感性情報処理とは?

人間は楽しい音楽やきれいな風景に出会ったとき,何かしらの感情や感覚を持ちます.例えば,「すごい!」とか「いいなあ!」など,色々な感情や感覚があります.これらは通常,音楽や風景など外界からの刺激によって,人間の脳機能が直感的に反応することで自然と呼び起こされます.当研究室では,このように何かの刺激に対して人間が抱く感情,いわゆる感性を分析したり,利用したりして,人々の生活を豊かにすることを目的にして,日々研究に取り組んでいます.


人はいろいろな感性を持っている

しかし,人の感性を扱うには大きな困難が伴います.なぜなら,「長さ」や「大きさ」など,通常 工学で扱うデータのように,数値で表現しにくいのが感性だからです.例えば,「このペンの長さは15cmである」という計測結果は全世界で誤解なく通じますが,「私はこのキャラクターが好きな度合いは10点満点中8点です」と言われた場合はどうでしょうか?

これは,そもそも好きな度合い10点というのがどの程度の「好き」を表しているのかが人それぞれだから,ということに起因しています.ものの感じ方は人によって異なるもので,統一的な尺度はありません.このため,感性は数値として客観的に扱いにくいのです.また,「なぜ好きなのか」 というのもわかりにくいものです.「可愛いから?かっこいいから?」など根拠になりそうなことはいくらでも出てきます.

しかし,このような人の感性を扱う研究は世界中で行われており,研究黎明期からニーズが高まってきています.では,なぜ感性に関わる研究が重要なのでしょうか.順番に見ていきましょう!

なぜに感性か?

昨今,衣服や家電,インテリアなど様々な商品が市場に溢れ,企業は良いモノを作らないと生き残れない時代になっています.良いモノと言っても「デザインがいい」とか「性能が素晴らしい」など様々ですが,ここでの良いモノは「商品を購入する消費者に取ってよい」,すなわち消費者が欲しているモノをいいます.

良いモノを作るためには,消費者がどのような商品を欲しているのか,消費者が欲する商品にはどのような特徴があるのかなどについて知る必要があります.商品を購入する消費者は特に意識することなく,自分にとって良いモノを選べばよいのですが,商品を作る企業にとっては「なぜこの商品は売れるのか」「近頃の若者はどのようなデザインが好きなのか」など,消費者が商品に対してどのように感じているのかは非常に興味のあるところです.

ここで,私たちを含め世界中の研究者が取り組んでいる感性情報処理に関する研究が役に立つわけです.

当研究室ではこんな研究をしています!

下の図を見てください.これは感性情報処理に関する研究の概要をざっくりとまとめたものです(もちろん,これら以外にも感性情報処理の研究は存在します).この図によると,アンケートなどで人の感性情報を分析するだけでなく,人の感性を理解できるロボットの開発や人の感性情報を使って売れる商品を作ったり,人の感性情報によって様々なモノを検索したり,人の感性情報によって様々なモノを作り出したりと感性情報処理の研究は実に多岐に亘ります.

これまでの研究内容については,このホームページ内で紹介しておりますので,ぜひご覧下さい.私たちの研究はまだまだ道半ばですが,今後 感性情報処理に関する研究はますます発展していくと考えています.


感性情報処理の概要

みなさんも私たちと一緒に感性情報処理の研究に携わってみませんか?
ご興味のある方のご訪問などお待ちしております!