FIT工学部のたしかな教育と研究FIT工学部研究最前線

桑原研究室

[研究内容]

有機的未利用資源の環境材料および生体材料への展開。

アミノ酸・ペプチド・タンパク質を扱った生体高分子化学とアミノ酸系界面活性剤、そして油脂などの「界面化学」をベースに、未利用資源を材料とした環境材料ならびに生体材料への展開を目的とした研究を行っています。
水産資源でいえば加工処理後に捨てられている魚皮や魚鱗などが研究素材の一つであり、このほかにもリサイクル竹材、食品加工残渣など、これまで廃棄され続けてきた「有機的未利用資源」に着目して研究に取り組んでいます。たとえば廃棄対象の水産資源から抽出したコラーゲンを用いて、化粧品や医薬品などのより付加価値の高い有用資源へと展開することなどが研究の柱です。

桑原研究室の魅力を三橋向輝が語る 三橋向輝さん 生命環境科学科4年 佐賀県立三養基高等学校 出身

好きな化学実験や、食品分野の勉強ができることに惹かれて決めた入学。

僕が福工大へ入学した理由は、高校の先生から就職活動に力を入れている大学であり、学生への面倒見が良いと勧められたことがきっかけでした。また、生命環境科学科を選んだ理由は高校のときから化学の授業、とりわけ実験が大好きで、進学先を探す際にパンフレットで白衣を着て実験をしている写真を見つけたことが決め手となりました。
それから、食品についての勉強ができることも大きな魅力でしたね。栄養化学や微生物学など栄養科学分野なども学んでみたいと高校時代から考えていたので、かなり興味を惹かれたことが思い起こされます。入学してからの実際の勉強はイメージどおりというわけではなかったものの、この研究室での研究は予想していた以上の面白さを感じています。

▲研究室の学生の一人が、実験室で、界面活性剤の表面張力を計測中。

廃棄処理される魚の鱗や皮などの有効利用を目指した研究。

今、取り組んでいる研究は、「水産加工廃棄物の有効利用」です。現在、魚の皮や鱗は廃棄物としてその大半が処理されていますが、この処分されている魚の皮や鱗からコラーゲンを抽出して有効利用できないかを検討しています。対象魚は、アフリカ原産の鯛に似たティラピアという魚です。
僕がこの桑原研究室を選んだのは、研究室紹介でガイダンスがあった「生体高分子」について学びたいと思っていたからです。また、生体高分子(生体内にある高分子の有機化合物)の一つであるコラーゲンは、食品や化粧品など様々な分野で活用されていますが、そのほとんどが豚や牛、鳥といった動物由来のもの。しかし、このような動物はたとえば鳥インフルエンザなどの人畜共通感染症などが発生した場合には利用が困難になり、国内供給量だけでなく海外からの輸入量も激減します。そこで近年注目されているのが代替コラーゲンとして、なんと魚からコラーゲンを効率よく取り出そうという試み。この斬新な研究に興味を持ったことも桑原研究室を選んだ要因になりました。

▲冷蔵庫に保管している魚の鱗を溶液に浸し、撹拌して、コラーゲンの純度を分析。

コラーゲンを上手く抽出し、できたときの感激が実験の推進力。

生体高分子のコラーゲンは物理的な影響に弱く、扱うのがとても難しい物質です。特に温度には影響されやすく、少しでも温度が高くなると変性し、分解に至る可能性があります。ですから設定温度が少しズレるだけで、実験に影響を及ぼしてしまうのです。つまり、実験は細心の注意が必要ということ。ですがそのぶんコラーゲンを変性なく抽出でき、実験がうまくいったときは達成感ややりがいを感じますね。たとえ失敗したとしてもその失敗が新たな発見につながり、ますます実験意欲が湧いてきます。
僕が所属する桑原研究室は現在、11人が所属していて、みんながテーマに基づいた実験に熱心に取り組んでいる「活気ある研究室」です。そんな研究室ですが、僕自身ここに入ってすぐのころは何をすればいいか分からず、また実験装置の使い方もまったく分からない状態でした。しかし、桑原先生や先輩方がしっかりサポート。器具・装置の使い方などを丁寧に一つ一つ教えてくださったので実験がスムーズに運んだことを今でも感謝しています。

▲研究室に所属するメンバー。仲の良い、家族的な雰囲気も漂う。

▲授業や自身の研究に忙しい先生だが、学生の研究や就職相談などもしっかりサポート。

データをまとめる能力獲得は大きな成果。将来は大学院で実験を継続。

ここで身についた能力は、研究を通して向上したデータをまとめるチカラですね。研究室では実験ごとにそのレポートを提出することになっていますが、その際には実験データをエクセルやワードを使って分かりやすくまとめて作成します。この得られたデータを丁寧にまとめることができるようになったことは、自分にとっての大きな収穫です。
今後の研究目標は、水産廃棄物を効率よく利用する方法を考えだすこと。温度、あるいは水溶液のpHといった物理的要因など「条件」を変えるだけで実験結果が変わってくる研究なので、さまざまな条件を設定して何度も実験にトライし、より良い方利用法を発見したいですね。僕自身は卒業後に大学院へと進む予定ですが、この研究室でさらに2年間の学修に当たり、コラーゲンの研究をさらに進展させていくつもりです。
生命環境科学科は、物質と生物の両方の知識を吸収することができる学科です。また食品についても学べるので、卒業後は様々な分野で活躍できます。化学・生物・物質・食品などバラエティに富んだ実験科目の履修が可能だし、僕のように実験が好きと言う人にとってはかなり魅力のある学科じゃないでしょうか。

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