
生命環境化学科4年
(2023年7月取材時)
ズーグレア属細菌の研究
奥田研究室では病気に関わるものから環境中に生息するものまで、多様な微生物を対象に、その制御や利用に関する研究を行っています。なかでも私は、活性汚泥を用いた水処理(水質浄化)において重要な役割を果たす「ズーグレア属細菌」の研究を進めています。この細菌は、活性汚泥中でフロックと呼ばれる集合体(バイオフィルムの一種)を形成しますが、その中には多種多様な微生物が含まれていて、汚水中の有機物を分解します。ズーグレア属細菌が、フロックを形成するメカニズムはまだ不明な点が多く、それを分子レベルで明らかにすることが研究テーマです。以前から、環境問題や環境に関わる微生物について興味があったので、この研究室を選びました。研究室の奥田先生は2023年4月に着任されたということもあって、まだ研究室に在籍する学生の人数は多くありませんが、みんなで協力し合って楽しく研究に取り組んでいます。
4月から研究をスタートしたばかりですが、主体性をもって興味のある研究に取り組めていることを何より嬉しく思っています。やりがいを感じるのは、培地の種類・日数・温度など様々な培養条件を検討して、フロック形成に適した培養条件を発見できたとき。また、事前に予想を立てて実験を行い、その通りの結果が出たときは喜びもひとしおです。この研究室では毎週金曜日にゼミが行われますが、研究報告や論文紹介の機会があるので、こうした活動を通して資料をまとめる力やプレゼン力も身につきました。今後は、フロック形成の分子メカニズムを明らかにして、効率的な水処理技術の開発に繋がるような発見をしたいと思っています。卒業後は、環境・リサイクル事業を行っている企業で、品質管理や新商品開発などの業務を担当する予定です。
「タンパク質の電気泳動」の実験に取り組む、同じ研究室の藏森さん。タンパク質の培養液を、容器から滅菌したピペットでゆっくりと吸いあげる。
ピペットの培養液を、分析器のガラス板に挟んだゲル内に入れて、電圧をかけてタンパク質を移動させる。数値の大きさによって移動度合いが分かる。
吸光度測定装置に試料の入ったプレートをセットし、フェノール硫酸法によってフロック(バイオフィルムの一種)に含まれる糖を定量する。
試料をセットした後、ボタンを押すだけで吸光度測定装置が作動。測定されたデータは装置のパネルに表示される。
微生物実験に欠かせない安全キャビネットの中で、微生物を培養する。安全キャビネットは他の雑菌が混入しないようになっており、無菌環境下で作業を行う。
マイナス80度の冷凍庫から、細菌を保管したボックスを取り出す。ボックスには、凍った状態の細菌入り培養液を封入したバイアル(容器)が並ぶ。
バイアル内の凍っている試料をツマヨウジでかき出し、その取り出したシャーベット状の試料を試験管の培地に入れて細菌を培養する。
毎週1回ゼミが行われ、学生は研究成果や進捗状況を、グラフ等を用いて報告。先生からは、この後の研究の進め方などアドバイスをもらうことも多い。