投票評価から視線評価へ

投票型協調デザイン支援システムのページで紹介した投票システムですが,研究を進める中で大きな問題がわかりました. それは,意外と投票数を稼ぎにくいということです. このシステムでは,ユーザからの積極的な投票があることを前提としているため,投票数を獲得できなければデザインが進化していきません. これを解決するために,下図のように街中のデジタルサイネージにデザインを提示し,その場で投票できるシステムも提案しましたが,やはり立ち止まって投票する(=投票ボタンを押す)という作業は煩わしいようで,投票獲得は困難なものでした.


デジタルサイネージ投票システムの様子

これらのシステムは,評価実験では一定の成果を残せたものの,やはり更なる改良が必要ではないかと考えています.

その中で,私たちは視線情報を利用することについて検証しています. デジタルサイネージを利用する場合,立ち止まって投票ではなく,立ち止まってデザインを見るだけ,もしくは歩きながらデザインを見るだけであれば,もう少し実環境に親和するシステムを構築できそうです.

下図は,私たちが開発した「キャラクターコーディネートを複数ユーザの視線情報によって作ろう」するシステムの概要です.


キャラクターコーディネートシステムの概要図

このシステムでは,キャラクターが様々なコーディネートで出現し,10秒ぐらい動作をします. その間複数のユーザがキャラクターを自由に眺め,そのときの視線情報を基にコーディネートを評価します. コーディネートに使用されるデザインパーツは下記のとおりです.


キャラクターコーディネートのデザインパーツ

このシステムでは,コーディネート評価にはメンズウォッチデザインシステムのページで紹介した勝ち残り一対比較評価方式を用いており,複数ユーザの視線情報によって勝者コーディネートを決定しています. 本研究では,評価実験の結果から,ある集団内のユーザが一連の対戦評価に対して,部分的に対戦評価に参加した場合でも,集団内のユーザが満足のいくデザインを生成できるなど,様々な有効性が確認されています.

代表的な研究業績
【学術論文】Hiroshi Takenouchi, Masataka Tokumaru, "Character Design Generation System Using Multiple Users’ Gaze Information", IEICE Transactions on Information and System, Vol.E104-D, No.9, pp.1459-1466, 2021-09.
【国際会議】Minatsu Fujisaki, Hiroshi Takenouchi, Masataka Tokumaru, "Developing Female Clothing Coordination Generation System Using Eye Tracking Information", Human-Computer Interaction. Interaction Technologies Volume 10903 of the series Information Systems and Applications, incl. Internet/Web, and HCI (the proceedings of HCI International 2018), pp.247-257, 2018-07 (Las Vegas, USA).
*Bold: 本研究室の学生

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