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ニュートン多面体を用いた調和解析学における漸近解析

分野
調和解析
キーワード
C∞級関数、ニュートン多面体、漸近解析、振動積分
工学部 電子情報工学科

助教 野瀬 敏洋

研究概要

関数の滑らかさ(微分可能性)は数学の様々な問題において仮定されている。特に、無限回微分可能な関数(C∞級関数)は非常に重要な関数のクラスである。一方、ニュートン多面体はC∞級関数から定まる凸多面体であり、関数の局所的な性質の中でも特に、特異点論的な性質を反映する図形である。この多面体は、ニュートン以来、数学の様々な研究に用いられており、調和解析においても種々の問題の定量的な解析に用いられてきた。しかしながら、これらの解析ではより強い滑らかさ(実解析性)を仮定しており、一般のC∞級関数に関する問題においては、これまでの解析手法そのものを用いてニュートン多面体を有効に使うことは難しい。
本研究では以下の問題に取り組んでいる

1.ニュートン多面体の構造やニュートン多面体を用いた特異点解消及びブローアップの考察

ニュートン多面体を一般のC∞級関数が現れる問題において有効に用いることを目的に、C∞級関数に対する適切なブローアップ及び特異点解消の構成について研究を行っている。Varchenkoらによる従来の手法を改良するため、彼らと同様、トーリック多様体の理論や凸多面体の幾何学を用いて研究を行っている。

2.調和解析学における種々の問題

1.で得られる結果を用いて、調和解析における問題の中でも、特に、一般のC∞級関数を取り扱う場合について研究を行っている。例えば、振動積分や局所ゼータ関数の漸近解析を行っている。

利点・特徴 現在までに、九州大学数理学研究院の神本氏と共同で、C∞級関数の場合の振動積分の漸近挙動について、部分的にではあるが新しい結果を得ている。その解析にはC∞級関数に対する適切なブローアップを用いているが、現時点でこのようなブローアップあるいは特異点解消をC∞級関数について試みているのは我々のグループのみである。 また、このような漸近解析を行う際に、解析、幾何、代数、それぞれの対象の相互関係を探っていく点が本研究の特徴であるといえる。
応用分野 本研究によってC∞級関数と実解析的関数の解析的な取り扱いにおける違いが明らかになると期待されるため、これまでに実解析的な関数について研究されてきた様々な問題をC∞級関数の場合に拡張するための有用な手段になると考えている。