
防災と環境の調和した
流域づくりを目指しています。
田井 明
- 研究分野
- 防災工学、環境水理学
- 担当科目
- 環境水文学、防災情報学、フィールドワーク
※ 2023年7月取材時
研究分野
川や海の「水の動き」に関連する洪水災害や水環境を研究。
近年、毎年のように豪雨災害が発生するなか、九州では2012年、2017年九州北部豪雨、令和2年7月豪雨など人的被害を伴う災害が生じ続けています。将来は、地球温暖化の影響で大雨の頻度、強度の増加といった極端気象が世界的に増える可能性が高いことが報告されています。そこで現在、災害の現地調査、コンピューターシミュレーションによって、洪水の被害拡大メカニズムの解明や気候変動の影響予測を行い、有効な防災策を検討しています。また沿岸海洋では水質が悪化し、水産資源も減少。地球温暖化の進行で、水環境はより変化していくと考えられています。沿岸海洋の水環境は、潮汐・潮流・波浪などの流れ、そしてその流れで移動する土砂や生物によって影響を受けるため、九州各地の内湾(有明海,八代海,博多湾など)や干潟を対象に、最新の観測装置を用いた流動や水質の調査や数値シミュレーションを実施し、環境変化のメカニズム探究や将来予測に取り組んでいます。

ゼミについて
フィールド調査も実施して追究する洪水災害対応や沿岸環境保全。
洪水災害や沿岸環境などの研究を行う、「水圏防災・環境学ゼミ」です。このゼミでは、まず研究論文の輪読などから始め、データ収集・解析、コンピューターシミュレーション技術を学び、将来の洪水災害への対応や沿岸環境の保全に関する知見の獲得や技術開発を行います。また研究用のデータについてはフィールド調査を実施し、自らがドローンやGPSなど最新の調査機器を用いて取得します。なお、ニュース等で頻繁に報じられた2023年7月に久留米市の田主丸で起こった豪雨災害の調査に出かける際、ゼミ生が同行を申し出て調査を手伝ってくれました。またゼミ生の中には、「防災士」の資格を取得している学生もいます。こうした研究に関連する積極的な姿勢は、大いに歓迎するところです。

身につくチカラ
統計解析やGISのスキル、調査での協働力などを身につける。
ゼミではデータの取得、整理、分析を行う統計解析やGISのスキルを身に着けることができます。また、フィールド調査においては、最新の調査機材を用いてデータを取得する技術を習得することができます。研究はゼミの仲間や他大学と共同で行う場合が多く、チームワークや協働の際の調整能力なども養えます。高校までの勉強とは違い、社会では答えのない問いに向き合っていく必要があります。大学での学びは、その準備段階として様々な経験を積むことが重要です。現在社会では文系と理系の壁がなく、様々な価値観やスキルを持つ人材が求められています。社会環境学部では、法律、経済から水環境から防災という現代社会が直面している諸問題を多角的視点から学ぶことができますが、私自身、多様な分野で研究を行う先生方から多くの刺激をもらっています。

担当科目紹介
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環境水文学(すいもんがく)
地球温暖化や人口増加の影響で、将来的な環境悪化、大規模な水不足、大洪水などが予想されています。この水に関する問題に幅広く対応するため、基本的な水文学的アプローチを理解・修得します。(水文学は、天文学の「水」バージョンのイメージです。)
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防災情報学
防災および避難を適切に行うための、各災害の特性、その特性による災害情報の利用の仕方や最新の技術、また今後の課題についても学習します。
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フィールドワーク
教室で学んだ知識を、実際のフィールドで応用する授業です。ハザードマップと現実の災害リスクの違い、ドローンなどを用いた現地調査方法を学びます。