コミュニケーション教育のための教授学習支援プログラム

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プログラムの背景と目的

 近年、就職採用時にコミュニケーション能力を問う企業が増えています。ほとんどの仕事は自分一人ではできないので、仕事場面ではコミュニケーションの質が自然に問われてきます。「どうすればもっとわかりやすくなるのか」「会議で説得力のある発言をするにはどうすればいいのか」「顧客に満足してもらうためにはどうすればいいのか」など、課題は山ほど出てくるでしょう。即戦力がほしい企業は大学生にもコミュニケーション能力を期待しているのです。

  そこで大学生は大生活の間に、専門領域の知識に加えて、多様なバックグラウンドをもつ人々と円滑に意思疎通する能力を身につけることが必須になってきます。皆さんの多くはコミュニケーション能力の重要性を実感していることと思います。しかしながら、コミュニケーション能力とひとことに言っても、何を身につければいいのかわからない人も多いのではないでしょうか。実際にコミュニケーション能力ということばはある一つの能力を指すのではなく、人と接する時に必要になってくる多様な能力が含まれます。さらに、コミュニケーション能力には日常の習慣に関わる部分もあるため、一朝一夕に向上させることは困難です。

  本プログラムは、工学部で技術者を目指す、どちらかというと話すことが苦手な学生を対象にしています。このプログラムでは、就職活動の面接時はもちろん、就職した後もみなさんの仕事生活の土台となる思考と表現のスキルを身につけることを目的としています。大学4年間を通して、一人前の技術者として社会に出るために、段階的にプログラムを構成しました。

  気軽に議論ができるようになることを目的としています。専門的な内容や初期段階では学習が困難と感じられた内容はあらかじめ除外しました。内容については、理系・文系を問わず、あらゆる領域の基本となる考え方の基礎を盛り込みました。

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本プログラムの考え方

 このプログラムではコミュニケーションには大きく分けて、(1)考え方のフレーム、(2)表現のフレーム、(3)他者との接し方のフレームの3つがあると考えます。(1)考え方のフレームには、構成や論理、戦略や分析が含まれます。(2)表現のフレームには、声の大きさなどのデリバリーからジェスチャーなどの非言語メッセージを伝える方法が含まれます。(3)他者との接し方のフレームについては、基本的な人間についての理解に関わるものが含まれます。この3つは相互依存・補完関係にあり、どれか一つだけできればいいというものではありません。自分の考え方や表現方法を改善する努力をしながら、他者から上手に影響を受けてさらに改善するという、行ったり来たりのプロセスを経て全体のレベルが上がっていくようなものです。本書は、全体的には学生の議論スキルの熟達化過程に従って、スキル・専門知識・態度に関して段階的に学習できるよう工夫しました。

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