新着情報[生命環境化学科]無機ナノシートーポリマー複合体に関する技術発明が特許権を取得

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2022.03.02
【特許番号】第7006885号  【登録日】令和4年1月11日
【発明の名称】無機ナノシートーポリマー複合体の製造方法、及び無機ナノシート
工学部生命環境化学科の宮元展義准教授、諸岡時希さん(卒業生)が発明し、特許出願した「無機ナノシート-ポリマー複合体の製造方法、及び無機ナノシート-ポリマー複合体」に関する技術発明が特許権を取得しました。

< 本特許発明の要約 >

近年、無機/高分子ナノ複合材料について、当該材料の機械的特性、弾性率、ガスバリア性等の各種特性を向上させる観点から研究が進められています。これまでの研究の中で、高アスペクト比を有する無機ナノシートと親水性高分子ゲル(ハイドロゲル)とを複合化させることで、無機ナノシートの液晶構造を高分子ハイドロゲル中に固定化させることができ、機械的強度が向上すると共に異方的な性質が発現することが報告されているものの、親水性高分子ゲルは溶媒を必要とし、また、空気中で当該溶媒が蒸発することから、親水性高分子ゲルを用いることができる環境は限定されています。また、親水性の無機ナノシートとエラストマー等の疎水性の高分子とを複合化すること、すなわち、無機ナノシートと高分子自体とを複合化する場合において、無機ナノシートの分散性を高くすると共に無機ナノシートの配向を高く制御することは、従来の有機化層状粘土鉱物の利用、混練による複合等による手法では実現できません。

本発明の無機ナノシート-ポリマー複合体は薄板形状の無機結晶である無機ナノシートとポリマーとの複合体であり、以下のようにして得ることができます。まず、極性溶媒に所定のポリ化合物、及び触媒等を溶解させてプレポリマー溶液を調整します。また、無機ナノシートを水に分散させて無機ナノシート分散液を調製します。そして、得られた無機ナノシート分散液とプレポリマー溶液とを混合して混合溶液を作ります。続いて、この混合溶液を架橋剤溶液に接触させます。これにより、プレポリマー溶液内のポリ化合物が架橋します。その結果、無機ナノシートの分散性が高く、異方性を発揮する無機ナノシート-ポリマー複合体(エラストマー)が得られます。水系溶媒を用いる無機ナノシート分散溶液と、極性溶媒を用いるプレポリマー溶液(ポリ化合物が分散した溶液)とを準備し、これらを混合しますので、無機ナノシート分散液とプレポリマー溶液とは十分に混合し、無機ナノシートとポリ化合物とが均一に分散した混合溶液を得ることができます。ここで、無機ナノシートの粒径や濃度を制御することで、混合溶液内での無機ナノシートの分散性を高くすると共に配向を高い状態に制御できます。
ここにポリ化合物の架橋剤を作用させると、無機ナノシートの分散状態が混合溶液中で維持された状態で、プレポリマーの架橋反応が混合溶液中で進行してエラストマーが合成されます。
これにより、従来ではできなかった親水性の無機ナノシートと疎水性のエラストマーとを複合化させることができます。更に、本実施形態に係る無機ナノシート-ポリマー複合体においては、親水性の無機ナノシートの分散性が高く、かつ、配向が高く制御された状態の無機ナノシート-ポリマー複合体を得ることができます。

図 実施例に係るFHT-ポリウレタン複合エラストマーのファイバー、及び比較例に係るFHTを含有しないポリウレタンエラストマーのファイバーの引張試験の結果

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