は、ハラスメントの事実調査が必要と認めた場合は、適任者(外部の者を含む)をその調査に当たらせる。
  6. ハラスメント防止対策委員会は、調査結果を常任理事会に報告し、承認を得るものとする。

上記のようなハラスメントの訴えへの対応に際して、情報を知り得た者は関係者のプライバシーの保護を最優先にし、その内容について守秘義務を負う。

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