革新的環境調和型製錬プロセス持続可能資源循環実現目指

久保研究室の実験風景

主要研究テーマ

  1. 1フッ化水素酸を用いない低環境負荷の
    タンタル・ニオブ製錬プロセス
  2. 2鉄鋼製錬で発生する副産物の資源化促進
    (電気パルス粉砕・磁力選別法)
  3. 3アンモニウム塩を副原料とした新しい
    鉄鋼製錬プロセス(脱炭素・未利用資源活用)
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ご挨拶Greetings

准教授 久保 裕也(くぼ ひろなり)
准教授久保 裕也
Hironari Kubo

学生時代から一貫して環境問題の解決・軽減に貢献することを目指し、工学、経済、法律さらには倫理、環境考古学などオールジャンルで勉強してきました。そして最終的に金属製錬が環境分野における強力なツールの1つであるとの結論に至りました。金属製錬は古い技術と思われがちですが、分離の総合工学であり、実際の資源や廃棄物の処理工程の多くはこの技術が応用されたものです。本研究室では金属製錬をベースに、廃棄物の削減・資源化・無害化、未利用資源の活用を可能にする環境調和型プロセスの研究に取り組んでいます。研究ポリシーは以下の3つです。

研究ポリシー

  1. 1. 真の環境調和型プロセスは “美しい”

    目的成分を分離できても、膨大なエネルギーや副原料を消費し、難処理物を多量に発生させるようでは意味がありません。本研究室では、回収率、エネルギー消費量、副原料、2次廃棄物、コストなどがトータルでバランスの取れたプロセスを常に心がけています。

  2. 2. 実用化第一主義

    私はかつて廃棄物を中心に取り扱う民間企業の研究開発部に所属していました。廃棄物や自然鉱石は不均質で様々な不純物が含まれます。試薬や模擬試料を用いた実験で良好な結果が得られても現場では使い物にならない研究は数多くあります。本研究室では、研究の初期段階から実際のサンプルを用いて検証しています。

  3. 3. 大きな産業をターゲットにする

    日本のCO2排出量の10%以上を鉄鋼業が占めます。もし鉄鋼業のエネルギー効率を10%改善できればCO2排出量を1%削減できます。また、鉄鋼製錬工程で副生しているスラグには国内需要の半分以上にも相当する戦略資源のリン(P)やマンガン(Mn)が含まれていますが現状では未利用のままです。これらの資源化が実現すれば、資源の流れが大きく変わるほどのインパクトがあります。本研究室では、鉄鋼製錬をはじめ規模の大きな産業に関係する課題を主な対象としています。

研究テーマMain Research Themes

  1. 主要テーマ1フッ化水素酸を用いない低環境負荷のタンタル・ニオブ製錬プロセス

    硫酸水素アンモニウムとタンタル・ニオブ鉱石を加熱し生成した溶融塩 タンタルとニオブを含む白色沈殿物

    レアメタルのタンタル(Ta)とニオブ(Nb)を含む鉱石は難分解性であるため、現在の製錬工程ではフッ化水素酸(HF)を用いて溶解しています。しかし、HFは死亡事故も起こっている極めて危険性の高い毒物であり、廃液処理で発生するスラッジの処理も厄介な問題です。近年、本研究室では、HFを使用しない画期的なTa、Nbの製錬法を開発しました。

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  2. 主要テーマ2鉄鋼製錬で発生する副産物の資源化促進(電気パルス粉砕・磁力選別法)

    製鋼スラグの粉砕粒子 ステンレススラグの粉砕粒子

    鉄鋼製錬では原料に由来する鉄以外の成分をスラグとして除去しています。スラグは工程によって組成が異なり、例えば製鋼スラグには戦略資源のリン(P)やマンガン(Mn)が、ステンレススラグには環境規制物質のクロム(Cr)が含まれています。本研究室では、これらの成分を電気パルス粉砕法と磁力選別法によって効率的に分離する研究を進めています。

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  3. 主要テーマ3アンモニウム塩を副原料とした新しい鉄鋼製錬プロセス(脱炭素・未利用資源活用)

    アンモニウム塩製鉄の試験サンプル 塩化アンモニウムの粉末

    日本で排出しているCO2の10%以上は鉄鋼業で発生しています。CO2の主な発生源である石炭の代わりに水素、アンモニア、電気などを使用する新製鉄法が国家プロジェクトとして進められていますが、低品位鉱石の活用、スラグの資源化、石灰石由来のCO2の削減などは別の課題として残ります。本研究室では、これらの課題をも解決し得る革新的な製鉄法を提案しています。

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その他の研究テーマ

  • 電炉ダストの大幅な削減を可能にするプロセス
  • 軽石の海洋還元

研究内容 紹介動画

新着情報What's New

  • メディア

    安全啓発活動の一環としてKBC九州朝日放送のニュース番組に出演し、中学校の理科の授業での硫化水素発生実験の注意点について解説しました。

  • お知らせ

    研究室のホームページを公開しました。今後、学会発表・論文掲載・特許取得などに関する情報を随時更新していきます。

  • 特許出願

    フッ酸を用いないタンタル、ニオブ製錬法をPCT出願(国際出願)しました。

  • 学会発表

    M2の西田 拓翔君が日本鉄鋼協会 秋季講演大会のポスターセッションで「フッ酸を用いない高純度Nbの精製」について発表し、優秀賞を受賞しました。詳細はこちら(外部リンク)

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研究室メンバーMember

久保研究室の実験風景
  • 准教授 :久保 裕也研究業績
  • 研究員 :下條 光浩研究業績
  • 修士2年:1名
  • 修士1年:3名
  • 学部4年:8名

連絡先・アクセスContact & Access

所在地:〒811-0295福岡県福岡市東区和白東3-30-1A棟5階

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