3年後期「情報物理学」

履修の勧め

 

「情報物理学」とはどんなものか;

1.      情報は自然現象(物理現象はその代表です)や社会現象を理解する場合、今日では不可欠の概念です。そのためにそれを有効に用いる理論や方法が最近とくに目覚しい発展を遂げています。この講義ではこれまでに蓄積されてきた情報に対する理論と応用を学びます。

2.      ここで何故物理学が関係するのか不思議に思う人がいるかもしれませんが、上で述べたように自然現象の代表は物理現象なので当然と思われます。そして情報工学が生まれる前から、実は物理学の基本的なところに情報という考え方が使われて重要な役割を果たしてきました。従って、物理学、特に熱・統計力学の分野にはその基本法則が既に確立されています。そしてそれはそのまま、情報工学の基礎へとつながります。

3.      物理法則は難かしそうですが、情報の言葉で理解しなおすことで情報工学に用いる法則となり、易しい数学で理解できるように学習することができます。

 

内容は以下のようになっていて数学はできるだけ易しくしています。

 

1.情報量と情報エントロピー 2.情報エントロピーと熱力学の法則

3.情報エントロピーの応用 4. 相対エントロピーとギブスの不等式

5.フィッシャーの情報行列 6.条件付き確率とエントロピー

7.相互情報量とその具体例 8.スピンとスピン系の相転移

9.ランダムウオークと確率過程 10.ブラウン運動と確率過程

11.スピン系の重ね合わせとエンタングルメント

12.EPR対とテレポーテイション 13.量子ゲートと量子計算

 

情報エントロピーは今から約160年も前にクラウジウスという人が熱力学の理解のために(1850年に)導入した概念エントロピーから構成されるものです。今では、情報を理解するときの基本として用いられ情報工学の基礎を理解するのに用いられます。また物理学の進歩とともに量子、相対論の世界に深められています。その意味で、将来も今も情報工学の基礎としてエントロピーに関する法則は学んでおかなくては後れを取ります。

(最新のデバイスや計算機ソフトなどは大体2−3年で新しいものにとって変わられるが、熱・統計力学の法則は、いつでも新しいものを考え出すときの基礎として変わらずにあり続けます。)

 

実質的に学べる機会は情報工学科では3年後期しかない。これを逃すと、情報の基礎を学ばずに、高校生のレベルに止まったまま大学を卒業することになる。学べる機会を自ら放棄しないようにしましょう。(この科目を学習した人は就職の幅と将来性を広げることになります。いざというとき困らないように学習しておきましょう)

 

講義では話を聞くだけでなく、問題を解く訓練ができる。この訓練を経由しないと関連する書物が読めないことになります。この機会を逃してはなりません。

 

以上のことから、情報物理学を履修することを勧めます

 

単位:真面目に受講していればOK