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国際私法における不当利得法理の解明

分野
国際私法、国際民事手続法
キーワード
国際不当利得、原状回復、準拠法、比較法
社会環境学部 社会環境学科

助教 片岡 雅世

研究概要

 不当利得とは、日本の実質法上、法律上の原因がないにもかかわらず、一方が他方の損失において利益を得ていることをいい、このような利得は、衡平の観点から損失者に返還すべきものとされている。具体的には、売買契約が無効の場合の目的物の返還や、知的財産権侵害の場合の利用料相当額の返還、誤振込の場合の金銭返還など多種多様なものが含まれる。それゆえ、「不当利得法は財産法のごみ処理場」と表現されたり、「実定法の表街道に対するその裏街道」と言われたりするなど、否定的・消極的イメージの強い分野であるといっても過言ではない。

 一方、このような不当利得の問題が複数の国に関連して生ずる場合には、いずれの国の法が適用されるかなど国際私法上の問題(特に準拠法決定問題)を検討する必要がある。準拠法は、具体的な法律関係がいずれの単位法律関係に含まれるかを決定したうえで(法律関係の性質決定)、単位法律関係ごとに定められている連結点によって指定(決定)されるが、不当利得の場合、前述した多様性ゆえ、準拠法決定にとって重要な法律関係の性質決定につき、複雑かつ困難な問題が生じることが少なくない。また、連結点の決定についても、とりわけ多数当事者関係の場合に複数ある連結点のうちのいずれが適当か決定するのは容易ではない(下図参照)。

 そこで、本研究では、国際不当利得法の有する様々な問題を明らかにするため、各国実質法および抵触法の比較・検討を通じて、国際私法における不当利得法理の積極的意義付けを試みている。不当利得法理の積極的意義付けを行うことは、ひいては国際財産法全体の再構築へつながることとなり、様々な法分野への示唆が可能となる。

複数の国にまたがる不当利益の問題例

利点・特徴
  • 比較法的手法を用いることで、各国の不当利得制度および関連する法制度を知ることができる
  • 国際/国内不当利得法理の積極的活用および国際/国内財産法体系の再構築
応用分野
  • 国際契約法、国際不法行為法、国際物権法、国際知的財産法、国際家族法 など