非線形力学

核四重極子と単振り子の2つに共通することは,物理系を記述する常微分方程式をキック衝撃の周期に関して積分することによって,直接,付随する逐次写像が得られることである.非線型方程式系の周期解を,Poincare断面上で考えると周期解は固定点になることを使うと,周期解の分岐を調べることができる.このためには,流れの固定点とPoincare断面の固定点が全く同じ分岐を示すか,ということが問題である,幸いにして,我々の系では,運動方程式式をとかなくとも,逐次写像は計算できPoincare断面上の点の動きが分かり,Floquetの定理によってPoincare断面上の線形安定性を比較的容易に解析できる

パラメータのある範囲にわたって系の大域的な振る舞いの概要をえる有用な方法に分岐図がある. 初期値を最初に固定し,この初期値から出発する点列が収束するアトラクターの性質のみに注目して分岐図を求める.アトラクターは無数の層からできていて,拡大してみた微細構造はもとの粗視構造と類似している.この自己相似性について考察した.

問題点は核四重極子の運動の場合,単位球から単位球への可逆な保測写像になるため,平面から平面への可逆な保測写像と異なり解析が困難となることである. ところが,この写像は involution の積であらわされ,対称性を反映していることが分かった. このような系は Birkhoff によって研究されている.さらに興味深いことには,involution の積に2通りに分解できることである.この性質を積極的に利用する必要がある.

査読付き論文

  1. (1)M. Tokita, S. Kawabata: Dynamics of classical quadrupole moment I, Chaos, Solutions and Fractals 13 ,(2002) 997-1015
  2. (2) S. Kawabata, M.Tokita: Dynamics of classical quadrupole moment II, Chaos, Solutions and Fractals 13 ,(2002)1017-1030

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