福岡工業大学 情報工学部 システムマネジメント学科

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研究内容

システムマネジメント学科では、10名の専任教員がそれぞれの専門分野において多彩な研究を展開しています。このページでは各研究室で行っている研究内容について紹介します。

井口修一 教授

さまざまな現象を理解する方法論の一つとして、支配方程式(微分方程式)ではなく、現象を構成する複数の要素が互いに影響を与えることにより形成される系(Complex Systems)として現象を理解する方法があります。格子状に配列されたセルと単純な規則からなるセルオートマトンは、そのひとつです。非常に単純な構造であるにも関わらず、その相互作用が引きおこす大域的な振る舞いの複雑さから、微分方程式ではモデル化できないような現象、あるいは、数値的な解ですら求めることが困難な複雑現象のモデル化など、現象理解のための道具として多く利用されています。

研究室では,さまざまな自然現象,社会現象を模倣するセルオートマトンを構成し,その現象を解析しています.また,情報セキュリティに応用可能なセルオートマトンの構成・解析やそのための基礎理論等について研究を行っています.

宋  宇 教授

企業経営・生産管理では、さまざまな選択肢の中から最も良いものを見つけ出す問題は至る所に存在します。例えば、いくつかの製品のうちどの製品をいくら生産すれば企業にとって最も高い利益が得られるか、工場でどのような生産スケジュールを立てれば最もたくさん製品を産出できるか、さらに生産された製品をどのように輸送すればコストが最小に抑えられるかなど、枚挙にいとまがない。このような問題はすべてシステム最適化問題です。

本研究室では、以下の視点からシステム最適化問題について研究しています。

(1)モデル化:現実問題は往々にして大変複雑です。問題解決の第一歩はまず問題をある程度抽象化して、その本質的なところを数理モデルで捉えることです。

(2)最適化理論:モデル化された問題を解決する手法を教授します。最も基本的な線形計画法をはじめとして、整数計画法、混合整数計画法など種々の数理計画法、さらにシミュレーション、遺伝的アルゴリズム等についても教授します。これらの手法はオペレーションズリサーチと呼ばれる学問に属しています。

田嶋拓也 教授

本研究室では主に、経営に関わる諸問題をさまざまな種類のセンサ、統計学、人工知能、シミュレーションなどを組み合わせて解決する研究を行っております。研究の一例として、圧力分布センサを使って歩行者の足底面圧力値を得て、その圧力値から歩行者の年齢や性別を識別するシステムの研究開発があります。このシステムは圧力分布センサと人工知能の技術を組み合わせたもので、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの小売業で使われることを想定しており、どのような属性(年齢や性別)の人が、いつ、どの売場に足を運んでいたか、どの位の時間で商品を探していたか、といったことを識別します。得られたデータは顧客の基礎データとして蓄積し、売場の生産性向上に役立つマーケティング活動へ利用することができます。また、この研究以外にもPOSデータ用いたレジ台数の最適化に関する研究や、ATMの最適配置問題に関する研究など、経営に関連するさまざまな研究を行っております。

藤岡寛之 教授

本研究室では、ヒトや生物がもつ高度な運動機能をヒントにさまざまなシステムの数理モデル化を行い、情報をより魅力的なものとして伝達する手法について研究を行っています。長年にわたって、『文字』という情報に着目しており、書道でみられるような滑らかな草書体文字フォントの作り方や、スマートフォンなどで使われる『デジタルインク』とよばれるデータの超圧縮法、俳句などの詩会で見られる短冊の書道トレーニング法、などについて研究されています。

平成27年度からは私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「物質・エネルギーデバイス研究センター」の研究プロジェクトに情報工学部から本研究室が唯一参画しており、小型情報端末に応用可能なエネルギーデバイスの学際的研究にも貢献しています。

前原秀明 教授

経営判断を左右するデジタル情報、いわゆる情報メディアには、数字や文字・記号、写真や動画などの画像、振動や音など、様々な種類があります。一方、人は外界の状況を把握するための情報収集のうち約8割を視覚、つまり画像に頼っていると言われています。私の研究室では、最も重要性が高い情報メディアの1つである“画像”に着目した研究に取り組んでいます。特に、前所属の三菱電機研究所において重点的に取り組んできた写真測量技術、カメラから取得される画像の中から対象物を見つけるとともに、その長さや高さ、幅・面積・体積などを計測する技術について、従来より正しくより正確にできる方法を考え検証しています。具体的なテーマとしては次のようなものがあります。

①工業製品などの大量生産品をカメラで撮影し不良品を検出する
②ドローンや地球観測衛星から撮影した画像から3次元地図を生成する
③設備や建造物などを撮影し、異常の検出や劣化・故障などを診断する

クラ エリス 准教授

本研究室では水中環境でのセンサネットワークや遅延耐性ネットワークについての研究を行っております。そして、近年注目を集めているMQTT(Message Queueing Telemetry Transport)のような軽量で省電力なプロトコルとセンサを組み合わせることで、より膨大なデータ(Big Data)を収集し処理できるネットワークシステムを研究しております。さらに、シミュレーションや実環境におけるITS(Intelligent Transportation System)における様々なプロトコルの評価に関する研究を行っております。

具体的には、以下の研究テーマを持って学生を指導しております。

(1)様々なニーズに合わせたプロトコルを開発し評価できる無線マルチホップ通信のための実験環境の構築
(2)IoTデータを処理するMQTTプロトコルによる大規模データパブリッシュ/サブスクライブシステムの研究
(3)Mobility as a Service (MaaS)にブロックチェーンとAIを組み合わせた決済システムに関する研究

小林 稔 准教授

当研究室では、企業の経営に対して、膨大なデータの中から有用な情報を抽出して、その情報を基に最適な意思決定を行うための支援システム、すなわち、ある種の意思決定支援システムの開発とそれらの現実問題への適用を研究テーマとしています。現在は2つの研究テーマに取り組んでいます。一つは製造業の工場における生産スケジュール立案のための数理モデルとアルゴリズムの開発で、もう一つは異質のデータを統合的に解析できる方法の確立です。前者はいつ、どの品目を、どの機械で、どれだけ、生産するかを決定する必要があります。離散的決定と連続的決定の局面が一つの問題の中に混在しており、学問的には大変難しい問題ですが、これらの異質の決定局面を同時に決定できる方法で特許を取得しています。後者は企業と共同で研究に取り組んでおり、目下のところ理論の検証と証明に取り組んでいます。これらの問題に一緒に取り組んでみませんか?

髙橋 啓 准教授

データがあるもの全てを基本的に対象とし、そこから有益な情報を引き出す研究しています。具体的には次のような内容です。

• マーケティングに関する研究
 e-commerceの進展により、多くのデータがマーケティングにおいても蓄積されるようになりました。このデータを用い、顧客の行動等を予測するだけではなく、どの施策が有効だったのかという因果にも踏み込んだ研究を行っています。

• スポーツ・アナリティクス
 審判のストライクゾーンの判定は妥当か、ピッチャーがどういった意図(配球パターン)をもって打者を討ち取ろうとしているのかといったことを、詳細なデータから分析します。

• マテリアル・インフォマティクス
 高分子に代表される物質において、ある物質の未知の物性についてそれが既知の物質から効率的に予測を行い、マテリアル開発の効率化を目指します。

傅  靖 准教授

本研究室では、経済、社会、政治などの諸分野においての問題を取り上げ、ゲーム理論によるその解決策を提示する研究を行っています。そのうちの一つに多基準配分ゲームがあります。多基準配分問題では、共通事業から得られた収益の配分をめぐる主体間の交渉を扱います。特に、各主体の役割が異なりその貢献度が複数の基準で測られた場合に、それぞれの基準にどれだけのウェイトをつけて貢献度を集約し、各主体の貢献度を比較すればよいかという問題です。この問題では、各基準に対するウェイトを内生的に決定します。つまり、各主体にそれぞれ同じウェイトを与え、各主体はそのウェイトを各基準に割り振り、それを基に各基準のウェイトを決定して各主体の貢献度を計算し、それに比例して収益を分配します。先行研究では、この状況において、主体間の協力の可能性を考えて協力ゲームによる分析を試みていますが、その定式化に従うと、協力すると得られる収益が少なくなるという直感に合わない結果が導かれています。本研究室では、先行研究の定式化の問題点を明らかにし、交渉の枠組みをまず戦略形ゲームとして表現し、そのうえで協力の効果を適切に反映する新たな協力ゲームを戦略ゲームから作り上げるとともに、ナッシュ均衡、結託耐性ナッシュ均衡、コアなどの解について様々な有益な結果を得ています。現在、この理論結果を用いて、大気汚染の改善において日中協力の利益配分問題への応用を試みています。

竹之内宏 助教

当研究室では、人の曖昧な気持ちや感情、すなわち『感性』をコンピュータが理解できるシステムを開発しています。感性とは、「好き」や「嫌い」、「かわいい」や「かっこいい」、「ワイルドな」や「カジュアルな」など、人間が感じることができる様々な事象の総称です。しかし、感性とは曖昧なもので、例えば、みなさんが衣服を購入するとき、「なぜ、その服を気に入ったのか」と聞かれても、明確な理由がないことは多いと思います。おそらく、「なんとなく良いと思ったから」が一般的な理由ではないでしょうか。当研究室では、このような人の感性情報を定量的、定性的に解析し、人の感性を用いてよりよいものを作成したりレコメンドしたりする基礎技術及び応用システムに関する研究に取り組んでいます。当研究室のより詳しい情報はこちらから!

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