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調査データに基づく環境意識の形成メカニズムに関する実証的研究

分野
環境社会学、計量社会学
キーワード
環境意識、社会調査、計量分析
社会環境学部 社会環境学科

助教 陳 艶艶

研究概要

1.研究背景

 環境問題の多くは人々の価値観の危機、ないし逸脱した人間行動に関わっている。人々の環境意識の改善は今日の環境問題の解決にとって不可欠である。一方、人々の環境意識は非常に複雑な構造を有するものである。

2.研究目的

 本研究では、異なる社会背景における人々の環境意識と環境保全行動の実態を調査データの解析により解明すると共に、環境意識の構造的特徴及びその形成に影響を与える主な要因、環境意識から環境保全行動までの因果関係連鎖を計量的に明らかにする。

3.研究内容と結果

(1)異なる社会背景における人々の環境意識の実態と特徴

 これまでの現地調査の結果より、人々の環境意識の構造的特徴、地域別の相違点及び環境保全行動との関連性を浮かび上がらせた。例えば、日本では、韓国と中国と比べ、環境不安感が低く、環境に対する貢献意識も弱い傾向が見られた。また、同じ中国の中の都市部と農村部、南北に属する北京と杭州においても、経済的・環境的格差により、人々が環境に対す関心や行動に大きな隔たりがあることが確認できた。
 本研究では、調査データの統計分析を土台として駆使しながら、国や地域の事情に合わせて、環境意識の改善策を探っている。

(2)環境意識から環境保全行動までの因果関係連鎖の探索

 環境問題の解決には、一人ひとりの環境保全活動が不可欠である。環境意識のどの要素が人々の環境保全行動の喚起に寄与できるのか、環境保全行動がどのようなメカニズムで形成されるのかについて、これまで収集してきた調査データと既存の国際比較調査データを重ね合わせながら、探索している。

(3)社会調査方法論の研究

 調査地域の実情に合わせて、測定対象に対応する適切かつ多様な測定尺度の開発に努めている。また、これまで統計的観点から、日本のような理想的な無作為標本抽出法ができない中国において、地域や時代にあわせた適切な統計的調査方法の開発を目指して、進展している。

利点・特徴  人々の抽象的環境意識について、理論的検討を踏まえ、実際に調査現場からデータを収集し、環境意識・環境保全行動のパターン特徴を統計的に抽出し、社会的・環境的要因をも考慮しながら、環境意識の本質を理解する。
応用分野  環境意識の改善に繋がる情報を調査データの解析により抽出することで、環境保全行動の喚起する方法や効率的な環境対策と環境教育の枠組を構築することに貢献できるものと期待される。