福岡県自動車産業活性化人材養成等事業

1. 事業の目的

九州に日産自動車が進出して以来30年以上が経過し,完成車の台数という観点からは,九州は中部・関東に次ぐ自動車の製造拠点になっています. しかし,地場中小企業のほとんどは,大手部品メーカに部品を供給する二次あるいは三次の部品メーカであり,低収益構造に陥っています. この悪循環から抜け出すためには自社固有の革新的モノづくり技術を保有する必要がありますが,低収益構造が原因で研究開発部門へは投資し辛い状況にあります. 当該事業の目標は,中小企業でモノづくりに従事している中堅技術者の方々を対象にし,近未来に自社固有の革新的モノづくり技術を開発できる人材を育成する点にあります. 2008年7月から2009年3月までの半年間,講師の先生をお招きして最先端のモノづくり技術を普及するための勉強会を実施します. また,中小企業で求められているものづくり技術を共同開発する機会を設け,近未来に革新的なモノものづくり技術を創成できる技術者の育成に貢献したいと考えています.

2. 超精密微細加工技術と自動車部品との関わり

文科省プロジェクトで紹介しましたように, 弊学では2004年9月に”次世代マイクロ/ナノ開発センタ”を開所し,「次世代超精密微細金型の高速製造技術の開発」という課題でのプロジェクト研究を実施しています. センタを開所後5年が経過し,現在
・超硬合金,セラミックス,ならびに焼入れ鋼といった高硬度金型材料に対するレーザ微細加工技術の開発
・バインダレスcBNやバインダレスPCDといった超高圧焼結体を使ったマイクロ切削用工具の開発
・ダイヤモンド電鋳工具やPCDを使ったマイクロ研削用工具とナノメータ研削加工技術の開発
・レーザ/研削,放電/研削,マイクロ複合加工技術の開発
・レーザを使ったPCD製マイクロ切削工具やマイクロ研削工具の高速製造技術の開発
といった技術開発を進めています.おそらく,弊学で開発いたしましたモノづくり技術は,表1に示しました自動車と関連する金型の製造に役立つのではないかと思います.

表1 超精密微細加工技術が必要な部品と自動車部品との関わり
Concept

3. 事業の概要

ナノテク産業化促進事業で紹介しましたように, 我が国の産業構造を支えている中小企業が国内外でのコスト競争に勝つためには, 従来は造ることができないと思われていた超精密微細部品を短時間で製造できる超精密微細加工技術や, 従来は長時間を要していた高硬度材料に対する加工時間を例えば1/10以下に短縮化できる高速加工技術等を自社開発する必要があります. いわゆる,他社ではまねができない自社固有のモノづくり技術を開発する必要があるように思われます. 当該事業では,弊学が保有致します超精密微細加工技術を中小企業に技術移転すると同時に, 自社固有のものづくり技術を創成できる技術者を育成することに貢献いたしたく存じます.具体的には,
・最先端のモノづくり技術を中小企業の技術者に普及させるための勉強会
・超精密微細加工技術の普及と創成に関する技術相談,
を実施致します.

4. 勉強会の実施時期と演題

2008年7月から最新のモノづくり技術を普及するための勉強会を実施しています.実施時期と内容の詳細は以下のとおりです.

1回目勉強会の実施要領
2回目勉強会の実施要領
3回目勉強会の実施要領
4回目勉強会の実施要領
5回目勉強会の実施要領
6回目勉強会の実施要領
7回目勉強会の実施要領
8回目勉強会の実施要領
9回目勉強会の実施要領
10回目勉強会の実施要領
11回目勉強会の実施要領

5. 勉強会と技術相談の問い合わせ先

当該事業に関する問い合わせの窓口は,福岡県立飯塚研究開発センター または福岡工業大学総合研究機構です.