Last Updated: 2022.05.01

• 計算機シミュレータを横で起動しておいて、本文を読む。

• アセンブリ言語： LOAD, STORE なんて英語表記は分からない
  　計算機の中身を知りたいのに、先ず英語の勉強から、というのは、嫌。 アルファベットは読みにくいし。 どうせ、命令はマウスで選ぶんだから絵文字 (アイコン) で十分。 機械語が嫌だからってんでニーモニックができたんだから、 英語が嫌って言ってもばちは当たらないだろう。 興味が湧いたら、自然と LOAD, STORE も覚えるでしょう。 ただし、今どきの小中学生は、JUMP とか OUT とかの英単語は知って そうだから、JUMP と OUT は、アルファベット。 実は、分かりやすいアイコンが描けなかっただけ、とも。 高等教育では、LDA, LDB, STA, STB, JPP, JPZ, ADD, SUB, OUT, NUL (NOP) とか 表記すればいいかも。

LDA   LDB   STA   STB   JPP   JPZ   ADD   SUB   OUT   NOP (NUL, HLT)

• 機械語は見せない
  　各命令を「 1001 」とか「 0111 」とか機械語 (風) に見せても、 初学者にとっては、0と1で表わされている、ということ以外に 得るものはないように思う。ということで、機械語は、さっくり、 なしにしました。 デコーダの設計とかコントローラの設計とかの話までいったら、 重要になると思いますが。 (正直、4ビットを超えたら、桁を数える気力はなくなります。32ビット、 64ビットは、「すげぇ」と生徒を驚かすためだけです。)
• なぜ、番地 (アドレス) は 0から始まるのか
  　西暦とか年齢とか時間とかインドがどうとか、話を脱線させて下さい。
  (宿題) 「 1から始まるものと 0から始まるものと、それぞれ 3つ探して、 その理由を考えよう」



• プログラムとデータ
  　計算機工学やソフトウェア工学といった高等教育では、 「プログラムとデータは区別されない」とか「プログラム自己書き換えの話」 とか「リスト処理のLISPでは、どっちもevaる」とか難しい概念の話が出てきます。 でも、「プログラム」と「データ」という2つの違う単語を、時には 区別して、時には同一視して説明するのは、少なくとも 初学者にとっては、混乱の元でしょう。 ということで、メモリは、プログラムメモリとデータメモリの 2つに すっぱりと分け、 バスもプログラムバスとデータバスに分けることにしました。 ハーバードアーキテクチャの復活だ、DSPの高速化だ、 流行りの PIC も AVR も同じ構造、というのは、話のついでにするといいのでは、 と思います。命令キャッシュ、データキャッシュってのも、そのまんま。 (実は、KUE-CHIP2でも区別していたから、そのまんまマネしました。 バスは違うけど。メモリを2つに割る方法は、TRONでも、別の理由からですが 採用されています。さて、その理由は？[宿題])



• RISCとか固定長命令とか
  　単純に、命令の数と種類を減らしたかっただけ。覚えるの面倒ですし。 「 5種類 9個のみ！、少ない！！、簡単そう！！！ (本当かぁ？)」。 2語命令 (命令コードとオペランド 1個) に固定したのは、1行 1命令に したかっただけ。 「どうして、足し算命令、引き算命令の後に、役に立たない数字が付いてるの？」と 質問された時に、偉そうにRISCの説明をしてあげましょう。 高等教育では、RISCや固定長命令のメリット、デメリットを説明して下さい。 なお、アドレッシングは、基本的には、直接のみ。即値も間接もなし。 プログラムエリア (メモリ) の数字は、アドレスのみを意味します。
  　ちなみに、参考にした教育用プロセッサ KUE-CHIP2 の命令セットは、7種類 52個 *しか* ありません。 さて、Pentium4 の命令数はいくつでしょう？ (宿題) (ヒント：PentiumからMMX, SSEとかの拡張で、命令数が 283個 *増えて* います。)
  　おまけで、このシミュレータでは、ワード (語) という概念は、 あまり説明しません。 上でも、微妙に、「1行1命令」なんて言い換えています。 なぜなら、プログラムメモリとデータメモリでワード幅が一致していないから (^^; 命令のビット長が任意にできる、というのが正答なんでしょうが、面倒なので、 日本語には単語で数えるという概念はそぐわないから、と言い訳しときます。 逆に、ビット幅が増えて、1行に複数の命令が入るようになると、 スーパースカラの第一歩ですね。



• RISCとCISC
  　RISC ( Reduced Instruction Set Computer 縮小命令セットコンピュータ)と CISC( Complex - 複雑 -)とを比較したい訳ではありません。単に、覚える命令数が 少なくて済む、という「教育的」理由からです。 しかし、「命令数が少ない＝覚えてもしょうもない計算機シミュレータ」 と思われては困りますので、 「簡単な命令でも、組み合わせて高速に実行することで結果的に高性能になるんだよ」 と言っておきましょう。「工学的」理由。 でも、今のパソコンの中のほとんどの CPU は、そんなになってないんですよねぇ。 RISCっぽいCISCっつーか。 組み込みシステムは、またちょっと違うし。「経済的」理由？ ここまでくると、もう、文科系の講義ですね。
  　高等教育では、CISCの複雑な命令も作れることを確認するといいかもしれません。 例えば、シフト命令とか、レジスタ間コピー命令、レジスタ間スワップ命令、 レジスタクリア命令、レジスタインクリメント命令、乗算命令、除算命令、 メモリ間接アドレッシング、スタック命令…。最初っからハードウェアで 入っているか、コンパイラが頑張ってくれないとウツになりますね。
• ロード・ストアアーキテクチャ
  　メモリ−レジスタ間の処理は、ロードとストアだけ、というもの。 メモリは、あくまで、記憶の出し入れのみ。 メモリ−メモリ演算とか、メモリ−レジスタ演算とかが無しになるので、 覚えることも少なくなる。 演算は、2つの数の足し算、引き算しかないし、 レジスタ−レジスタ演算で、対称でいいんではないかと。 高等教育では、キャッシュの話とか、パイプライン処理の話につなげ られるでしょう。 I/O (外部入出力) については、メモリ領域の一部を割当てる メモリマップドI/Oという方法もあったが、素直に、I/O用のレジスタを置き、 ロード・ストア命令の一種ということに。 (IN命令は、未実装)



• クロック、フェーズ
  　同期回路なんでクロックが重要、って話はおいといて、 プロセッサのカタログでは、クロック競争とかあるんで、 小中学生の授業の導入にはいいかも、と。 シミュレータは、気持ち最大200[Hz]くらいで動いているように見えます。 クロックスピードを遅くすると、0.5[Hz]くらい。2G [Hz]のプロセッサは、 この何万倍？
  　一般に、命令は、複数の命令フェーズで順に実行されます。 このシミュレータでは、命令フェーズ毎に、動作の説明を表示するようにしています。 でも、各命令フェーズとクロック数は、一致していません。 アニメーションの都合で適当に変わっています。いいかげんです。すみません。 高等教育でパイプライン処理の話をする時は、もっと正確に説明すべきでしょう。 なお、ここでは、命令フェーズ数は、 P0 から P3 までの4個で統一されています。
  P0:プログラムカウンタを進める、
  P1:命令を読み込む、
  P2:制御信号を出す、
  P3:なんか処理をする。
  命令フェーズ数が一定だと、いろいろとお得なんですよ、お客さん。 ちなみに、P1, P2, P3を、「命令読み込み (fetch)」、「命令解析 (decode)」、 「命令実行 (execute)」と説明しているのもあるようですね。 デコード部が組合せ回路だと、1クロックも掛からないんで、説明時には、 ちょっとアレですが。
  　プログラムカウンタのインクリメントは普通、P0ではなく最終フェーズとか 命令フェッチの裏で行なうのでは？ と疑問に思う方もいらっしゃると思いますが… CPUの動作を説明する際、経験的に、 「P3:次の命令を読み込む準備をしておく」よりも 「P0:次の命令を読み込む」の方が、初学者には理解しやすかったためです。 PCをMARのように使っているから、でもありますが。

  Phase	P0	P1	P2	P3
  HLT	PC++ (PC)→MAR	HALT
  NOP		HALT
  OUT		(Mem)→IR IR→IDC	IDC→Cont.	(Mem)→OBUF
  Bcc				STATUS CHECK of (A) (Mem)→PC (if cc satisfied)
  LD				(Mem)→REG
  ST				(REG)→(Mem)
  ADD SUB				(A)→ALU→A (B)／



• クロックと省エネ
  　動作クロックが可変、というのは、シミュレータの動作が確認しやすい、 というだけでなく、工学的に、また別の意味もあります。 「省エネ」すなわち「低消費電力」です。 電力＝電圧×電流とか、電圧＝電流×抵抗というのは、中学校で習います。 プロセッサ (LSI) は、小さい回路がよせ集まっているので、コンデンサ みたいなのがたくさんできてしまいます。 コンデンサは周波数に比例して電流がたくさん流れますので、 動作クロックが上がると電力消費は大きくなります。 逆に、動作クロックが下がると電力消費は少なくなり、 熱の発生も抑えられます。計算速度 (処理速度) をとるか省エネをとるか？ ですね。
  　あと、消費電力は動作電圧の二乗に比例する、というのもありますね。 モバイルプロセッサや携帯機器 (携帯電話) では、大事な話です。 電池の電圧とか動作クロック可変とかプロセッサの温度とかを調べてみるのも いいかもしれません。 まぁ、一番身近な話といえば、電池の保ち、でしょうか。 この他、リーク (漏れ) 電流による電力消費の話は、シミュレータの 一時停止やステップ実行時に話すといいかもしれません。クロックが止まっていても 流れちゃう電流ってことで。これも、電池の保ちと関係していますね。

  

• 停止命令 HLT
  　ありません。プログラムが入力されていないところで止まります。 これで命令数が1個減りました。覚える量は極力減らします。 i4004も停止命令は、なかったはず。 なお、プログラムメモリが空の状態で「実行」すると、 「実行しました」と出力して止まります。これでいいことにしよう。 NOPっぽいHLT。



• 演算命令 ADD, SUB, MULT, DIV, AND, OR, SL, SR, CMP ...
  　論理演算も比較演算もシフト演算もなにもありません。足し算、引き算のみです。 比較は引き算でやって下さい。左シフトは、同じ数を 2個足して下さい (話が逆転していますが)。
  　ビットシフト命令を入れてくれ、という要求がありました。2進数の乗算除算に 必須ですが…時間ができたら、追加します。でも、小中学校向きではないし… 10進数の筆算でも似たようなことをやってることだし…
• アウトバッファ
  　今どきのゲームソフトは出来が良すぎるので、見た目で勝負すると 負けます。ソリティアにも負けます。 でも、なんかモノを動かすと、小中学生の目の色が変ります。 豆電球とかラジコンカーとか。アウトバッファは、そのためのもの。 一応、8ビットっていうのを視覚的に表わしたいっていう教育的な 理由もありますが、もう、ナイトライダーでウケる時代では ありません。 なお、現場の学校の先生は、話術だけでも生徒を引っぱっていきます。 プロですね。 (最近は、どうかすると、ラジコンカーもあんまり面白がってくれなくなりました。 ということで、先日、ラジコン飛行船に挑戦してみました。(2008/08))

     

• 命令レジスタ IR、命令デコーダ IDC、コントローラ(制御装置)
  　命令レジスタや命令デコーダは、機械語の命令がフェッチ (記憶) されたり、 デコード (解読) されたりするところに意味がある。 本シミュレータでは、機械語を使わないことになったので、 「アイコン表示の命令が "箱の中" で "日本語" になる」ことで、 命令レジスタと命令デコーダを表現することにした。 単に、高等教育で、「命令レジスタとか命令デコーダはどこ？」という 質問に答えるためだけ、かも。
  　また、制御装置は、重要な部分の割には目に見える動きが少ないので、 信号線とかそれっぽい動きを追加。 なお、教科書的な観点から、「命令の流れ」は水色、「データの流れ」は緑色、 というように、一応、ちょっとだけ工夫しているつもり。 生徒は気にも留めてくれないけど。 メモリも同系色で色分けされていたことに気づいていましたか？ (作った自分も忘れていましたけど)

  

• プログラムカウンタ PC について
  　「プログラム」、「カウンタ」どっちも常識の英単語です。 プログラムをカウントするところ。小中学生でも分かります。 Program Counter : PC。 シミュレータ画面では、矢印のみ。 単に、レジスタの箱を増やしたくなかっただけ。箱がなければ、それに 名前を付けなくていいし、「矢印」って言っておけば、 「プログラムカウンタの中の数値とメモリのアドレスがどうのこうの」なんて 説明も不要。
  　ちなみに、一般的には ( ヘネパタ本では、「歴史的には」ってなっている)、 PCは、現在実行中のプログラムのアドレスではなく、次に実行すべき アドレスを保持するレジスタです。プログラム実行中に、1だけ インクリメント ( プラス) されたり、分岐命令で書き直されたりします。 高等教育では、メモリアドレスレジスタ MAR と混同しないように したいところです。
  



• 汎用レジスタ REG と形
  　(汎用) レジスタだけ、立体的に描いています。「箱」です。 箱には、数字が入ります。「レジスタ」とか言うと、小中学生は、 お店のレジとかを思いうかべますので、 「(レジスタって書いてある)箱」で 説明した方が、覚える単語も少なくていいでしょう。 なお、高等教育的には「RISCは、メモリアクセスのボトルネックを減らすために レジスタの数が多くなっている」そうです。 で、このシミュレータは、レジスタは、2個。 他の普通の教育用計算機シミュレータよりも「1個多い」です。 なお、気分的に、GR0 とか GR1 とかいう、汎用レジスタが 10個もありそうな表記は、なし。 (レジスタPとかレジスタZZがもっと凶悪っていう指摘はパス)



• 演算器 ALU の形
  　V字型のALU。2項演算が分かりやすくなる、とか書いていますが、 単に、目立つ形なんで、他のプロセッサのブロック図とかを眺めた時に、 同じ形のブロックを見つけて、なんか理解したような気になれるから、 というのがホントの理由。 ALUにつながる箱を見つけてレジスタ、両側矢印の長いのを見つけてバス、 バスの端っこの大きな箱はメモリまたはキャッシュ、 っていう理解で最初はいいのではないでしょうか？ ( 例えば、 i4004, Z80, 8086, PentiumIII, Pentium4, MIPS ARM とかのブロック図をながめても、すぐに理解できるような気が… ) ヘネパタ本では、演算装置自体、データパスって名前になってる。 組込み屋さんからしたら、演算装置のないプロセッサってのもあるでしょうし。



• アキュムレータ ACC 累算器:
  　とりあえず、小中学生には、暗算させます。 「 4 足す 3 足す 7 足す 13 …」。 で、その時の自分の頭の中を考えてもらいます。 足される数 (頭の中に覚えている数) と、足す数 (先生が読み上げている 数) の 2つしか覚えていなくて、足した端から、足した結果だけ覚えていて、 前の二つの数は、ぽろっと忘れている、というように説明しています。 足した結果だけ覚え直しているのが累算器。 アキュムレータ＝レジスタAです。矢印がぐるっと一周しています。



• フラグレジスタ FLAG
  　状態フラグっていうむずかしい話は、抜き。計算結果が正かゼロか負かで どうにかすることに。計算結果はアキュムレータ (レジスタA) に入るので、 これを直接見ます。色が変わります。 高等教育では、オーバーフローとかキャリーとか 0割り算の話をしてやって下さい。 なお、サンプルの割り算プログラムで、0割り算( 0除算)をやらかすと、 ちゃんと∞、というか、無限ループに入ってくれます。
• 条件分岐命令:＝0, ≠0, ＞0, ＜0 …
  　最初は、「＝0」と「≠0」の2種類にしていましたが、その後、 「＞0」と「＝0」の2種類に変更しました。 書けるプログラムの種類がちょっと増えるため (ウルフの論文の one vs. all の話とも一致するらしい。良かった)。 条件を3種類にしなかったのは、2より増やしたくなかっただけ。 無条件分岐も、命令の種類を増やしたくなかったので没。 無条件分岐をやりたかったら、予め明示的にレジスタAに 値をセットする、ということで。



• インデックスレジスタ IX、レジスタ間接アドレッシング
  　高等教育では、間接アドレッシングってぇのが出てきますので、 ちょっとトリッキーな方法で実現 (してみただけ)。 レジスタ A, B をインデックスレジスタとして使用できます。 しかし、小中学生には、 (とりあえず) 教える必要はないかな、と。 また、それっぽい命令ボタンを付けるのも良くないかな、と。 で，どうやったかというと，ロードストア命令のアドレス指定時に， 16進数で'A'や'B'を入力すると，それぞれのレジスタ内の数値がアドレスに 使用されます． ということで、メモリエリアを広げたり、メモリ領域を スクロールするとかできなくなりました。 (そこまでやる時は、もっと高機能の計算機シミュレータを 使用して下さい。)
  　下の図では、「レジスタAの中の数と同じメモリアドレスのところのデータが レジスタBにロードされる」っていう間接アドレッシングになっています。



• 2進数、10進数、16進数
  　今は、こんなこと中学校で習うのでしょうか？ 16進数なんて、単に、2進数が読み難かったから、ってだけの理由に なっているような。でも、なんか計算機工学っぽい。ということで、 「基数」切替えボタンをお試し下さい。 また、 7進数とか 64進数の話とかで脱線するといいかも。 一部今どきだし。MIME Base64 とか (ホントは64進数ではないんだけど)。
  　一方、アウトバッファとセットで2進数＝スイッチのON/OFFの話を すると「コンピュータは1,0で動いている」に「ふーん」くらいは、 返事してもらえます。モノが動けば、よりOK。ただし、計算機の原理 とか忘れて、生徒の興味は制御の方に飛んでしまいます。



• 2の補数表現 (符号付き整数) 負の数
  　8ビットだから扱える数値は、0から255っていうのは、 小中学生には、簡単に説明できませんし、やっても 面白がってくれません。目が死にます。「8bitイコールしょぼい」です。 先ずは、100円電卓と同じに、データメモリには、負の数が入力できるし、 引き算やると簡単に負の数も出てくることを確認。
  　で、カウンタ (1ずつ足していくプログラム) を無限ループで回すと (とりあえず、無限ループでガンガン動くプログラムを見ると、 小中学生はよろこぶ)、 127の次が、-128になってくれる。または、むちゃくちゃ大きな数 (小中学生は極端なのが好き) で足し算すると変な結果が出る。変な結果は、 生徒本人が引き起こさないと効果半減ですね。
  　単に、このシミュレータをコーディングしてくれた大学の学生さん (今は、 助教授 准教授 教授 ) が、ちゃんと、2の補数のとこまで作って くれてたと (創造くんですね)。 ありがたいことです。高等教育では、2の補数まで教えて下さい。 データメモリの右下の基数切替ボタンを押すと、2の補数が、ビット列ですぐに 確認できます。3 + (-3) は 0。0000 0011 のビットを反転して+1で 1111 1101 が -3。



• アウト命令
  　本シミュレータは、JAVAPortLibを用い、パソコンのパラレルポートに データを出力することができます。モーターとかの大電流を必要とするものは、 そのままではダメですが、豆電球とかラジコンカーの送信器くらいなら 簡単にドライブすることができます。 数十円〜数百円で工作できますので、挑戦されてもいいかと思います。 また、このような授業を実施されたい場合は、ご相談頂ければ、 もしかすると、それなりに、お手伝いできる、かも、と思います。 部品が、ちょっと余っている… ( 連絡先：) ( うっ、基板だけだと数百個も余っていた)。



• プログラムの外部保存、読み込みについて
  　本シミュレータには、作成したプログラムを保存したり、 読み込んだりする機能は付いていません。 その理由は、
  
  • プロセッサの「最もプリミティブ」な ハードウェア/ソフトウェアの動きを理解してもらうために、 OSの機能やエディタに類するものを除外し、裸のプロセッサとする
  • プログラムメモリ、データメモリは合わせて20ステップしかなく、 入力もノートへの記録も、そんなに手間ではない (授業を行なう先生は、大変ですが)。 この入力の手間から、メモリの大きさやブートローダ(IPL)、 外部記憶装置の必要性に気付いてもらいたい
  というものです。 (あと、人為ミスを体験するためにも、学生や生徒による入力ミスを ちょっとだけ期待。)
  　ついでに、この CPUシミュレータには、ヘルプ機能も一切ついていません。 ヘルプの使い方を覚えるのも余計な手間ですし… マニュアルは、ちょっと準備しましたが… 誰かが、使い易い FAQリストを作ってウェブで公開、なんてのがいいかなぁ、と。 手抜きですみません。 このシミュレータを使った講義資料を作ってくれた大学の先生方、 ありがとうございます。
• 文法、構文チェックについて
  　本シミュレータは、命令やデータをテキトーにぐちゃぐちゃ入れても 実行できてしまいます。文法チェックなどやってませんから。 そういう意味で、このシミュレータは、非教育用ソフトかもしれません。 コンピュータは、テキトーなプログラムも 間違ったプログラムもちゃんと実行してしまうことが理解できます。 (プログラムエリアの数値 (アドレス) のみ実行時にチェックしています。 「メモリ管理」をやっているのです、なんちゃって。)
• KUE-CHIP2 について
  　本シミュレータの説明では、KUE-CHIP2というプロセッサの名前が、時々 出てきます。単に、このシミュレータを作成する前に、KUE-CHIP2の載った CPUボードを使って、小中学生に授業をやっていたためです(無謀？)。 この時は、 CPUボードを使う前に、人間コンピュータという実験をやってたようです。 制御装置役、演算装置役、メモリ役の生徒3人とレジスタ用の箱2つで、 コンピュータの動作をシミュレート。 その名残りで、本シミュレータでは、レジスタA、Bのみ、中途半端に 立体的になっています。KUE-CHIP2 の詳細については、ウェブで調べて下さい。



• シミュレータの目的について:
  　結局のところ、目的は、「コンピュータは、とても簡単な数種類の命令だけで 動いている。なんかスゴそうなコンピュータも、人が作ったプログラムで 決められた通りに超高速に動いているだけ」ってのを 初等中等教育の段階から、体験的に知ってもらうことです。 もちろん、高等教育でも同様です。 さくさくっと理解してもらって、「コンピュータの中身はこんなもんか、でも、 色々と高度なこともできるんだな」と次に進んでもらえると幸甚に存じます。
  　なお、この計算機動作原理教育カリキュラムについては、 九州大学安浦研究室、ISIT第1研究室との協力により、 開発が進められました。



• おまけ：オーソドックスな計算機シミュレータの例 ( 通称、フォンノイマンアーキテクチャ)
  　メインのページにも張っていますが、オーソドックスなアーキテクチャの 計算機の実行動作をパラパラマンガにしてみました。 入出力バス1本、アキュムレータ1個、レジスタ-メモリ演算、等々です。 バスが画面全体に広がっているので、学習者が注視すべきところが、 メモリなのか、制御装置なのか、演算装置なのか、 分かりにくくなってしまいました。 あとプログラムカウンタの役割も、うまく表現できていません。 メモリアドレスレジスタが必要ですね。
  • パラパラマンガ (PDF 100KB)
    

  

• 計算機 (CPU) シミュレータを開発した後で (^^; 参考にした文献
  　計算機アーキテクチャ ( コンピュータのしくみ) には、いろいろな歴史があります。 工学的、技術的な背景だけでなく、経済的、社会的な背景もあります。 何が本質で、何を教えるべきかは、「最新のマイクロプロセッサ」が、 どのような変化をし、進歩し続けているかから考えることが できるかもしれません。 以下の文献は、マイクロプロセッサの 「現在の基本」と 「30年前の最新技術」、 「現在の最新技術」を 紹介したものです。それぞれ、1章、2章くらいを 眺めるだけでも、おべんきょになると思います。 (本CPUシミュレータに、どのような意味があるか、についても (^^;)
  • 嶋正利 他: "これでわかる！マイクロプロセッサのしくみ" , インターフェース, 2002-6 , CQ出版社, 2002. (現在の基本)
  • 寺田浩詔, 嶋正利, 鎌田信夫: "復刻版 マイクロプロセッサのすべて", インターフェース別冊付録, 2002-6, CQ出版社, 1975 (初出). (30年前の最新技術)
  • 中森章: "マイクロプロセッサ・アーキテクチャ入門" , インターフェース増刊,テックアイ-Vol.20, CQ出版社, 2004. (現在の最新技術)
  • 上の本の元になったもの 中森章："詳説マイクロプロセッサ", Interface 2003-10 and 2003-11.

  その他：ヘネパタ本は、基本でしょうが、目先を変えて読む本では、 以下もありますね。はんどメイド本と味噌汁本？
  • 渡波郁: "IC10個のお手軽CPU設計超入門 CPUの創りかた", 毎日コミュニケーションズ, 2003.
  • 梅津信幸: "あなたはコンピュータを理解していますか？", 技術評論社, 2002.

  ちなみに、こんな計算機シミュレータを作るようになった 最初のきっかけは、以下にあります。
  • 有川正俊, 岡田伸廣, 澤田直, 木室義彦, 權五鳳, 吉田紀彦, 高倉弘喜: "九州大学工学部電気系学科情報工学コースにおけるKUE-CHIP2教育ボードを 用いたハードウェア実験", bit, Vol.26, No.2, pp.82-86, 1994.
• 謝辞：本シミュレータのユーザさんへ
  　たくさんいらっしゃるようです。ありがたいこってす。 ご連絡頂いた方、今後とも宜しくお願い致します。 もちろん、連絡なしでご自由にお使い下さっても構いませんので。 この他、ご希望の方、どっか共同研究ということで実験授業をしましょう。 提案書はこっちで書きますので、競争的外部資金獲得を… ご相談は、ISITプロジェクト推進部まで。 これまでに、2大学、2件の共同研究実施実績があります。
• 今後の 野望 予定 (もし、協力してくれる人がいたら、の話)
  
  • このシミュレータと同じ動作をするプロセッサを TTL-IC で作る。
    　似たような本が、もう出てるしなぁ。それに、昔やったから、もう二度と *自分では* やりたくないよなぁ。
  • このシミュレータと同じ動作をするプロセッサを PIC で作る。
    　ちょっとやってみたって人がメールをくれたなぁ、一緒にやろうかなぁ。
  • このシミュレータと同じ動作をするプロセッサを FPGA で作る。
  • このシミュレータと同じ動作をするプロセッサを ASIC で作る。
    　KUE-CHIP2-Kidsを作るっていうヨタ話が…

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