研究

 当研究室では,主として超電導線材の高性能化,高度利用に向けた性能評価を行っています。
 また,近年では得られた電流電圧特性を中心とした電気的特性を考慮した超電導電力機器の設計にも取り組んでいます。

 現在進行中および過去に実施した主な研究プロジェクトは以下のとおり。

航空機用先進システム実用化プロジェクト:革新的航空機用電気推進システムの研究開発
R1~R5年度

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)委託事業
研究分担(再委託),九州大(岩熊教授研究代表)・産総研・神戸製鋼・名古屋大・成蹊大等との共同研究

二酸化炭素排出量のオフセットを目指した取り組みが様々なエネルギー分野で進んでいますが,その波は航空業界にも及んでいます。2021年からはフライトで発生した二酸化炭素排出量のオフセットが義務となることから,航空業界ではこれらの対応が喫緊の課題となっています。二酸化炭素排出量削減を実現するための1つの大きな目標は,航空機の電気推進化です。本研究開発プロジェクトは,旅客機クラスの運航を可能とする次世代の電気推進システムを超電導技術の導入により実現しようとするものです。

高温超伝導線材・導体・コイル巻線の評価技術の体系化と高信頼性マグネットへの展開
R1~R5年度

科学研究費助成事業 科研費基盤(S
研究分担,九州大(木須教授研究代表)・産総研・京都大との共同研究

本プロジェクトは,これまで独立に進められてきた線材,導体,コイルの開発を融合し,線材性能に応じた導体,コイル化技術の開発と線材仕様の最適化によって,ロバスト性の飛躍的向上と低コスト化,さらにマグネットの高信頼性を実現しようとするものです。

超伝導電力機器の最適構造設計のための磁場中電流輸送特性精密評価
H30~R2年度

科学研究費助成事業 科研費基盤(B
研究代表,九州大(寺西教授)との共同研究

本研究では,省エネルギー化,低炭素化への貢献が期待される超伝導電力機器の最適構造設計において必要不可欠となる高温超伝導線材の電界-電流密度特性を,複数の計測手法を取り入れることにより広範な実用領域に亘り,精密に評価することを目的としています。

高効率エネルギー機器システム実現のための先進的産業用電気機器の開発:REBCO全超伝導回転機の開発
H26~R2年度

科学技術振興機構(JST)先端的低炭素化技術開発(ALCA)
研究分担,九州大(岩熊教授研究代表)・鹿児島大等との共同研究

REBCO超伝導テープ線材を用いた全超伝導回転機の研究開発を行っています。界磁子と電機子の両方を同一のケーシングに格納することにより,ギャップを縮小し,高出力密度かつ高効率の同期機として構成し,省エネを介して低炭素社会の実現を目指しますものです。