そこでこのシミュレーションを試みるための基礎的な文献の案内か ら始めよう.スペースシャトルの中のペンチの運動を分かりやすく解説した本は
科学シュミレーション研究会: パソコンで見る複雑系である.Turbo C++ Version 4でコンパイル可能なソースファイルと,MSDOS 環境下で実行可能なEXEファイルも収録されている.我々はペンチの形状データ, ペンチの慣性モーメント等はこのソースファイルを参考にして決めた.ゴールドスタインカオス
量子,BLUE BACKS B1160, 講談社(1995)
ゴールドスタイン: 古典力学(上),吉岡書店(1983)は古典力学の定番教科書として著名で,第4章「剛体の運動」で無重力状 態での剛体の運動方程式が導かれている.一方,コマの運動を丁寧にそしてやさしく解説し本は
安井久一: コマはなぜ倒れないか,共立出版株式会社(1998)が最良なテキストである.文献[1]に収録されているソースファイルを理解するには,Euler-Olinde-Rodorigues のパラメタ,Cayley-Klein のパラメタを理解しておくほうがいい.これについては
山内恭彦: 回転群とその表現,岩波書店,(1957)の第3章「回転群の表現」が詳しい.最後に本稿と直接関 係しないが
牧野淳一郎: パソコン物理実地指導,共立出版株式会社(1999)は,物理系の振る舞いを数値的に調べるときに,どうやって求まった答えが「正しい」かどうかを判断するという議論,すなわちシミュレーション結果の検証にかなりのスペースを割いている.プログラムリストもついており,セミナーの教材として最適であると考え,採用した.