H28年度「クラス・サポーター(CS)合宿」を行いました

H28年度「クラス・サポーター(CS)合宿」を行いました

 2月27日(月)・28日(火)の2日間、グローバルアリーナ(宗像市)にてクラス・サポーター(以下CS)合宿が行われ、平成29年度CS候補学生のうち45名が参加しました。
 今回のCS合宿は、本学「AL型授業推進プログラム」(H26年度文部科学省大学教育再生加速プログラム採択事業)の取組の中で、①ファシリテーションについて理解し、実践する②ファシリテーターとしての心構えを身に付け、CSとしての仕事内容について理解する③授業における「主体性」について共通認識を持ち、指導する際の共通目標とする、という3つの目的で、CS学生を育成するための事前研修として行われました。なおこの合宿は、宮本知加子先生(FD推進機構特任教員)のプログラム作成・指導・助言のもと、CS経験のある学生スタッフが中心となって、ワークを計画・運営しました。

【1日目】
 E棟3階Cultivation-Site R2教室に集合し、まず初めに宮本先生より運営スタッフ学生が紹介され、CS合宿の目的の確認、CSの役割について話がありました。
 

 ワークの始めに参加学生の自己紹介を兼ねたウォーミングアップを行いました。あらかじめ配布された用紙に9つの質問に対する(福工大名物と言えば、自分の趣味、好きな飲み物など)答えを記入し、それをグループ内で1対1で話して確認し、答えが合えば名前を記入します。始めは緊張していた学生たちもゲームが始まると元気よく話し出して打ち解け、CS候補生のコミュニケーション力の高さがうかがえました。
 

 続いて、6つのグループに分かれ、4コマ漫画作りのワークを行いました。これは、2コマ目3コマ目が空白になった4コマ漫画のシートと1コマ分の絵を切り取ったカード数枚を配り、各グループごとにテーマを与え、それに沿ったセリフを考え発表するという内容です。学生ならではの発想が共感を生み、一体感が生まれました。

 

 次に課題①として、4年生を中心としたCS経験者から話を聞くセッションを行いました。8分ごとに先輩CSがグループを移動し、CSになったきっかけや一番やりがいを感じたことなど、経験者ならではの話を聞くことができました。
 


 その後休憩をはさみ、7グループ(5~6名)に分かれ、課題②としてルーブリック作成ワークを行いました。始めに宮本先生から、ルーブリックとは学生の学修到達状況を評価するための評価基準表であり、学生が自ら立ち位置を理解し、何を期待されているか知ることができるものであるということ、また今回作成するルーブリックは、授業での学習における「主体性」を評価項目とするという説明がありました。
 このワークは4年生のCSが運営・スライド作成を担当しており、全体でワークに取り組む前に、事前に4年生だけで取り組んだ映画鑑賞における「主体性」を評価項目として作成したルーブリックをもとに、「主体性」とはどういうことかを説明しました。学生たちに身近な例を取りあげ、司会者2人の面白い掛け合いで、参加者にも分かりやすく伝わりました。
 ワークはまず、各自で授業での学習における主体性のある行動を思いつく限り付箋に書き出します(10分)。それをグループ内で共有し、似たような内容をまとめます(15分)。次にまとめた付箋を模造紙に貼り付け、カテゴリに分けます(15分)。カテゴリ化したものを4つのステップにまとめ、ステップ名と内容をA4用紙に書き出します(20分)。最後に1グループ2分で発表しました。発表内容は、ステップ1・2で予習・復習、発表・質問、自ら調べるなど自分一人での行動、ステップ3・4で友人と学ぶ、教える、教授と仲良くなるなど他者との関わりや協働が多く挙げられました。
 皆が集中して取り組み、グループワークの中で自ら考え行動することで、「主体性」とはどういうことか、ルーブリックとはどういうものかを、実践を通して理解できたワークとなりました。学科の先生方も数名見学に来られ、各グループを熱心に見周られ、自身の授業でも取り入れてみたいとおっしゃるなど、関心の高さがうかがえました。
 

 学内でのワークを終えた一同はグローバルアリーナに移動し、夕食後は懇親会、先輩の事例紹介を行い交流を深めました。
 

【2日目】
 まず課題③ウォーミングアップとして、2つのワークを行いました。今回のワークは、4つのグループに分かれ、1つを質問チーム、残り3つを解答チームとし、解答チームから代表者1人を出しそれぞれに違う答えを見せます。(例:野菜⇒トマト・トウモロコシ・キャベツ)質問チームの考えた質問に代表者がはい、いいえ、わからないで答え、解答チームにそれぞれの代表者が持つ(野菜の)名前を当ててもらいます。質問チームも解答チームもグループで話し合って頭を使い、よいウォーミングアップとなりました。


 続いて課題④として、ファシリテーションロールプレイを行いました。これはCSとして授業の中でどのような動きをしたら良いのかを実践形式で考えるワークで、①ディスカッション場面でやる気あり・なしの学生、話すのが苦手な学生がいる場面、②AL(アクティブ・ラーニング)を取り入れた授業でやる気あり・なしの学生、分からない学生、質問しづらい学生がいる場面を設定しました。②の場面では、エンジニアリングデザイン等の授業で技術が必要な場面を想定しました。
 ロールプレイの後、グループで気付いたことや①と②の共通点・相違点を話し合い、発表しました。 発表では、CSが積極的に学生と関わること、学生の個性を知ること、学生との距離感や全体をよく見ること、授業内容の予習が必要である、などが挙がりました。また、①の場面ではCSが周りの人にも声かけをすることでグループでの雰囲気がよくなるなど間接的に働きかけ、②の場面では技術的な面などで取り残されるので一人一人に直接働きかける、との意見が挙がりました。

 

 最後に宮本先生からまとめとして、一番大切なのは授業を受ける学生一人ひとりが主役であり、CSはあくまでそれを支える役割である、その中で色々な学生がいるので直接的に働きかける必要があるのか、間接的に促していくのはどちらがよいかなど考えるとよい、いわゆる普通に参加している学生をどう授業に巻き込んでいくかが皆さんたちのサポートによって、大きく変わるので考えてもらいたい、とのお話がありました。

 次に課題⑤として、1日目の課題②「主体性」を踏まえて、ファシリテーターとして必要な役割を考えるグループディスカッションを行いました。まずは、各自で2日間の合宿を通して学んだことをワークシートに記入しました。
 続いて、教務部長の松尾先生より学生達へ、「主体性」はとても大切で、今だけでなく将来どんな場面においても皆さんを支えてくれることになる、実際の教室の中では色々な人がいて色々な場面があり、その中に皆さんが入っていくのは難しいと思いますが、皆さんの立場で主体的に関われるようになってもらえるとありがたい、皆さんは本当にしっかり考えてくれているので信頼して一緒にやっていきたいと思う、教員との信頼関係を構築していってください、との温かいメッセージをいただきました。

 その後昼休みをはさみ、課題⑥として、受講生が主体性を発揮するための理想的なCSとは?というテーマで、画用紙を使いグループごとに発表しました。クラスを花壇のお花に見立てCSが水や肥料を与え(アドバイス)、観察してきれいなお花を咲かせようというアイディアや、周りを巻き込める人になる、平等に接することができる、名脇役になる(一緒に学び、教えるより促せるようになる)など、各グループごとに個性のある発表となりました。
 

 発表後に宮本先生から、「自主性」と「主体性」の違いについて、「自主性」は決められたことを自分からやることだが、「主体性」とは自分で考えて判断して行動することだ、皆さんがそれぞれ意志を持って判断して行動し、先生と一緒に授業を作り上げていってほしいとのお話がありました。

 最後に、円陣になり参加学生一人一人がこの合宿で学んだことを発表して、合宿の締めくくりとなりました。運営サポーターは企画段階から参加し、また参加学生もそれぞれが主体性を持って課題に取り組んだことがよく現れており、学び成長できた合宿となりました。

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