福岡ナノテク推進会議ナノテク産業化促進事業(研究会)

1. プロジェクトの目的

九州はシリコンアイランドだけでなくカーアイランドとも呼ばれ,外見上は活況を呈しているように見えます. しかし,福岡県内にある中小企業は国内だけでなく東アジア諸国とのコスト競争に曝され,低収益構造に陥っています. この悪循環から抜け出すためには自社固有の革新的モノづくり技術を保有する必要がありますが,低収益構造が原因で研究開発部門へは投資し辛い状況にあります. 当該事業の目標は,中小企業でモノづくりに従事している中堅技術者の方々を対象にし,近未来に自社固有の革新的モノづくり技術を開発できる人材を育成する点にあります. 2007年7月から2008年3月までの半年間,講師の先生をお招きして最先端のモノづくり技術を普及するための勉強会を実施します. また,中小企業で求められているものづくり技術を共同開発する機会を設け,近未来に革新的なモノものづくり技術を創成できる技術者の育成に貢献したいと考えています.

2. プロジェクトの概要

我が国の産業構造を支えている中小企業が国内外でのコスト競争に勝つためには,従来は造ることができないと思われていた,超精密微細部品を短時間で製造できる超精密微細加工技術, あるいは,従来は長時間を要していた高硬度材料に対する加工時間を例えば1/10以下に短縮化できる高速加工技術等を自社開発する必要があります. 当該事業を行う福岡工業大学では,長年に渡って切削,研削,放電,レーザ,ならびにエネルギービームを駆使した超精密微細加工技術の開発を行っています.
a. 超硬合金に対して100 nm Ry以下の平滑な加工面を作ることができる,図1に示すマイクロ研削用の工具
b. 超硬合金に対して微細形状を短時間で作ることができる,図2に示す焼結ダイヤモンド製のマイクロ切削工具
c. 図3に示ような,レーザを使った高速微細加工技術
d. 図4に示すような焼結ダイヤモンド製研削工具を短時間で作ることができる,レーザを使った工具製造技術
といった固有技術を持っています.

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図1ダイヤモンド砥粒の先端を平坦化した直径が0.2 mmのダイヤモンド電鋳工具
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図2超硬合金に対する高速荒加工用に開発した直径が0.1 mmのPCD製切削工具

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図3レーザを使ってガラス状炭素に加工した直径が0.4 mmの凸状ディンプルの例
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図4レーザを使って加工した凹状ディンプルを持つ直径が0.2 mmのPCD製研削工具


当該事業では,福岡工業大学が保有する固有技術を中小企業に技術移転するだけでなく,自社固有のものづくり技術を創成できる技術者を育成することを目標に挙げています. 事業目標を達成させるため,
1. 中小企業の基盤技術の向上を図るため,最先端のモノづくり技術を普及するための勉強会,
2. 中小企業で求められている革新的ものづくり技術に関する共同開発,
を実施します.

3. 勉強会の内容

2007年7月から2008年3月までの半年間,以下の8項目に関する勉強会を実施します.各テーマとも,国内で最先端の研究をされている先生方を講師にお招きする予定です.
1.工作機械技術の最先端技術
2.切削加工の最先端技術
3.研削加工の最先端技術
4.磨き加工の最先端技術
5.放電加工の最先端技術
6.レーザ加工の最先端技術
7.エネルギービーム加工の最先端技術
8.超精密微細加工の最先端技術
9.超精密微細転写の最先端技術

4. プロジェクトに関する問い合わせ先

本件に関する問い合わせの窓口は,福岡工業大学総合研究機構です.