未来を創造する、福工大の挑戦
「プラズマ」を用いた農作物の高付加価値化で日本の農業発展に貢献
工学部 電気工学科
北﨑 訓 准教授

「プラズマ」を用いた農作物の高付加価値化で日本の農業発展に貢献
「プラズマ」は、物質の温度が上がり分子間の結びつきが弱くなることで、気体の分子から電子が飛び出した(電離した)状態であり、固体・液体・気体に次ぐ「物質の第4の状態」と呼ばれています。他の物質の特性を変化させる作用があるため、産業分野では素材の高機能化などでの応用が進められています。また、医療分野でも低温プラズマを用いた治療機器の開発が研究されるなど、私たちの生活の様々な場面で活用が期待されています。
環境に無害なプラズマを用いて植物細胞の成長を活性化
プラズマを農業分野に応用すると、農薬や遺伝子組み換えなどに頼らず、残留性がない環境に無害な方法で植物細胞の成長を活性化することができます。種子の発芽時期、成長速度、収穫量を制御できる技術を確立できれば、計画農業推進への貢献が見込めます。また、農薬を用いずに農作物の長期保存や味などの改善ができれば、日本で生産された無農薬作物をより多く海外へ輸出することも可能で、日本の農業発展への貢献はもとより、高付加価値農産物として日本の優位性を維持できます。
古賀市との連携で「スイートコーン」の種にプラズマ照射実験を実施
北﨑研究室では、このプラズマを用いて、農作物の高付加価値化を目指す検証実験を進めています。古賀市と連携による実験では、市の特産品である甘みの強いトウモロコシ「スイートコーン」の種にプラズマを照射。市内の(有)安武園芸様の協力を得てこの種を育て、将来の商品化を目指しています。研究室ではこれまでの研究で、プラズマが植物種子の発芽や苗の成長促進に効果があることを実証済です。これを応用し、プラズマの力でスイートコーンを早く成長させることを目指しています。一般のコーンよりも早期の成長&市場出荷を実現し、市場で希少価値の高い時期に販売できれば、農家の収益向上にもつなげられます。