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高速・電鋳工具製造技術 |
1.高速・電鋳工具製造技術
電気力線が集中する部分でめっき皮膜が異常成長する性質を利用しますと,電鋳皮膜を想像以上に短時間で製造できます.
皮膜の製造に使用した装置の概要を図1に示しています.
円柱状の電極を被覆するアクリル製カバーに幅が2mm,長さが15 mmの溝を造っています.
ですから,溝に沿って皮膜は成長することになります.
cBN砥粒やダイヤモンド砥粒は,外周を親水性フィルタで覆ったアクリル製円筒の中に入っています.
アクリル製円筒は,陰極として使用したステンレス製の丸棒を中心にして回転する機構になっています.
陰極を低速回転させることにより,(電着→かく拌→埋め込み)といった一連の工程を連続して行うことができます.
この連続低速かく拌法を用いた場合,陰極電流密度を10 A/dm2に設定した場合には電鋳皮膜の砥粒密度を30 Vol%程度にまで上げることができました.
図2(a)に,試作した電鋳皮膜の一例を示しています.
ステンレス製の陰極を被覆するアクリル製カバーに設ける溝の数を4本にした場合には,直径が2 mm,長さが15 mmのかまぼこ状電鋳皮膜を7.5時間で製造できます.
2. cBNマイクロ研削工具
円柱状に成形したcBN電鋳皮膜を直径が3.175 mmの工具軸に圧入した後,これを機上でペンシル形にツルーイングしてみました. cBN砥粒のメッシュサイズは#1000,ツルーアにはメタルボンドホイールSD600Q100MW6(10φ×5T), 遊離砥粒WA3000を塗布したポリシャを工具に押付けることにより,工具のドレッシングを行いました. 工具軸に圧入した円柱状cBN電鋳皮膜の状態を.図2(b),ペンシル形にツルーイングした工具の状態を 図2(c))に示しています. メッシュサイズが#1000のcBN砥粒,つまり平均粒径が15μmのcBN砥粒をを用いた場合には,工具先端直径を20μmまで成形できています. 基本的には,cBN砥粒の粒径と同じサイズにまで,工具先端直径を細く成形できると思っています.
![]() 図1 横形連続低速かく拌法を用いためっき装置の概要 (@:陽極(Ni),A:アクリル製円筒),B:砥粒,C:円柱状電鋳工具,D:ステンレス製陰極, E:アクリル製カバー,F:めっき液,G:親水性フィルタ) |
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図2 電鋳皮膜とマイクロ研削工具 |