慶星大学校(韓国) 留学レポート

4月 27th, 2020

皆さん、こんにちは。
前回に引き続き、海外協定校への長期留学を終えた学生のレポートをご紹介します。
彼も同じく2019年の春から、韓国の慶星大学校にて1年間の留学生活を通して、キャンパス内外で多くの学びを得たようです。

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社会環境学科
宇都宮 斗吾

 私は2019年2月から2020年1月まで韓国の慶星大学校(「大学校」は大学のこと)に交換留学生として留学しました。慶星大学校は、福岡市に近い韓国・釜山市に位置し、福岡工業大学の協定校である私立大学です。福岡工業大学から初めての留学生派遣ということや、いざ大学へ到着してみると在学生の中に日本人留学生がおらず、不安な気持ちの方が大きかったです。
 しかし、慶星大学校に到着すると初日から日本人ということでとても歓迎され、国際交流課のスタッフの方々もとても、食事に連れて出してくださったり、悩み事の相談にも乗ってくださったりしてとても良くしてくださいました。おかげで不安感は3日で無くなりました。
 また、バディ制度(この場合は慶星大学校において韓国人学生1人と留学生1人で1組のチームを作り、韓国人学生が、留学生の生活や学習面をサポートする制度をさす)を採用しており、日本に興味のある韓国人学生を1人私に付けてくれて、一緒に食事に行ったり、野球観戦をしたり、大邱(テグ)に旅行に行ったり、毎日部屋で語り合ったりしてバディ制度のお陰で楽しい思い出が増えました。
寮でのルームメイトは、スウェーデンの学生でした。彼からはヨーロッパについていろいろ学べたと思います。寮生活では、これまで知らなかったことや、文化の違いをたくさん学ぶことができました。友達になった中国人留学生と毎晩のように食べに出かけたりもしました。
 留学する前、私は外国人と直接接した経験が乏しく、留学して最初の頃は少し壁を感じていました。しかし、外国人学生の方は、国籍や性別関係なく1人の同じ人間として接してくれました。私の方もこれまで海外の人間は全て“外国人”と一括りに見ていましたが、彼らと交流する内にこうした見方をすることが自然となくなり、彼らと同じ人間として接するようになってとても親しくなることができました。今でも留学を通して知り合った多くの友達と連絡をとっています。
 また、学校の近くにプロ野球のロッテ・ジャイアンツというチームが本拠地としている野球場がありました。バディ・パートナーで後に友達になった韓国人学生が、大の野球好きだったので、電車に乗ってよくロッテ・ジャイアンツを応援しに野球場に行き、応援したことが今でも懐かしく思い出されます。その友達とは毎日バッティングセンターでバッティングの練習をしたり、夜桜を見ながら花見をしたりと毎日一緒にたくさん遊びましたし、直接球場へ行けない日は、試合がある日は寮の部屋に集まって食事しながら一緒にテレビ観戦して応援しました。

 夏になると、慶星大学校が主催する“インターナショナルサマーキャンプ”が開催されます。これは、慶星大学校が各国の協定校の学生を招へいし、英語でコミュニケーションをとりながら、国際交流や韓国文化を学ぶインターナショナル・プログラムです。母校である福岡工業大学をはじめ同志社大学、宮崎大学、スペインや中国の協定校の学生が多数参加し、私も各国の福岡工業大学や他の協定校の学生たちとたくさん交流しました。この時は、スペインの協定校の学生たちや中国の協定校の学生たちと食事に行ったりしてとても楽しい思い出となりました。また、そのサマーキャンプのメンバーの人たちと高速バスでソウルに旅行に出かけて、朝までたくさん語り合ったことも良い思い出になりました。
 ただし、この旅行ではちょっとしたトラブルが起こりました。この時はちょうど日韓関係があまり思わしくない時期であったため、お店の客の1人が、私たちが日本人ということがわかると差別的な態度をとってきてその場に緊張が走りました。しかし、別のお客さんや店員さんがその人を注意して外へ連れ出してくれた上、店にいる他の人全員が「気にしないで。私たちは日本のことが好きだよ。」と気遣って声をかけてくれました。思いがけず韓国の人たちの優しさに触れられて本当に嬉しかったです。
 10月には韓国政府支援による大学のプログラムの一環で、韓国人学生と留学生100人くらいで2泊3日の旅行に行ったことがとても心に残っています。各班に韓国人学生2人と留学生2人の4人で一組の班になり、いろいろな体験をしました。有名な公園に行ったり、ドイツ村(慶尚南道(キョンサンナムド)南海郡(ナムヘグン)にあるドイツ住居を再現したことで有名な観光地)に行ったり、韓牛(韓国の牛肉)を食べに行ったりしました。ただ観光をするだけではなく、夜にはその日の活動をPPTでまとめて発表を行いました。この発表は他の班とのコンペティション形式でしたが、その結果、1位を獲得しました。それ以外の夜は皆で食事をしたり、カラオケで歌ったりととても楽しい研修旅行でした。この旅行ではたくさんの人と仲良くなることができ、プログラムが終了してからも当時のメンバーだった韓国人学生10人ぐらいで集まって食事に行ったり、互いの誕生日を祝い合ったり、皆で遠くまで旅行に行ったりしました。彼らの内、私だけが日本人でしたが、皆さん全員が私の事を韓国人と同じように分け隔てなく接してくれました。とても嬉しく思うと同時に、今回この留学で自分が受けた温かい気遣いや親切を、もし韓国の方が日本に来た時には同じように恩返しをしようと思っています。

 留学を通して成長できたこと、それは、かつて私は留学前の日本では肌の色や文化の違いそして言語の違いから外国人との間に壁を作り、距離を置いて接してきました。しかし今回の韓国留学を通して、他国の文化や違いを理解できるようになり、他国の人々を“外国人”という一括りではなく、それぞれが同じ1人の人間として認め、接するようになれたことだと思います。そしてこの経験を生かし、次のステップに進んでいきたいと願っています。
 また、サポートしてくださった福岡工業大学の国際連携室の皆さんと、慶星大学校の国際交流課のスタッフの皆さんに感謝します。ありがとうございました。

大連理工大学(中国)留学レポート

4月 24th, 2020

皆さん、こんにちは。
今回より2回にわたって、2019年の春から一年間、本学の海外協定校での留学を経て帰国した学生のレポートをご紹介します。
本日は中国の協定校・大連理工大学に留学した学生のレポートです。

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電子工学科
笠 絋一郎

 このレポートでは、私が大連理工大学での1年間の留学通して、どの様に過ごし、どうやって学習を進め、何を得たのかを述べていきたいと思います。
 2019年2月20日、中国遼寧省大連市にある大連理工大学に到着して、私の中国での1年間の語学留学がスタートしました。中国に行く約3ヶ月前、私は独学で中国語を勉強していました。留学初日、まずクラス分けテストで筆記試験と面接試験がありました。面接試験の際、私の中国語レベルは「初級3クラス」と告げられました。しかし面接官だったある先生が「私の担当している中級1クラスですが、あなたにしっかり中国語を教えるから中級1クラスで勉強しなさい。」と言ってくださったのです。そうしていよいよ一学期の授業が始まったのですが、いざ授業に参加してみると、同じクラスの同級生達はすでに1、2年中国語を勉強しているか、日本の大学で中国語学科を専攻していて自分とのレベルに格差があった上、最初は授業中先生が話している内容や、書かれている意味もわからない有様でした。そうした中、先生は授業中にたくさん私にあてて答えさせたり、授業が終わった後で私に合った勉強方法を教えてくださったりと色々と気遣ってくださいました。そのお陰で、元々消極的でシャイな性格の自分が、徐々に積極的な性格へと変わっていきました。
 また、自分で自分を追い込むことに決め、日本人とは極力話さず、毎日午前の授業が終われば学外に飛びだして行き、道で知らない中国人に話しかけて友達になったり、公園では見知らぬ年配の方々との会話を楽しみ、夕方からは近くのカフェで勉強して解らないことがあれば店員さんや近くの中国人のお客さんに質問したりしていました。また、それとは別に自分を追い込んで中国語を上達させました。それは、夏休みも日本に帰らず、先生が薦めてくださった『大連衆益外語培訓学校』という語学学校に通ったことです。そこでの授業は、学校の授業とは違い会話がメインでした。こうして私は夏休み期間もしっかりと中国語に親しんでいたため、最初の半年だけで耳も慣れ、中国語を話すことも怖くなくなり、物事をとてもポジティブに考えられるようになり、二学期に入る頃には他の学生と大きく差をつけることができました。


 
 また、一学期には勉強とは別に娯楽活動というものがあり、“留学生中国語芸術発表会”という発表会に参加しました。この発表会では、クラス代表として積極的に何人かの学生と一緒に参加し、中国語の歌を歌ったりしました。この活動を通して友達との距離も縮まり、色々な国の人の考え方なども理解することができました。友達はかけがえのないものであり、无价之宝(値段など付けられない宝物)だと改めて感じることができました。
 二学期になると、一学期の時の先生とは打って変わり、厳しいながらも優しくとても情熱的な先生が担任になりました。この学期で最も印象に残っていることは、中国語スピーチコンテストに参加したことです。先生から私は人前で話すことに向いていると言ってくださったので、コンテストに参加することになりましたが、その際レベルも一番高い高級(上級)クラスに参加することになりました。私のスピーチのテーマは「時代とともに進む中国語」で、原稿は何度も書き直しや訂正を受けながら、繰り返し練習をする毎日でした。そしてその際、先生から「食事を摂る時以外は、全てを(自分の時間と集中力を)スピーチコンテストに注ぎ込め」と指示され、とても大変でしたが、同時にやりがいを感じた日々でした。先生もまた毎日授業後も深夜22時や23時まで練習に付き合ってくださいました。正直な気持ち、ここまで生徒のために親身に指導してくださる先生に私は初めて出会いました。努力を重ねて参加したスピーチ大会でしたが、結果は優秀賞で、私にとってとても良い経験になりました。

 もちろん楽しいことばかりではなく、辛くて何度も日本へ帰りたいと思ったことや思わぬアクシデントに見舞われたこともあります。例を挙げるとすれば健康問題です。7月頃、食習慣の違いからか腸炎になり辛い思いをしました。約1週間授業に参加できず、点滴を打つために毎日通院しました。この時は先生やクラスの友達や中国人の友達が病院まで付き添ってくれたり、食べ物や飲み物を買ってきてくれたりしました。たくさんの人たちに迷惑をかけてしまい、申し訳ない気持ちになると同時に、友達や先生との絆はとても大切なものなのだと実感しました。まだまだ色々なことがありましたが、先生方や同じクラスの友達のサポートのお陰で頑張り切ることができました。
 今回の中国留学経験の全てを述べようとしても、とても話し尽くせるものではありません。それ程とても中身の濃い、充実した1年でした。
これからも日々努力し、中国語や中国文化などに理解を深めていきたいと思います。そして、この留学の機会をくれた両親、私のために留学プログラムを提供してくれた福岡工業大学、受け入れてくれた大連理工大学にとても感謝しています。今後、できるだけ多くの日本人に中国の良さや現実を理解してもらいですし、逆に中国の人たちにも日本の素晴らしさを今以上に知ってもらえるよう貢献していきたいと思っています。