未来を創造する、福工大の挑戦
ウェアラブルデバイスを用いた新しい健康管理システムの開発
情報工学部 情報システム工学科
李 知炯 助教

日常生活で使う器具を用いて日々の体調変化を把握
李知炯(り・じひょん)研究室では、身に着ける「ウェアラブルデバイス」を用いた新しい健康管理システムを研究しています。日常生活で使うメガネやイヤホンなどに、センサーを組み込んだ独自のデバイスを製作。このデバイスを装着した人の体調のデータをリアルタイムで読みとって蓄積し、健康管理に役立てることが研究テーマです。実は、私たちの体温や脈拍、血圧などの状況は1日の中で大幅に変わり続けています。この変化をリアルタイムで分析し続けることで、病気になる前ぶれなど体調が変わる兆しをつかむことができます。ウェアラブルデバイスから体調のデータを集め、その情報から私たちの体に起こる変化を予測する「新しい健康管理のあり方」を追究しています。
温度センサーを内蔵した「イヤホン」で体温・脈拍を計測
「イヤホン型デバイス」は、耳に着けるだけで体温や脈拍を測ることができます。組み込まれた超小型の温度センサーが、内耳の温度を測定。また、光を用いて耳の血管に流れる血液量から心臓の動きを測ります。AIプログラムを用いることで、イヤホンとして音楽を聴いているリラックスした状態から、無意識のうちに体調やストレス状態を把握することができます。
超小型ポンプと光センサーを用いた「指輪」で血圧や血管状態を把握
腕帯を用いた血圧計とは異なる、指から血圧を割り出す「指輪」型の血圧計を製作しています。超小型・薄膜のポンプで空気を送り込むことで、指輪の内部が膨張。さらに、搭載された光センサーが血圧だけではなく、血管の動きや弾性度を計算。この測定によって、心血管系の健康状態を把握することができます。
身体に触れない「カメラ」を用いて脈拍・体温を計る
小型カメラセンサモジュールが、被験者から離れた状態で脈拍・体温を測ります。このセンサモジュールは、被験者の顔から反射される光と放射される熱を撮影。撮影された画像の光と熱の微妙な違いをシステムが分析して、皮膚の下の血管の動きや体温の変動を被験者に触れることなく読み取ります。非接触方式なので、被験者にストレスを与えることなく計測できます。