第5回AL実践研究会「学習ポートフォリオ研究会」を開催しました(3/22)

第5回AL実践研究会「学習ポートフォリオ研究会」を開催しました(3/22)

 平成30年3月22日(木)、学習ポートフォリオ研究会を開催し、教職員30名(教員19名、職員11名)が参加しました。本学では、平成30年度より「学習ポートフォリオ」(名称:「FIT―AIM」学生の双方向学修支援システム)を導入することになりました。この「学習ポートフォリオ」は、入力された学生自身の記載や取り組みをもとに授業改善に役立つこともさることながら、AL型授業の目的のひとつである「能動的学習態度の涵養」を図るべく、学生の「自己調整学習」を促進する効用を期待しています。今回は新規導入に先立って、従来の「キャリアポートフォリオ」を授業の振り返りに用いて、学生に現状の理解度や課題点などの把握を促しておられるシステムマネジメント学科の藤岡教授(本学FDer)に講師をお務めいただき、実践事例からポートフォリオの有用な活用法や教員の負担とならない利用法などに触れていただきました。また、毎回の授業でポートフォリオの入力を実際に行い、自らの成長につなげているシステムマネジメント学科1年生の尾中あみさんの体験談もお伝えしました。
 まず教育技術開発WG長の松尾敬二教授(FDer)より開会の挨拶があり、続いて藤岡教授より、「ポートフォリオと自己調整学習」をテーマに実践事例の報告がありました。

 

 報告ではまず、平成27年度から始めたシステムマネジメント学科の一連の教育改善活動の取組みの一つとしてポートフォリオの導入を行ったこと、1年生の基礎科目から始め、3年生のPBLを取り入れた科目へと新たな展開をはかってきたこと、ハードなFD(=Faculty Development)よりソフトなFD(=Free Discussion)が、この教育改善活動がうまく機能してきたポイントであるとのお話がありました。また、ラーニングポートフォリオ導入にあたり、伝えておきたいこととして、「ラーニングポートフォリオは魔法の杖ではない。」ことが挙げられ、あくまで一つのツールに過ぎず、「組織が目指すアウトカムに対して、何をアウトプットするか」が基本であるとの説明がありました。
 続いて、「確率統計Ⅰ」(1年生・後期必修科目)について、導入したきっかけ、導入方法、
どのように関与したか等について事例紹介があり、ラーニングポートフォリオに書かせることを目標にしてはいけないこと(記載すること自体がアウトプットではない)、学生にポートフォリオが「自分たちのもの」であることを理解させ、学生自身に、どこが自分の一番の強み・弱みなのかを振り返る機会を持たせることが重要であるとのお話がありました。また、ポートフォリオの導入およびその他(授業運営や宿題の出し方など授業外学習における取組み等)の様々な教育改善活動が、学生の自己調整学習につながっていることが確認できることについて、中間・期末試験結果やポートフォリオの学生の入力内容などの資料をもとに報告があった他、今後の課題として、トップ層以外は「メタ認知」が弱く、自分の状況をモニタリングできていない学生層への対応をどうしていくかが課題であるとのお話がありました。これを受けて、参加者はグループ単位で、「本当にポートフォリオを必要としているか」をテーマに意見交換を行った後、全体での質疑応答に移り、ポートフォリオの入力をしない学生層へのサポート方法や、ポートフォリオの入力時間確保や入力方法(PCかスマートフォンか)、ポートフォリオの記入内容を評価に取り入れる場合の評価基準等について、意見交換が行われました。
 

 続いて、「ポートフォリオを利用しての振り返りと気づき」をテーマに、システムマネジメント学科1年生の尾中あみさんにより体験談が紹介されました。これは、一問一答形式で行われ、司会者より「ポートフォリオを毎回入力するように言われた時、どう思ったか?」、「毎回どのような内容を入力していたか?」、「学修上、どのような気づきがあったか?」、「講義15回の間、入力を続けて良かったと感じることは?」、「教員にどのように関わってほしいか?」等の質問が順に投げかけられました。これらの質問に対し、尾中さんより一つ一つ回答があり、始めは何の意味があるのかわからず面倒に感じたが、毎回の授業での学んだ内容や、自分が理解できているところ、理解できていないところを記録することが、後の振り返りで役に立ち、効率良く復習できるようになったこと、自分の言葉で記録するという作業を通して理解が深まり、さらにやる気がわいたこと、15回継続して入力することで復習する習慣が身につき、授業内容について頭の中の整理がしやすくなったこと、先生からのアドバイスが返ってくることがあり、振り返りに役に立ったこと、入力時間は早い人は5分くらいであるが、自分は15~20分くらいかかること、先生から反応が無いと気になり、既読であることがわかるだけでもいいので、先生が「見てくれている」ことが分かることがやる気につながると感じていることなど、実際の利用内容や感想、気づき、振り返り・復習に活用して理解を深めるに至った過程などについて紹介がありました。

 これを受けて、参加者からの質疑応答も行われた後、最後に、情報基盤センターより、新しい学習ポートフォリオの機能と活用(含LMS機能)について、実際の学生用画面と教員用画面を参照しながら概要説明が行われ、予定時間いっぱいでの終了となりました。今回の研究会は、ポートフォリオの利用が進展させるべき、学生の「自己調整学習」の意味と必要性について理解を深める機会となった他、自己調整を促進するための活用方法の有効事例や、実際の利用学生の実体験に基づく効果について情報共有を行う貴重な場とすることができました。

■研究会当日の資料および動画は授業アーカイブ配信サーバーmyFIT (学内限定)にて公開しています。
  https://replay.fit.ac.jp/MediaDEPO/Login
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