- 人工知能など先端情報技術を用いた低侵襲手術支援システムの開発
- 徳安研究室では,人工知能(AI)を活用して,外科手術を支える次世代の医療支援システムの研究開発を行っています.現在の外科手術は,腹腔鏡やロボットを用いた「低侵襲手術」が主流となっています.しかし,安全で正確な手術を行うためには,熟練医師が長年の経験の中で身に付けてきた高度な判断力や“暗黙知”が必要です.私たちは,この「目に見えない熟練の技術」をAIに学習させ,手術中に医師を支援するシステムを開発しています.
大分大学医学部の消化器・小児外科学講座,腎泌尿器外科学講座,呼吸器乳腺外科学講座,産科婦人科学講座と連携し,実際の手術映像や医療データを解析しながら,術中の重要な解剖ランドマークの検出や,安全な手技の提示,手術工程の自動認識などに取り組んでいます.工学と医学が融合する,まさに最先端の研究分野です.
本研究室では,これらの成果を統合した次世代手術支援プラットフォーム「SmartOpeRec(スマートオペレック)」の構築も進めています.これは,手術ナビゲーション機能と手術記録の自動生成機能を統合した医療DXシステムであり,実際の臨床現場での活用を目指した研究開発を行っています.
さらに近年では,長岡京病院との共同研究として,「直腸膣瘻(ちょくちょうちつろう)」という稀少疾患の治療を標準化するためのAI情報支援にも挑戦しています.症例数が少ないために属人化しやすい高度医療技術を,AIによって可視化し,誰もが安全に実践できる医療へと発展させることを目指しています.こうした医工連携研究を通じて,徳安研究室の所属学生は,単なるプログラミング技術だけでなく,医師との議論を通じた課題発見力,社会実装を見据えた設計力,チームで研究を推進する力を身につけます.その結果,国内大手企業や医療機器メーカー,IT企業などへ多数の学生が就職し,社会の第一線で活躍しています.
徳安研究室の目標は,「AIの研究」をすることではありません.
「工学の力で医療を進化させること」,そして「世界に通用する技術者・研究者を育てること」です.医療を支える情報技術を自ら創りたい人,社会にインパクトを与える研究に挑戦したい人,大きく成長したい人を歓迎します.
- 情報支援内視鏡外科手術のための人工知能ソフトウェア開発
- -腹腔鏡下胆嚢摘出術
National Clinical Databaseによると,腹腔鏡下胆嚢摘出術(Laparoscopic Cholecystectomy,LC)は日本で年間約12万件実施されています.一方,日本内視鏡外科学会の第15回アンケート調査では,LC症例の約0.5%において胆道損傷(Bile
Duct Injury,BDI)が発生していることが分かっています.BDIの主な原因は総胆管と胆嚢管の解剖誤認にあると言われていますが,エキスパート外科医であればCalot三角における4つの解剖学的ランドマークを認識し,BDIを未然に防ぐことを暗黙知に行うことができます.本研究室では,解剖学的ランドマークを自動認識し,術者にリアルタイムで教示する人工知能ソフトウェアの開発を行っています.

-腹腔鏡下胃切除術
腹腔鏡下胃切除術は早期胃がんの外科的療法として定着しつつあります.癌細胞が粘膜下層まで浸潤している場合は,胃周辺にあるリンパ節を取り除く(リンパ節郭清)必要があります.このリンパ節郭清において,膵臓を傷つけてしまうと消化液である膵液が腹腔内に漏れる(膵液瘻)ことがあります.膵液瘻の予防に効果的な解剖学的ランドマークは,一部のエキスパート外科医のみが暗黙知に認識できていたようですが,これまで形式知化する試みはなされませんでした.本研究室では,膵液瘻を予防する解剖学的ランドマークを術中にリアルタイムに教示する人工知能ソフトウェアの開発を行っています.
