FIT工学部のたしかな教育と研究 FIT工学部研究室最前線

知能機械工学科 天本研究室 天本 祥文 准教授

研究内容

レーザーを用いた精密微細加工技術の開発研究。

天本研究室は精密加工学を研究分野に、レーザーによる加工技術開発に取り組んでいます。半導体超精密加工技術では三次元微細形状を造る手段としてマクロ機械加工の開発が行われてきましたが、硬脆材料に対して高速荒加工が可能な工具がないため微細形状の加工には長時間を費やしています。しかしレーザーを用いた加工は、機械的な切りくず除去加工方と異なり、金属材料だけでなく硬脆材料に対して微細穴や微細溝を短時間で掘る能力を持っています。
この特徴を利用し、集束レーザー光を用いて三次元微細形状の加工ができるレーザー加工技術の開発を目指しています。実験は、レーザー加工機などの工作機械が設置してある「次世代マイクロ・ナノ金型開発センター」を拠点に、同じ研究テーマの仙波研究室の学生と一緒に行っています。

天本研究室の魅力を
永沼祐亮が語る

知能機械工学科4年

永沼 祐亮さん

出身:
福岡県立 八幡中央高等学校

オープンキャンパスで福工大の様々な魅力を実感して。

オープンキャンパスへの参加が入学のキッカケとなりました。オープンキャンパスで大学の様々な情報を入手した際に、小さいころから好きだった自動車や機械の分野を学べると分かったことが志望の大きな理由です。モノづくりを学びたかったので、モノづくりに不可欠な設計・生産・設計の知識や技術を身につけられること、さらに技術士資格の一次試験が免除になる「JABEE認定コース」が設定されていることも入学意欲を高めてくれました。
また、毎年好調な就職実績、オープンキャンパスで見た施設・設備、きれいなキャンパスなども入学を決めた要因です。学ぶ範囲の広さや得られる知識量の多さ、学習するための環境も魅力的でした。

レーザー加工機を操作する永沼君。レーザーはファイバーを通過した後、光学系ボックスに装着したレンズを通して照射される。

ファトム秒パルスレーザーを用いた超硬合金の3次元微細加工。

近年、バックミラーやサイドミラーの代わりに周辺の状況をモニターに表示する目的で、カメラを搭載している自動車が増えており、そのカメラに用いられる「小型のガラス性レンズ」の需要が高まっています。その量産には、高硬度かつ耐熱性に優れた超硬合金等の「金型」が用いられますが、この金型を一般的な切削・研削工具によって成形しようとすれば欠けや工具の摩耗が生じてしまうため、何度も工具を修正したり取り換えたりする必要があります。しかし非接触の「レーザー」による加工は、そうしたデメリットもなく金型成形に有効な手段となることが考えられます。
私の研究は、レンズを加工するための金型製作を行う「ファトム秒パルスレーザーを用いた超硬合金の3次元微細加工」で、現在、レーザーで加工できる条件(エネルギーなど)を決める実験に取り組んでいます。今後は実際に、超硬合金に微細加工を施すことが目標になります。

速度、動き、位置などの数値を加工プログラムに打ち込む。位置はXYZ座標で表示され、レーザーで自動的に加工する。

良い結果が得られた実験は、それまでの失敗を忘れる喜びがある。

私がこの研究室を選んだのは、研究に用いる「レーザー」という先進的なイメージの言葉に惹かれたからです。また研究室では、CAD/CAMのプログラムソフトを使うことを知り、設計の仕事に就きたかった私に最適な研究室だと確信したことから選択しました。実験そのものは、「次世代マイクロ・ナノ金型開発センター」で行っています。実験データをもとにシミュレーションを行い、さらに実験を行いますが、想定とは違う実験結果が出る場合が多く、そういう意味では失敗の連続です。しかし、何が原因なのかを先生や仲間と話し合って改善し、さらに実験に取り組むという繰り返しの結果、良い結果が出るとそれまでの失敗を忘れるほどの喜びがあります。この喜びこそが研究のやりがいに繋がっています。
この研究を通じて私は、自分の考えを整理して他者へ伝えられるようになりました。研究初期の頃は、実験データを先生に報告するのみでしたが、次第に「実験データをもとに次は何をするか」を考えて報告するようになりました。さらには報告の際に提出する資料を、グラフを用いて「誰もが見やすく作成する」能力も身についたと感じています。

マシニングセンタで、工具先端の半径が0.1㎜の半球工具を加工する。カメラで写した工具先端をモニターに映しながらの作業で、仙波研究室の学生が3年生に指導中。

入社後は、設計部門でCAD/CAMを使った仕事をしてみたい。

就職先は、ハイブリッドカーや電気自動車に用いられるモーターの核となる、「モーターコア」の世界トップシェア企業です。プレス用精密金型などの事業も展開しており、私が取り組んだ研究とは遠からず繫がっています。入社後は、製図が得意なことから設計部門でCAD/CAMを使った仕事をしてみたいですね。また、できれば海外での業務にも携わってみたいです。さらには国家資格「技術士」にもチャレンジし、ぜひ取得したいと思っています。
私が考える福工大工学部の特徴は、学生思いの先生が多いこと。私自身の体験から、授業終了後も質問に丁寧に答えてくださいましたし、たとえ難しい内容であっても現実の場面に置き換えて説明してくださるので、授業自体も楽しかったように思います。モノづくりや機械系の知識を身につけたい人は、ぜひ知能機械工学科へ来てください。学んだことはきっと、将来に役立つはずです。

レーザーで加工したナノ多結晶ダイヤモンド(NPD)製ノーズRバイトを、研磨するための準備作業にあたる仙波研究室の学生。

据え付けた台が傾くと、正確に工具先端(半球)が加工できないため、台の傾きを計測・グラフ化してブレを調整する。

アウトプットされた台の傾きを示すグラフ化データ。マイクロ単位(1 ⁄ 1,000㎜)で台のブレが確認できる。

スパッタ装置に切削工具を取り付け、回転させながら発生させたプラズマを衝突させて削っていく。工具刃先を原子サイズ(1 ⁄ 1,000,000㎜以下)に成形する。

永沼君を含む3人のチームで、レーザー加工やデータの解析を行う。レーザー顕微鏡(LSM) を使って、加工面の表面粗さと深さを測定し、電子顕微鏡(SEM)を使って表面の状態を観察する。

ナノ多結晶ダイヤモンドにレーザ加工した半径0.1㎜の凸状ディンプル

レーザーで成形したナノ多結晶ダイヤモンド製ノーズRバイト

※ナノ多結晶ダイヤモンド: 世界で最も硬いとされる人工ダイヤモンド

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