第17回FD Café「自主性・自己調整学習を促すフィードバック実践」を開催しました(9/13)

第17回FD Café「自主性・自己調整学習を促すフィードバック実践」を開催しました(9/13)

9月13日(金)、「自主性・自己調整学習を促すフィードバック実践」をテーマに、第17回FD CaféをE棟R1教室にて開催いたしました。

*当日の配布資料および様子はこちらをご覧ください(FIT Replay 学内専用)

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 今回のFD Caféでは、教養力育成センター長の土屋麻衣子先生(FDer)を講師とし、教職員等39名(教員20名、職員19名)が集まり、土屋先生が授業で実践されている学生の自主的学習、自己調整学習を促す形成的フィードバックの内容、方法などについての解説が行われ、自己調整学習および効果的な形成的フィードバックについて参加者で考える機会となりました。

 まず、土屋先生から、自己調整学習の研究を始めたきっかけとして、本学に着任して英語の授業を実施する中で、英語に意欲がない学生が多く、なぜ動機づかないのかというディモチベーションの研究をきっかけに解決する方法はないだろうかと考えている中、6~7年研究を続けていると紹介がありました。また、教育機関における自己調整学習への関心の高まりについて、新学習指導要領(2020年より施行)における「主体的に学習に取り組む態度の評価の基本的な考え方」に、学習における「自己調整」がキーワードとされたことが紹介されました。また、アクティブ・ラーニング(以下、AL)型授業が年々増加しているが、自主的な学習時間は微増であり、やらさせている能動性が高まっていることが指摘され、ALにおける主体性育成の行き詰まり感が示されました。

 続いて、理論的な枠組みにおける自己調整学習とは、「学習者自身が学習プロセスに関して、メタ認知、動機付け、行動の側面において能動的に関わる学習」(アメリカの教育心理学者Zimmerman 1989)とされ、与えられた文脈で、学習者が自己調整することを想定されているので、大学・学校などの何らかの制限がある学習にあてはまりがよいと説明され、学習者の自己調整の機能は「学習者」、「環境」、「行動」の相互作用により発展し、自己調整に必要な3要素として自己効力感、目標、自己調整学習方略が挙げられました。さらに、自己調整の段階とプロセスにおいては、取り組む前の予見段階(課題の分析、自分の動機づけの確認)、遂行段階(自己コントロール、自己観察)、自己省察(自己評価、感情の確認)の3ステップを繰り返すことで成長につなげることが大切であると説明がありました。

 また、学生に自己調整学習を促すことを意図する際の留意点として、目標を適切なものに導く必要があること、自己効力感が低い場合には高めるサポートをする必要があること、学習方法が固定していたり限られていたり非効率な場合にはいろいろな方法や観点・視点を伝えることが必要であるとのお話がありました。

 続いて、一般的にフィードバックには様々なものがあるが、今回は総括的フィードバックと形成的フィードバックの紹介がありました。総括的フィードバックは学期末の評価や資格試験の結果などであり、形成的フィードバックは学生の学習プロセスに関わり、目標までのギャップを埋め、学生の学習が向上するよう、考え方や行動を修正することを意図し、繰り返し伝えられる情報(指導ではなく)であり、目標と目標に対する現状を把握し、その達成のための方法を伝えるものであるとお話がありました。

 実際に土屋先生が形成的フィードバック(以下、FB)を実施した調査結果について報告がありました。FBを開始した週から実験群では実施ユニットの数が増え、調査前と調査後に実施したテストでも実験群の成績が大きく伸びたことが示されました。

 自己調整学習の発展タイプには大きく4タイプあり、FB開始後にすぐ理解し取り組むタイプ、すぐ理解するがばらつきがあるタイプ、理解するまで時間がかかるがコツがわかれば学習するタイプ、どんなに話しても取り組まないタイプに分けられることが説明され、タイプ別に先生と学生の会話の事例が紹介されました。講演参加者は先生の会話の事例を参考にペアでロールプレイを実施し、土屋先生から形成的フィードバックは学習プロセスに関わることであり、学習へのプロセスは人によって様々であるので長い目でみることも必要であると紹介がありました。

 講演後に全体での質疑応答の時間が設けられ、参加者より実際に実施した人数や時間について質問があり、土屋先生から英語のクラス人数は25~35人で、初年度は授業の中の40分を費やしたが、現在は授業の最初に10分の省察の時間を設けたり授業の前後の休み時間や学内で会った際にFBを行ったりしていると回答がありました。これに対し、1クラス50~60人の場合どのように対応したらよいかとの質問があり、土屋先生から個別の対応ができそうであれば学期の最初で行い、難しそうであれば授業の冒頭に全体で行ってはどうでしょうかとの回答がありました。

 最後に、藤岡教務部長より、自学科でも初年次教育において自己調整学習の取り組みを行っているが、動機付けについては場があれば対応ができるが、行動については知識がないとうまくいかないと感じている。また、メタ認知については学生にどう考えさせるか非常に難しいと実感しており、これからのことを各自考えていくことが重要だと思う。今回のような場において引き続き教職協働で本学の学生の成長に資する教育改善の取り組みについて議論を続けたいとの感想と講師への謝辞が述べられ、予定時間いっぱいでの閉会となりました。

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