福岡工業大学 工学部知能機械工学科 /
大学院工学研究科 知能機械工学専攻

三澤研究室 


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●研究内容(本学学部学生向け)●

本研究室では,計算機シミュレーションを用いて物質・材料に関する研究を行っています.対象とする物質は,金属,セラミックス,ガラス,カーボン,半導体,鉱物など様々ですが,特にナノスケールの構造に起因する物理的性質や現象に着目するという点で共通しています.ナノスケールの構造を原子・分子レベルで詳しく解析するため,物質を構成する粒子一つ一つを離散的に扱う手法である「分子動力学法」や「第一原理計算」などのシミュレーション手法を利用しています.

分子動力学法とは,ニュートンの運動方程式に基づいて物質を構成する原子・分子1つ1つの運動をシミュレートする手法です.一般的にこの手法では,運動方程式を解くために経験的な原子間相互作用ポテンシャルと呼ばれるものを用いることが多いです.原子間相互作用ポテンシャルとは物質を構成する原子の座標情報を用いて系のポテンシャルエネルギーを決定するモデルであり,これによって得られたポテンシャルエネルギーを偏微分することで特定の原子にはたらく力を計算できます.さらに,引張・圧縮などの力学的操作や温度・圧力条件の制御を加えることで,系の性質を様々な観点から詳しく調べることができるため,機械工学分野でも多くの研究に利用されています.

 

第一原理計算とは,経験的なモデルを仮定せず(非経験的)に計算を行う手法のことを指します.つまり,この手法では前述のような経験的な原子間相互作用ポテンシャルは用いず,系のエネルギーを量子力学に基づく電子状態計算によって求めます.計算コストは非常に大きいですが,極めて高い精度で,より幅広い物理現象を詳しく調べることが可能となります.また,第一原理計算と分子動力学法を組み合わせた「第一原理分子動力学法」では,有限温度下にある物質の振る舞いを第一原理計算の精度で調べることができます.

  

本研究室に配属された学部4年生は,まず分子動力学法の基礎知識を学び,卒業研究で行うテーマを決定します.この際,教員からいくつかのテーマを提案しますが,その他に興味のある分野や特に研究してみたいことがある場合は,学生自らテーマを考案してもかまいません.希望に応じて実施可能な範囲で前向きに検討し,相談しながら研究テーマを決めていきます.

大学院に進学すると,スーパーコンピュータを駆使した大規模の分子動力学シミュレーションや,第一原理計算および第一原理分子動力学シミュレーションを利用し,より発展的な研究テーマに取り組みます.学部4年次に他研究室で全く異なる研究テーマを実施していた場合も,やる気のある学生は誰でも歓迎します.興味のある方はまずはお気軽にご相談ください.


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