卒研配属情報
*研究室配属希望を検討している福岡工業大学情報工学部情報工学科の学生向けの情報です.
研究室の目標
山口研は
- 世界に通用する研究成果を理論神経科学/人工知能/複雑系などの分野で生み出し続けること
- 研究に関するコミュニケーションが学内で最も活発な研究室になること
の2点を目標に掲げています.
この目標の実現のために様々な取り組みを行い,学生のみなさんには快適に・相互に信頼できるメンバー達と・すごい研究ができるように環境を整え,学生の研究の発展をサポートしていきます.
研究テーマ,研究室環境,セミナー等について順に説明します.
研究テーマ
脳の情報処理機構を解明すること,その知見を人工知能等に応用すること,を目的に研究をしています.とくに脳機能をダイナミックに理解し,人工知能をよりダイナミックにすることに興味があります.こちらからあげるテーマ候補群の中から選んでもらったり、一緒に考えたりして研究テーマを決定します.
プログラミング言語について
最近は機械学習(人工知能)関係のライブラリが充実しているPython を主に利用しています.
研究室の環境
山口研は
- 学生・教員が利用できる高度なコンピューティング環境を整え維持することに努めています,さらに
- 便利なコラボレーション用ソフトウェア・ツールを積極的に導入し,情報共有の効率化,活性化を図ります.
- PC:
- PCは一人一台以上割り当てます.
- ハードウェア:
- Linux (Ubuntu)をインストールし高度な深層学習には必須のGPUを装備した共用数値計算用サーバを多数揃えています.蔵書,ファイルサーバ(NAS)等の設備も充実しています.
- ソフトウェア:
- Slack, GitHub, Wikiなどのツールを積極的に活用して円滑にコミュニケーションを行い,情報の共有,コード管理共有,共同作業を容易にする環境を整えています.
卒研セミナー・行事予定について
週1回全員が集まるセミナーを前・後期の授業期間中に開催し、勉強会と進捗報告を行っています.それ以外に週一回テーマごとの打ち合わせを行う事が多いです.
8月に他研究室と合同で中間発表会を行っています.研究計画やそれまでの成果を資料にまとめ,他の研究室の人からの質問・コメントに答えるなかで研究テーマの位置づけや研究の狙いを各自の中で明確にし,モチベーションを高めることに役立てています.
大学院について
研究室では大学院修士課程・博士後期課程の受け入れができます.世界が驚くような人工知能をつくりたい,脳の謎の解明に近づきたい,AI/データサイエンス分野の専門的知識を持った技術者になりたい,など野心的な学生をお待ちしています.ともに研究できる同志が増えることを楽しみにしています.
FAQ, その他
よく聞かれる質問などをまとめました.
さらに詳しく
研究室情報詳細版
研究テーマ
脳の情報処理機構を解明すること,またそれを人工知能等に応用すること,を念頭に研究をしています.とくに脳機能をダイナミックに理解し,人工知能をよりダイナミックにすることに興味があります.
学生が研究テーマを選ぶ際は、自身が時間をかけて取り組む価値があると思える,のめり込める研究テーマであることが重要と考えます.こちらではやってみたら面白いと考えている研究テーマの候補を多数用意しています.話し合いの中でその候補の中から選んでもらっても良いし,自身で調べてきても構いません(一定の研究レベルは維持してもらいますが).教員と話し合いの上テーマを決定しますが,基本的には学生の意欲を尊重します.
卒業研究ではここ数年,深層学習(ディープラーニング)系の研究を扱う学生が比較的多いですが,それ以外のニューラルネット,機械学習,数理モデル研究も多数扱っています.研究室特有の研究テーマとして最近とくに力を入れているのは下記の2テーマです.
- 機能分化の数理モデルためのレザバー計算モデル
- 深層学習とカオスダイナミクス
過去の卒研タイトルの例です.
- 複数のリザバーによる相互学習
- GANを用いたカオス時系列生成
- 画像認識を利用したUNOゲームプレイの補助
- リザバー計算における仮想エージェントの神経回路網の機能分化
- Neural Ordinary Differential Equationsの実装と解析
- 深層強化学習によるウィスコンシンカード分類課題の学習
- DCGANによるアンビグラムの生成
- Deep Learningによる実世界におけるカード画像認識率向上の検討
- Izhikevich モデルを用いた時系列予測
- 玉軸受における洗濯板状電食痕形成の数理モデル
- 錯覚体験型アプリケーションの作成
プログラミング言語について
最近は機械学習(人工知能)関係のライブラリが充実しているPython を主に利用しています.また深層学習関係に取り組む場合はPython上で使える機械学習ライブラリTensorFlowを使うことが多いです.
未経験者が多数であることを前提とし,4月に初歩から文法の勉強をし,その後実践的課題に取り組みながら必要なスキルを身に着けていってもらいます.また得意な言語がある場合はそれを使って課題に取り組んでも良いです.MATLABも使えます.
基本的に今までのC, JAVAの授業で習ってきたことの延長線上にあるので,新しい言語だからということで必要以上に心配することはないと思います.経験者も未経験者も歓迎です.
研究室環境
PC・座席について
PCは一人一台以上割り当てます.スペックはばらつきがありますが,現在(2024年度)のところ大多数のPCがメモリ32GB以上,SSD完備です.デスクトップPCまたノートPC(高性能です)を1台以上割り当てます.ディスプレイは4Kディスプレイを1台または2台使用できます..誰でもノートPCを繋いで使える共用の4Kディスプレイや,共用のLinuxデスクトップPC(GPU付)も増やしていき,自由さ・流動性とカスタマイズ性・集中しやすさのバランスがとれた空間を作るために改善を続けます.希望者向けにMacも準備いしています..
活用中のツール,設備など
現在導入している主なソフトウェア,クラウドサービス,ハードウェア等は下記のものがあります.
slack
チームでの仕事向けに開発されているコミュニケーションツールです.チームで使うための高機能なLINEのようなものです.メールより手軽・迅速・効率的にコミュニケーションを行うことで教員-学生間や学生-学生間で気軽に連絡,質問,依頼,ファイルの配布・提出,雑談などができる環境を整えています.PC(Mac含む)・スマートフォン・ウェブから利用できます.2023年度は約6000件のメッセージがslackに流れました.
GitHub・Git
Gitはコードの変更履歴を管理し,コードを共同開発・共有するためのツール,バージョン管理システムです.gitは非常に多くの開発プロジェクトで使われているデファクトスタンダードなバージョン管理システムです. GitHubはクラウド上でgitの機能を提供し,ウェブインターフェースなど様々な追加機能を実装したサービスです.GitHubも非常に多くのソフトウェア開発プロジェクトで利用されています.学生がコード変更記録を保存でき、コードを異なる機器間で同期できるようになるとともに、学生-教員間,学生-学生間でのコードの共有やレビュー,共同開発を容易にします.使い方はゼミ内で確認し,実際に操作して使ってもらうことで基本的な操作を身につけさせます.Wikiや研究室の書籍でも使い方を習得できます.
Wiki
Github上で研究室内部用Wikiを運用しており,研究室のLinuxサーバーやslack, github等の使い方,その他機器の操作に関する知識,プログラミングの便利な小技集等を研究室内から閲覧できる状態にしています.学生も記事を追加していくことができ,便利な情報が集まってきています.
ファイルサーバ(NAS)
過去の卒業論文・予稿・学会発表資料・プレゼンテーション資料やそのプログラム,データセット,過去や現在の勉強会で使った資料,研究分野にとって重要な論文等を整理して保存,閲覧するためのサーバ環境を整えており,研究室内からアクセスすることで研究の進展に有用な情報をpcから閲覧,ダウンロードすることができます.
Linux数値計算サーバ群
Linux (Ubuntu)をインストールしたサーバを多数そろえており,研究室メンバーは24時間いつでも自由にログインしてGPUを使った超並列計算やマルチコアの並列計算などの高度な処理を行い,一般の授業とは異なったレベルの数値計算ができる環境を構築しています.VPNを利用すれば自宅からの接続も可能です. GPUは深層学習の研究をする際には必須のハードウェアです.
現在(2023/3),Nvidia RTX4090等のGPU搭載サーバが9台(内2台はRyzen Threadripper等の 20コア以上のCPUを搭載した並列計算用サーバ)を学生利用可能です.Python (Anaconda環境)やその上で動くTensorflow, scikit-learn, pandas 等ライブラリやMATLABなどの他言語,VSCode や atom, emacs などのエディター等をインストール済みですが,設定,追加インストールは状況と希望に応じて柔軟に変更できます.
書籍
人工知能,深層学習関連書籍, Python等のプログラミング関連書籍, 数学の教科書,脳科学関連書籍,科学啓蒙書,など各種取り揃えており,自由に利用できます.蔵書はかなり充実してる方だとは思います.学生の希望があれば随時研究用に新規購入を行います.
卒研セミナー・行事予定について
週1回全員が集まるセミナーを開催します.セミナーでは進捗発表と勉強会(Python, 機械学習の基礎,Tensorflowの使い方など) を行います.
進捗報告では毎週数人に,研究目的ややったこと,その結果,今後の予定などを報告してもらいます.
勉強会では担当者を毎回決め,予め指定しておいた書籍等の一部分を他の学生などに紹介し,プログラムの解説等をしてもらいます.他の学生は演習問題に取り組んでもらいます.
無断欠席は厳禁です.
その他,研究テーマごとにグループ別打ち合わせを週1回程度行うことが多くなります.
8月に他研究室と合同で中間発表会を行っています.研究計画やそれまでの成果を資料にまとめ,他の研究室の人からの質問・コメントに答えるなかで研究テーマの位置づけや研究の狙いを各自の中で明確にし,モチベーションを高めることに役立てています.
卒業研究関連のイベントは年により多少変わりますが,大体下記のようになります。
3年次 | 11月頃 | 3年生の配属先決定・顔合わせ・歓迎会 |
2月 | 4年生から3年生への研究テーマ紹介 | |
3月 | テーマ選択のための個人面談 | |
4年次 | 4月 | 研究室キックオフ |
4〜5月 | Python勉強会 | |
5〜9月 | 機械学習ライブラリの勉強会 | |
8月 | 中間発表会 | |
11月 | 3年生歓迎会 | |
1月 | 卒業研究予稿提出締切 | |
2月 | 卒研発表会・卒論提出 | |
2月 | 卒業論文提出締切 | |
2月 | 送別会 |
大学院について
研究室では大学院修士課程の受け入れができます.世界が驚くような人工知能をつくりたい,脳の謎の解明に近づきたい,AI/データサイエンス分野の専門的知識を持った技術者になりたい,など野心的な学生をお待ちしています.ともに研究できる同士が増えることを楽しみにしています.
卒研配属時に既に大学院への進学を決めているか考慮している場合,研究室見学時にその旨を教員に伝えてください.
修士2年間での研究活動は,研究のレベルを維持しながら自主性を徐々に増やしていく方針で望みます.その間,数回の学会発表をして成果の発信をしてもらいます.
大学院の一般的な情報はウェブサイトの他,年数回実施している大学院進学説明会などを利用して入手してください.
学納金・奨学金制度などは学会出席旅費等補助制度などの支援体制も充実しています.
FAQ
よく聞かれる質問とその回答です.
Q. プログラミングはしますか?
A. ほぼ確実に全員がなんらかのプログラミングをします.勉強だけして終わりということはありません.一方,少なくとも山口研の研究においてはプログラミングはなにかを知るため,なにかを明らかにするための「手段」であり,それ自体が目的ではありません.評価する点もプログラミングスキルがどれだけ付いたかどうかではなく,それを使ってなにを達成できたか,です.
Q. 数学/プログラミング 能力に不安がありついていけるのか心配だ
A. 結果的には,毎年ほとんどの卒研生は(発表や卒論提出ができたという意味では)なんとかなってますので,不安なら研究室見学の際に研究室の先輩学生に聞いてみてください.色々なサポートはしています.一般論としては,いわゆるAI/データサイエンス人材を目指すのなら,大学の数学を(単位が取れたといったレベルではなく)深く理解することは必須です.さらに研究では授業で出てきた範囲を超える内容がでてきても,それに対処しなければなりません.実際に出てきます.大事なことは常に足りない部分,理解しきれなかった部分を意識し,学ぶ気持ちを忘れないことです.プログラミングはそれに加え,自分で手を動かしてみる,サンプルの例をサンプルを見ないで作ってみる,などの行動力があればなんとかなります.
Q. 研究室に入ればスキル(プログラミング能力や問題解決能力,発表力)は身につくのですか?
A. なにもしなければつきませんが,個々の研究目標を実現するためには多くの知識・スキルを身につけ実践することが必要ですので,卒業するまでにはそれなりのスキルの向上が見込まれます.普段のコミュニケーションを通じて課題の問題解決をしていく過程において教員は学生をサポートします.
Q. 複雑系とはなんでしょうか?
A. 多数の要素から構成されている系(システム)であり,個々の要素の性質からは推測できない機能や振る舞いが全体として現れているシステムのことを複雑系と呼びます.脳は典型的な複雑系のひとつです.
その他
広報
2021,22年度に大学公式ウェブサイトの本学科紹介ページに掲載されていた,本研究室所属学生の研究の様子などを紹介する動画がYoutubeで視聴できます.
2021年度はこちら,
2022年度はこちら です.
参考にしてみてください.
本学のCampus Mail Research(研究Now!) に研究紹介が載りました.(2022/1)
以前の大学案内パンフレットの情報工学科コーナーに研究室の紹介が載っていたときの写真です.
モットー
(今の時代,当然boys限定ではないです.Everyone, be ambitious.)
サーバの命名規則
サーバの名前は北海道の山々からとっています.