Two Examples of Computer Simulation of Vibration:
WWW Based Teaching of Vibration and Self Excited Chatter in Grinding.

Professor B J Stone (Short CV, Research) , The University of Western Australia






概要
機械加工時に発生する振動は,加工面を荒らすだけでなく,工具の過剰損耗や,騒音の発生原因になります. この振動は,生産加工の分野では絶えず問題になることですが,これを解析できます.

Turning animation
Boring animation
Grinding animation

背景

  • 機械加工時に発生するびびり振動は深刻な問題です.
  • びびり振動に及ぼす捻り変形の影響については,通常,無視されてきました.
  • 西オーストラリアでは,びびり振動に関する問題が多いわけではありません.しかし,特に採掘 (mining) の分野では捻り振動が問題になっています. ですから,採掘の分野では,捻り振動に関して多数の研究が行われています.
  • びびり振動時にも,捻り振動が存在していることがを確かめられています.
  • Entwistle は,1991-1998 の間,非常勤で研究を行い,研削時びびり振動に及ぼす捻り振動の影響を PhD 論文にまとめています.





    研削抵抗のモデル化

    研削抵抗は Malkin の式を使って求めることにしました. この場合,振動時には"押しならし力(ploughing force)"や"上滑り力(rubbing force)"の影響が無視できる(?), と仮定致しました.

    工作物や砥石が捻り振動しますと,それらの間の相対速度が変化しますので,研削抵抗に影響を及ぼします!





    安定線図

    以下のような仮定をしています.

    捻り振動は生じていない.

    工作物と砥石の回転中心を結ぶ線上,つまり半径方向にお互いが振動する,横振動モード(transverse mode)のみを想定しています.

    プランジ研削のみを扱っています.

    振動は,対数的に振幅が増大するような,正弦波状になると仮定しています.

    振幅の増大率が0の場合,つまり安定限界では,無次元化された安定線図が得られます.

    初めに,振動方向の影響について調べてみました.

    振動方向を変えましたので,工作物の周速度を変えた解析の範囲で,振動の様子が変化しています.

    振動の方向が合成研削抵抗の方向と一致する場合に,工作物の周速度がある一定の値以下になると, びびり振動が発生しなくなることを見出すことができました!

    次に,横振動に対する固有振動数の0.95倍の振動数で振動するような捻り振動モードを,工作物に付加してみました.

    この場合,安定線図は工作物の直径も含め,加工パラメータが変わりますと安定線図は変化します.

    しかし捻り振動を付加致しますと,無条件安定領域が著しく拡大いたします.

    問題は,実際にこれをどのようにして実現するか,ということになります....





    実験の結果

    工作物の(質量や減衰定数を変えないで)捻り剛性のみを変化させるために,かなり苦労しました.

    記号のサイズは,横振動 の激しさを示しています.

    びびり振動の周波数は,横振動の特性 (例えば剛性,質量,減衰定数,等によって異なる固有振動数,振幅ならびに位相性)に左右されます.

    工作物の周速度が低く,しかも捻り振動の周波数が低い場合,びびり振動は無くなります.

    でも,捻り振動のレベルは? という疑問が残ります.

    びびり振動の周波数は,横振動の特性に左右されます.

    びびり振動が起こりますと,ねじり振動もまた生じています.

    記号のサイズは,ねじり振動 の激しさを示しています.

    以上紹介しましたとおり,ねじり振動は,びびり振動を止める手段として使うことができます.

    別の表現を致しますと,ねじり変形は研削時に生じるびびり振動と深くかかわている,とといえます.





    関連した研究

    Entwistle は,周波数領域 (frequency domain) でモデル化を行いました.こういった過去の経緯を踏まえ,時間領域 (time domain)でのモデル化を行いました.

    ただし,モデル化を行うに際しましては,Entwistle によって提案されました研削抵抗モデルが妥当である,と仮定いたしました.

    研削抵抗に及ぼす捻り振動の効果を明らかにするために,シンガポール国立大学と西オーストラリア大学との間で,2年間に渡る国際共同研究を進めています.

    実験装置





    実験結果

    工作物の,加振周速度を変えた実験より.

    研削過程のシミュレーションを行った後,加振周波数は慎重に選定しました.

    速度変動がありますと,砥粒切り込み深さが変わりますので,当然のことながら研削抵抗が変動します.

    ある適切な加振周波数の範囲では,周波数が多少変動しましても砥粒切込み量がほとんど変動しない領域, つまりびびり振動が発生しない領域があることを見出すことができました.

    将来構想

    • 切削抵抗モデルを作るための研究を進めています.
    • さらに進んだ時間領域モデル ( time domain) を開発して参ります.
    • びびり振動を防止するために,速度変動を付加することを計画しています.

    ボーリングやドリルリングにも,同じ効果が期待できるのではないかと考えています.