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補足情報 明解 3次元コンピュータグラフィックス」 
更新日 : 2007/5/16

福岡工業大学
情報工学部
情報工学科

荒屋 真二 著

「明解 3次元コンピュータグラフィックス」

共立出版(株)
2003.9



ページ 補足内容
B
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 本書では,3次元CGソフト“Shade”の開発元であるエクス・ツールス(株)から多くの画像をご提供いただきました.しかし,2003年4月より、Shadeに関する事業は、(株)イーフロンティアが,エクス・ツールス(株)より引継いで行っています.Shade に関する最新情報は
    http://shade.e-frontier.co.jp/
を参照ください.
8 表1.3 1995 フォトンマッピング法(H. W. Jansen):計算効率の良い大域照明アルゴリズム
8 表1.3 2004 X3D(Extensible 3D)の仕様書がISOにおいて承認される.FAQ7参照。
8 表1.3 2005 Google Earth (Keyhole ver.3.0) 公開
9
16行以降に追加
 Google Earth(グーグルアース)は、Google社が2005年6月28日から無償で配布している仮想立体地球儀ソフトであり、世界中の衛星写真を地球儀を回しながら閲覧することができる。通常の画像解像度は15mであるが、大都市や興味深い地域の解像度は1mや60cm、30cm、15cmなどの場合もあり、自動車の車種さえ判別できるほどである。地表は平らではなく立体的であり、凹凸のあるグランドキャニオンやエベレストは迫力を持って鑑賞できる。また、有名な建物は3次元表示され、いろんな角度から眺めることができる。さらに、3次元アニメーションも可能であり、ロンドンの大観覧車が回転している様子を見ることができる。ユーザは、画像あるいは建物の上に目印を置き、その名前や説明を記述して保存すれば、KMLファイル(Keyhole Markup Language)またはKMZファイル(KMLファイルをZIP形式で圧縮したもの)を自分のパソコンに保存できる。このKMLファイルをWebサーバにアップロードすれば、説明付の立体地球儀を世界に公開することもできる。さらに、無償の3次元モデリングソフトGoogle SketchUpを使用すれば、オリジナルの3次元モデルを制作してKMLファイルとして保存できる。この3次元モデルをGoogle 3D ギャラリーに登録すれば、実世界座標を用いて仮想地球儀上に配置することができる。
14-19    本書の3次元幾何変換では3次元座標を縦ベクトルを用いて表している.ゆえに,横ベクトルを用いている他の本やHPと各種座標変換行列の表し方が異なっている.横ベクトルを用いたいときには転置(行と列を交換する操作)を行えばよい.
27 図3.11  デバイス座標系の目盛りの記述を,1024 と 768 としているが,原点を (0,0) としているので,正確には 1023 と 767 となる. 画面の解像度は 1024 × 768 である.
112 9.1節の次 フォトンマッピング法(1)〜(4)

 フォトンマッピング法は1995年に Henrik Wann Jensen によって提案された大域照明アルゴリズムである(1)〜(4)。大域照明では、光源からの光が物体に直接当たる場合だけでなく、物体間の相互反射、影、屈折、鏡面反射、集光現象なども含め、全体的に照明現象をモデル化する。大域照明における輝度計算問題は1986年に Jim Kajiya が提唱したレンダリング方程式を解く問題に帰着される。レンダリング方程式とは、物理的に正しい大域照明をモデル化した式で、ある点からカメラに向かう光の総量を定義している。レンダリング方程式の一解法として、レイの経路を確率的に選んでいく、モンテカルロレイトレーシングがある。しかし、この解法には次のような問題点がある。

 ・画像品質を上げるには処理時間がかかる
 ・ノイズが残る

 この問題点を解消しようとして提案されたアルゴリズムがフォトンマッピング法である。フォトンは照明計算のための仮想的な概念であるが、物理学でいうフォトン(光子)が多数集まったものに類似している。

 フォトンマッピング法は二つのステップからなる。
 <ステップ1> 光源からフォトンを飛ばしてフォトンマップを作る(フォトントレーシング)
 <ステップ2> 視点からレイを追跡し、フォトンマップを参照しながら輝度を計算する(レイトレーシング)

 ステップ1のフォトントレーシングでは、光源が発する光の方向へフォトンが発せられ、物質の表面などで、その材質に応じた確率で散乱または吸収される。散乱方向も材質に応じた確率で決められる。吸収の場合、吸収位置をキーとして、エネルギーと入射方向などが「フォトンマップ」に記録される。このフォトンマップはフォトンを格納するための3次元データベースであり、シーンデータとは独立して管理される。位置をキーとしたフォトン検索の効率化を図るために、データ形式として空間を x,y,z 座標平面に平行ないずれかの面で再帰的に区切っていくKdツリーなどが利用される。
 ステップ2でのレイトレーシングでは、レイのぶつかった地点付近の複数のフォトンをフォトンマップから検索し、各フォトンの情報から反射光の強さを計算する。反射光の強さが、フォトンの位置、入射方向、エネルギーのデータからうまく計算できることが大きなポイントである。

フォトンマッピング法は次のような性質をもっている。
 ・一般に、フォトン数を多くすれば画像品質は向上するが計算時間は増大する。
 ・フォトン密度を計算するための半径が小さすぎると輝度が不連続になる。

フォトンマッピング法は次のような理由から急速に普及した。
 ・レイトレーシング法との統合が簡単である。
 ・フォトンは3次元空間内の位置だけで決まり、シーン中の幾何形状に依存しない。
 ・フラクタルなどの複雑な表面では膨大な数の面素を必要とするラジオシティ法の欠点を回避できる。
 ・スキャタリングメディア(半透明物体や霧、煙など光の散乱と吸収を繰り返す媒体)に対しても利用できる。
 ・集光現象を再現できる。
 ・視点非依存の表現であるので、ラジオシティと同様に、リアルタイムグラフィックスでも利用できる。

<参考文献>
 (1) Henrik Wann Jensen and Niels Jorgen Christensen: "Photon Maps in Bidirectional Monte Carlo Ray Tracing of Complex Objects", Computers & Graphics vol.19 (2), pp.215-224, 1995.
 (2) Henrik Wann Jensen:Global Illumination using Photon Maps. Rendering Techniques'96, pp.21-30, 1996.
 (3) Henrik Wann Jensen: Realistic Image Synthesis using Photon Mapping, ISBN: 1-56881-140-7, AK Peters, 2001.
 (4) フォトンマッピングにより生成された画像と映像:
http://graphics.ucsd.edu/~henrik/
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 2004年、これまでの AGP 規格に代わる PCI Express 規格に対応したビデオカードが一気に発表された。ATI社の RADEON シリーズでは、RADEON X800、X600、X300と、3グレードにわたって PCI Express に対応した GPU が発表された。PCI Express はインテル社が提唱し、PCI-SIG が承認リリースした次世代 PCI バスインタフェース規格である。AGP はグラフィック専用のバスであるため、ほかの周辺機器を接続できない。PCI Express では、従来の PCI、PCI-X、AGP といったような違いをなくし、すべての拡張バスを一本化した。PCI Express は、1本のバスでデータを直列的に転送するシリアルインターフェースである。PCI や AGP は、複数のバスを用いてデータを転送するパラレルインターフェースである。PCI Express の最大データ転送速度は 2.5Gbps である。10bit で 8bit の転送を行う関係上、実効データ転送速度は 250MB/秒となる。しかもこの速度は片方向のみなので、パラレルと同じ双方向では 500MB/秒となる。この速度は現行の PCI 2.1 のほぼ 4倍、AGP x2 とほぼ同等である。規格では 1レーン、2レーン、4レーン、8レーン、12レーン、16レーン、32レーンがある。現在は 1レーンが複数本と、ビデオ用に 16レーンが1本という構成が多い。16レーンの PCI Express x16 では、片方向 4GB, 双方向 8GB の転送レートとなる。これは AGP x8 の 4 倍に当たる。
182 表12.8  最近では、次の解像度も使われている.
 SXGA+(1400×1050)
 QXGA (2048×1536)
SXGA+はモバイル・ワークステーションなどと呼ばれているハイエンド・ノートPCで最初に採用された。QXGA(Quad-XGA)はXGA(1024×768)との相似比が2倍であるためこう呼ばれる。QXGAはデスクトップだけでなく、ノートPCでも採用されるようになってきたが、15型液晶モニタでは表示文字が小さすぎて眼に悪そうである。

また,ワイドモニタの登場により,次のような解像度も利用されている.

 WXGA (Wide XGA) 1280×768
 WSXGA (Wide Super XGA) 1600×1024
 WUXGA (Wide Ultra XGA) 1920×1200

 WQXGA (Wide Quad-XGA) 3840×2400