FIT工学部のたしかな教育と研究 FIT工学部研究室最前線

電気工学科 白濱研究室 白濱 秀文 准教授

研究内容

次世代パワー半導体デバイスの利用技術開発と
応用システムの研究。

この研究室は、家電から産業、交通、電力などの広い分野をカバーする、省エネルギー化のキー技術「パワーエレクトロニクス」の研究に取り組んでいます。パワーエレクトロニクスは、パワー半導体デバイスを用いて電力の形態を高効率で変換する技術で、現在まで「シリコン(Si)パワー半導体デバイス」利用が主流でした。しかし近年は、低損失・高周波動作に加えて高温動作も期待できる「SiC(シリコンカーバイド)パワー半導体デバイス」が注目されており、すでに実用段階に入っています。このため、高速応答のSiCパワー半導体デバイスなど次世代パワー半導体デバイスの性能を十分に引き出すための利用技術の開発をテーマの一つに設定しています。
また一方で、大容量変換器を自己消弧形素子で実現するブレイクスルー技術としてのMMC(モジュラー・マルチレベル・コンバータ)の実用的な可能性を追究しながら、直流送電やスマートグリットなどを対象とするシステム技術の研究も行っています。

白濱研究室の魅力を
武藤司が語る

電気工学科4年

武藤 司さん

出身:
佐賀県立 小城高等学校

未来の可能性が広がると思って電気工学科を選択。

工業系大学であることに加え、大学の支援が充実しているという評判を聞いたことが入学を決めた要因です。将来は理系の分野を活かせる職に就きたいと考えていたので、住んでいる地区から近く、また学習が工業分野に特化しているこの福工大に目を向けました。他大学と比べると学生の数は多くありませんが、そのぶん先生方がよく学生の面倒を見てくれて、就職活動もしっかりと支援してもらえるという評価が、入学の決め手になりました。
電気工学科を選んだ確かな理由はありません。しかし、今の社会に電気は必ずと言っていいほど必要なものだし、その電気分野を学べば未来の可能性が広がり、やりたいことも見つかるかもしれないと考えて選択しました。また私自身、単純に電気回路の計算などが得意だったことも理由の一つです。

実験の前に、MMC回路(単相分回路)のシミュレーションを専用ソフトのMATLAB-Simulinkを用いて行う。

回路のシミュレーション画面。SiC応用回路の全体的な効率を、波形から評価。

MMCのスマートグリッドへの応用を研究中。

現在取り組んでいる研究は「MMC(モジュラー・マルチレベル・コンバータ)のスマートグリッドへの応用」です。再生可能エネルギーは発電出力が不安定なものが多く、既存の電力系統に大量に導入すると系統全体では周波数変動が、局所的には電圧変動が生じます。このため、多様な電力源を効率的に運用することで安定した電力の供給を行うことのできる新電力システムの「スマートグリッド」に注目しました。スマートグリッドでは電力を供給側からだけでなく消費側からも制御しエネルギーの効率的な利用を図ることができます。しかし、電力を高速かつ高効率で制御することが求められるため、それを可能にするための自己消弧形の大容量高効率変換器が必要になります。
近年は、自己消弧形パワー半導体デバイスで大容量の変換器を構成する新回路コンセプトであるMMCが提案され、適用されつつあります。MMCには大容量化が容易、フィルターが不要、スイッチングロスが少ない、短絡時の復旧が容易、コンパクトなどの多くのメリットがありますが、一方で電圧・電流制御が難しいという難点もあります。特にMMCのモジュールにあるコンデンサ電圧のバランス制御はMMC動作の安定に大きく関わってくるため、様々な制御の中でも最も重要になってきます。本研究では、先行研究であるMMCの基礎検討をベースとしてMMCの回路を実機で組み立てMMCの動作から制御まで検討を行います。また、MMCのスマートグリッドへの応用をMATLAB-Simulinkによるシミュレーションにより検討します。

様々なテーマに取り組む研究室内の学生たち。

計算機によるシミュレーションによって、パワー半導体デバイスの損失計算手法を検討する。

壁を乗り越えたときに味わえる達成感が研究のやりがい。

白濱先生は長年、一般企業の電気分野において経験を積んでおられ柔軟な発想をお持ちです。そんな先生の指導のもと、研究テーマでつながった学生同士が各自のテーマを追究しつつ共に学び合っています。
研究におけるやりがいは、どうしたらいいのか分からなくなり研究が進まなくなった際に、研究室の学生や先生と討論することで解決法を導き、自分が分からないところを乗り越えたときに味わえる達成感があることです。学生と先生との距離が近いことから、たとえ研究でつまずくようなことがあってもすぐに先生へ質問することができる環境が整っていることが、そうしたやりがいを感じるベースになっていると思います。また、この研究室に入ったことで、「まずは自分で行動する」という意識と実行力が身に付きました。

設計したSiC(シリコンカーバイド)ゲート回路が正確に信号を発信するか、プロトタイプの回路を用いて試験を実施。

実験用のプロトタイプとして製作したSiC(シリコンカーバイド)ゲート回路。

パワーエレクトロニクスの分野で設計開発に携わりたい。

今後の目標としては、まずMMCの研究を現段階でできるところまで完成させたいと思っています。MMCは新しい技術であり研究内容も多岐にわたっているので、この研究の後は、このMMCを用いた新しい電力システムの研究に取り組みたいと考えています。
研究室には、「パワー半導体デバイスの損失評価」を行っている学生がいます。私はその損失評価の研究にも少し関わっているので、その研究の発展として、パワー半導体デバイスの損失評価と熱モデルの連成評価までつなげることができれば研究もより充実すると考えています。
卒業後の進路は、漠然とですがパワーエレクトロニクスを活かした分野で設計開発をするような仕事に就くことを考えています。そのためにもこの研究室でできるだけ多くのことを学び、未来で結実させたいです。

回路のシミュレーションについて、その進め方、考え方になど、白濱先生からアドバイスをもらう武藤君。

研究室では、それぞれの研究について学生が進捗状況や成果を報告するゼミが開催される。

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