授業での言葉遣いへのこだわり

【自己調整&やる気を上げるテクニック】

・生徒、学生に話すときの語尾は、問いかけ・お尋ね表現にする

 

英語が苦手な学生さんの動機づけの研究を通して、意欲がわかない大きな理由として「義務的・やらされている感」があることがわかりました。それを知ってから、徹底していることがあります。

それは、学生と話すとき、「~しなさい」「~してください」という語尾を使わないことです。徹底的に「~してはどう?」「~してみる?」「~はどう?」「~しましょうか」という表現を使っています。

クラス全体にあるタスクをするように促すときも、「では、次は問題2をしてみようか?」と言っています。些細なこだわりですが、学生が自分でやるのかやらないのかを決める気持ちになってほしいと思っています。

もしくは、選択肢をだすこともよくあります。「では、次は問題2と3のどちらからでもどうぞ」とか、「2つのアクティビティの好きな方でどうぞ。どちらもイヤだったり、もっといいやり方があれば応相談です」という感じです。

本当に小さなことで、学生がそれに気づいていることはほぼないと思いますが、学期末の授業アンケートで、毎回「参加型で楽しかった」「英語は苦手だったけど、やる気になった」「少しは好きになった」「過去一頑張った」などの感想をもらっています。

これはなかなか調査で捉えることができない側面ですが、ずっと「~してください」「~しなさい」と聞いていると、知らずのうちに「させられている感」を覚えるような気がします。

 

2025年01月22日

「見通し」からはじまる調整

 

【自己調整&やる気を上げるテクニック

・4ヵ月カレンダーを使って、先を見通すことを促す 

・学習方法のイメージをはっきり持てるように現物で示す

 

9月下旬に、学習方法に悩んでいる学生さんを対象とした自己調整学習のワークショップを実施して、その後、そのうちの数人から個別に相談したいという連絡がありました。「連絡をする」こと自体、すでに自己調整が回っていることなので嬉しく思い、話を聞くことにしました。      

話して感じたのは、彼らに共通的に必要なことは、先々を見通して調整の意識を働かせるということです。

アプリやウェブ上のツールを使って、スケジュール管理はしていると言うけれど、見るのは、その日または1週間以内の予定に留まるとのこと。先々の予定や計画を確認するには、スクロールしないといけないので、ほとんど見ないし、考えていないとのことでした。そして、そんな感じで日々を過ごしていると、あっという間に試験期間になってしまって慌てて、うまくいかないことが多いそうです。

 

そこで、テーブルに置いてあった卓上カレンダーをビリビリと破り、4か月分並べて「4ヵ月カレンダー」を作って、こういうものを壁に貼って見るように言いました。アナログな方法ですが「可視化」からの「意識化」に繋がります。

 

それから、学習方法の相談を受けるときは、言葉だけではなく方法のイメージが沸くように示すことも大事です。実際に「どうやればいいのか」が見えることで行動が生じやすくなります。小さいことですが、チリツモです。

 

 

2024年10月02日

失敗の後に再チャレンジするチャンスが大事

【自己調整&やる気をあげるテクニック】

 ・できなかったこと、失敗したことがあったあと、いいタイミングで同じことにもう一度挑戦させるチャンスを作る

 

授業中に問題を解いて間違ったり、何かスポーツをしていてできないことがあったり、工作やお手伝いをしていてうまくできないことがあるのは当然のことですね。

 

学生や生徒、子供にそういうことが起こったら、その場で解き方ややり方を教えると思います。ただ、もっと大事なことは、「教える」で終わらないことです。再チャレンジの機会をあげて、最初の失敗より「うまくできた」という成功体験に変えることです。


教師や親に時間があり、学生や子供自身がやる気が高いと、「もう1回その場でやる!」ということが可能ですが、毎回その時間があるわけではありませんね。特に、授業の場合は、多くの生徒がいるので難しいわけです。

 

でも、再チャレンジして、失敗体験を「成功」または「少しできるようになった」体験に上書きできる機会は、動機づけ、自己調整において、とても大事なので、どうにかチャンスを作るようにしてほしいと思います。

 

次の授業のときに、前回の授業で間違いが多かった問題をいくつかピックアップしてクラス全体に投げかけたり、

前回の授業で使ったプリントをそのまま配って、間違ったと覚えている問題を1つ選ばせて、もう1度させたり、

机に向かわなくてもできるようなことであれば、廊下で会ったときの声掛けのときに聞いてみたり(単語や歴史のようなものの場合)、

 

などなど、私も試行錯誤で工夫をしています。その際は、笑顔で「そうそう、これ前回のだけど、覚えてる?再チャレンジしてみようか?」と声をかけます。なぜかというと、生徒や学生は、失敗経験に対して基本的にイヤな気持ちを持っているからです。

私が厳しい顔をして「この前、間違った問題を今からやります。今回は必ずできるように!」という感じでは、さらにディモチベーションをもってしまいます。

 

家庭でのお手伝いなどにも同じことが言えます。うまく包丁で切れなった、うまくアイロンができなかったということが起こると、親としては「危ないからやめておきなさい」という気持ちを持ってしまいますが、2,3日してまた「やってみようか?」と声をかけてあげてみましょう。

 

失敗はOKです。大事なのは、その後の上書きです。

 

2024年06月11日

やる気アップには準備まで誘っておく

【自己調整&やる気を上げるテクニック】

・思ったときにサッとやれるように、準備までは終わらせておく

 

「次の週に、単語と熟語の聞き取りテストをするから備えておこうね。音声はXXXXからダウンロードできるから、スマホにいれて聞くんだよ」と課題を出して、翌週にきちんと点をとる学生とそうでない学生がいました(よくあることですね)。

 

インタビューをしてみて、英語力以外の原因が見つかりました。それは、音声をスマホにダウンロードしていたかどうかです。

 

「さ、勉強しよう」と思ったときに、サッと取り掛かれるかどうかが違いを生んだ1つの原因でした。「ダウンロードからしないといけない」と思うと面倒くさく感じ、「また後でいいか」となり、結局、勉強することなく1週間が経ってしまったようです。


それ以来、事前準備をしておいた方がいい課題をだすときは、授業の最後にその時間をとるようにしています。特に、取り組みが遅かった学生に良い変化が見られるようになりました。

 

私自身、論文を書くときに、データの統計処理が終わっていなかったり、デスクの上に資料が山積みになって整理されていなかったりすると、なかなか「書き出せない」ことがあります。

 

整えておくとサッと入れるというのは、スポーツや家事、ゲームなどにもあてはまることですね。勉強や仕事にも応用させないと・・・です。

2024年05月13日

自己原因性を感じられる教室づくり 2

【自己調整&やる気を上げるテクニック】

・生徒・学生がワークに取り組んでいる間、先生は教室内を歩いて情報収集 → 安心感のある自己原因性づくりを

 

「自己原因性を感じられる教室づくり1」で、ペアワークなどの学習者間の活動による方法を紹介しましたが、強く自己原因性を感じるには、先生の介入が必要です。

ペアワークをしていたり、個別にタスクに取り組んでいたりする時間、私は教室内を歩き回り、どの学生がどんなことを話しているか、どんなアイディアを書いているか、書いていないのかを見て回り、そのあとの共有のときに答えてもらう人を決めておきます。

そして、良い意見を言っていたり、面白いアイディアを書いている学生を見つけたら、そばに行き「いいねー。あとでクラスに共有してくれる?」と小さい声で伝えておきます。

いきなり指名される恐怖感や緊張感をなくし、安心感を与えて自信をもって言ってもらいたいからです。

また、その科目に苦手意識を持っていて、だけど、とても良い意見を持っている学生がいたら、その学生にまず「あとで共有してくれる?」と声をかけます。これも自己原因性を感じてもらいたいからです。

でもどうしても拒む学生もいます。そのときはもちろん強要はしません。ただ必ず、その学生のアイディアが良くて、私はとても気に入ったことを伝えておきます。

そして、1,2週間ぐらい経ったときの授業で、また良いアイディアを持っていたら、また声をかけます。すると、そのときは「わかりました」と答えてくれます。困ったような嫌そうな顔ではありません。これはおそらく、その学生と私の間に、わずかながらの信頼関係ができているからだと思います。

質問をしたり、学生の意見を聞くすべての瞬間で上記のことをしているわけではありません。

この学生にはパッと聞いても大丈夫だなと思う場合は、予告なしに言ってもらいます。その科目に得意意識がある学生や、その答えや意見を言いたそうにしている学生です。自己原因性をよく経験してきている学生ですね。

 

できる限り、教室にいる一人ひとりに定期的に自己原因性を感じてもらいたいと考え、このようなことをしています。 

 

2024年04月04日

自己原因性を感じられる教室づくり 1

【自己調整&やる気を上げるテクニック】

・生徒や学生一人一人が、授業の中でちょっとでも周りの友達やクラスに影響を与えられる要素を入れ込む

 

自己原因性というのは、自分が周りの人の言動や状況の原因になっていることです

原因と聞くと良いイメージを持たなかったかもしれませんが、今風に言うとインフルエンサー的な感じです。

自己原因性はやる気や主体性につながっています。クラスのリーダーや人気者、部活やサークルの部長になるような人は、この自己原因性をたくさん感じていることが多いようです。

授業の中で考えてみると、先生がクラスに話しているときにい感じに会話に入って笑いをとるような学生や、みんなが苦戦している問題にサッと解答し、先生から「おー、やるな」と言われるような生徒がいますが、そういう彼らは自己原因性が高いと言えます。

ちょっと目立つことが苦手な人もいると思いますが、大抵の場合、褒められたり注目されたりしてイヤな感情になる人は少ないのではないでしょうか。なにかしらのことで自己原因性を持ちたいと思っている人の方が多いように思います。

スポーツだったり、合唱コンクールだったり、イラスト書きやゲームだったり、家族に作る料理だったり。

余談ですが、今朝のニュースで見た「公道をルールを無視してバイクで走ったのは、警察が追いかけてくれるかなと思ったから」という若者の行動も、ある意味自己原因性を求めていたと捉えることができます。

 

授業の話に戻しますが、せっかくクラスメイトがいる学びの場です。1つの授業で1回でも各生徒や学生の言動が周りに影響を与える要素があるといいと思います。

ペアワークやディスカッション(意見交換)などは、気軽に自己原因性を創れる機会ですね。

アウトプットやインプットのためという視点だけではなく、自己原因性を高めるためという視点でも取り入れてみるといいと思います。

 

2024年03月22日

「休み」も必要な調整

 

「自己調整」と聞くと、自分のその時の気分を抑えて「自分を律さないといけない」と思う人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。

 

例えば、「今日は何もしな~い」とか、「しばらく○○しな~い」と休むことも調整になります。結果的によいパフォーマンスになるのであれば、休むという調整も全然OKです。

 

学生さんに自己調整のことを話すときも、必ず「休みや、好きなことをする時間もいれようね」と伝えます。

 

今日、この話を書こうと思ったのは、先日同僚の方から「やらないといけないと思っているけど、なんか今モチベーションがでなくて・・・」という話を聞いて、「しばらく休むというか、ちょっと休憩!的な気持ちをもっては?」という話をしたからです。

 

いつも高パフォーマンスな方は、「常に何かをしていないといけない」という気持ちを持っている方が多いようです。それはもちろん素晴らしいことなのですが、いつかどこかでものすごく疲れてしまう可能性があります。

 

そうなる前に、適度なお休みをとるという調整は有効です。ここで言う「休み」は、物理的に職場や学校を休むということから、少しペースを落とすことなど、いろいろなやり方があります。その人にとっての「休み」です。

 

そして、高パフォーマンスの方は意識的に休みをとるのが良いと思います。「よし、休むぞ」「よし、今日はしない」のようにです。これまでの調査を踏まえると、そうすることでメリハリを感じ、休みのあとの仕事や勉強にいい感じに取り組めるようです。

 

 

 

2024年03月07日

アフェクティブフィルターの件 2

【自己調整&やる気を上げるのテクニック】

・少しずつ心をほぐし、「この先生なら話せるかも」と思える空気を作る

・本人に直接言わない

・安心して過ごせる教室の雰囲気を作る

 

生徒や学生がかなり強く苦手意識を持っていることがわかったら、すこしずつ心をほぐしていきます。「苦手だ」とわかったからと言って、最初からその本人に直接言うことはしません。信頼関係ができていない段階で、呼び出したり個人的に話したりしても効果が低いからです。余計に殻に閉じこもってしまう可能性のほうが高いです。

 

代わりに、心の中で「その当該の学生に届け~」と思いながら、しばらくはクラス全体に話します。

「私は学生の頃は英語が苦手だったけど、あるとき○○をやってみたら少し気持ちが変わったことがあるんだよね」とか、

「英語苦手だけど、単位はちゃんと取りたいなぁって考えてる人いたら、一緒に勉強方法考えるからいつでも声をかけてくださいねー」

という感じや、過去に似たような学生がいた場合は、その学生がどうやって超苦手な気持ちから単位取得に至ったかのエピソードなどを話します。

 

1回だけでなんの変化もないときは、次の週も同じようなことを話します。すると、たいては当該の学生以外の学生が、気軽に話しかけてくれるようになります。

 

その学生と私が話している様子を当該の学生がチラチラとでも見てくれていたら、あと少しです。だいたい、次の週あたりに授業が終わったときにに話に来ます。

 

学生:「あの~、少しいいですか」

私:「うん、もちろん。どうした?」

 

話に来たら、まずは「聞く」です。大きくうなずきながら聞きます。そして、形成的フィードバックの手法で、Kさんのマインドセットが変わるようにサポートをしていきます。

 

 


 

 

2024年03月01日

アフェクティブ・フィルターの件 1

【自己調整&やる気を上げるのテクニック】

・アフェクティブ・フィルターが高い学習者を発見する

 

生徒や学生が授業を受けに教室に入るときの「気持ち」は、その授業での学びの量に影響を与えます。

 

「ワクワクする」であれば問題なし。「だるいなぁ」であれば、授業で気持ちを変化させ、学びを進めるチャンスあり。

 

でも、「怖いな」「苦痛だな」「不安だな」とネガティブな感情が強いと、なかなか気持ちを変えるのは難しいです。心が学びに向いていないので学びの量も少なくなってしまいます。もちろん、怖さや苦痛の中にずっといることがイヤで、一刻も早く抜け出そうと励む人もいます。

 

しかしながら、そのように向かう気持ちになれない場合、長年のネガティブ感情や苦手意識から、自分で行動を起こせず、教室での学びが少なくなってしまうことがあります。

これは「アフェクティブ・フィルター仮説」と言われるものです。

 

さて、授業をしていると3回目あたりで、このような気持ちを持っている学生に気づきます。

 

というのは、私の授業は毎年多くの学生から「楽しい」「初めてわかった」という声をもらうように仕組んだものなので、「だるい」と思っていた学生でも、なんやかんや積極的に授業に参加“しちゃう”中、決して顔を上げずに参加する姿勢を見せない学生がいるからです。

 

そのような様子の学生に気づいたら、本当にそうかを確かめにはいります。机間巡視をしながら、解答の内容やスピードを見ます。私が近くに来ると、手で見えないようにしたり、何も書いていないのに消しゴムで消したりする様子があります。

 

ペアワークやグループワークをしているときの様子も観察します。ペアの学生とやる活動でも気乗りしない様子や行っていない様子がとらえられます。そのような観察から確かに苦手であることを確認します。

 

2024年02月29日

新しいクラスが始まるときに必ず言うこと

【やる気&自己調整のテクニック】

1)授業に参加して学ぶことの意味を学生に、認識してもらう

2)自分の学習への責任を学生に認識してもらう

3)授業参加することに安心感と期待感を与える

 

学期が変わり、新しいクラスが始まったとき、必ず言うことがあります。

 

「せっかく週に1回ここにやって来て90分という時間を過ごすのだから、今のみなさんより何か成長しましょう。知識が増えることでも、スキルがあがることでも、やる気が上がったでもなんでもOKです。

 

もし、今の状態より下がる、または変わらないということであれば、この授業の意味は何?みなさんが毎週来た意味は何?となりますよね。 今より下がるなら、参加する意義はほとんどないと思います。

 

同じ教室にいるみなさんですが、実力や考え方、やる気はいろいろだと思います。 私は学生のころ英語が苦手だったから、そういう気持ちもわかろうとしたいと思っています。だから、少しでもいいので「今のみなさん自身」より成長するようにしましょう。

 

私は、みなさんそれぞれが今よりも向上するような内容と情熱を持って授業をするので、みなさんにも今よりは何か成長するぞという気持ちで参加してもらいたいと思っています。どうですか?」

 

2023年10月13日

英語嫌いなAさんのやる気を引き出す 3

【自己調整&やる気を上げるテクニック】

・できなかったことができるようになったことを確認してあげて伝える
・手に入れたいものが何で、そのために何をしたらいいかを考えるサポートをする

 

定期的な口頭チェックの練習のコツをつかんだようで、Aさんが机に頭をつけて「うー、できない」と言う様子は見られなくなりました。

 

そして、ペアワークでの練習の際、私が近くを通ると、「先生、今回のまとまりってこんな感じでいいですか」と、自分でスラッシュをいれたテキストを見せてくれるようになりました。

 

合っているときは、「おぉ、全部正しいよ。そうそう、できるようになったね」と声をかけました。そのような感じで、Aさんは口頭チェックで毎回、合格点より少し上を安定してとっていきました。

 

学期末試験の2週間前の授業のときでした。Aさんが「先生、試験が心配です。定期チェックはどうにかやってこれたけど、学期末試験は範囲が広いから。どうしたらいいですか?」と聞いてきました。「どのように試験勉強しようと思ってる?」と聞くと、「特に考えてないですけど、まず単語をとにかく覚えて・・・って感じです」とのこと。

 

英語嫌いの人の特徴の1つに「英語の勉強=単語を覚える」と考えていることがあります。そして、Aさんもそう答えました。そこで、今回の授業の目的と、授業でどのようなことをやってきたかをを一緒に確認しました。すると、「あっ、じゃあ単語だけを一生懸命覚えても、あまり効果ないですね」と気づいたようでした。

 

形成的フィードバックの要素の1つに、Where the learner is going 「学習者が目指すものは?」をきちんと理解させることがあります。今回はその大切さに改めて気づかされました。

2023年07月31日

英語嫌いなAさんのやる気を引き出す 2

【自己調整&やる気を上げるテクニック】

・学生が考えている学習方法を聞く。その上で、より効率的な方法を提案する。その際、押し付けない。「~してみては?」と促す。
・できなかったことが、できるようになったことを意識させ、効力感を持たせる(下記エピソードの最後のところ)。

 

今回の私のクラスでは実践的な英語力を目指して、学生さんによく使われる英文を複数インプットしてもらい、定期的に口頭チェックするという活動をしています。

 

苦手な人には少しハードな課題なので課題を出すときに以下のような話をした後、学生がどのように練習しているかを把握するようにしています。

 

「同じ英語のクラスと言っても、このクラスの中にはいろいろな人がいるよね。英語が好きな人、キライな人、TOEIC受けるぞと思っている人、全くそんなこと考えていない人。 走るのが速い人とそうでない人がいるのと同じよね。だから、同じ課題に同じ練習方法、同じ練習時間でいいと思わないけど、どう? 自分がどうなのかをちゃんと客観的に見て、課題をまぁいい感じに仕上げるために自分に必要なことは何かを考えてやってほしいと思います。 英語が苦手で『覚えられない!』と言う人のほとんどは、1回だけやってみて、そう言ってることが多いかな。実際、今までたくさんそういう学生さんがいた。1回じゃできないよ、私も無理。やっぱり何回か練習がいると思うよ。 逆に得意な人は、早くに言えるようになると思うけど、言えて終わりじゃなくて、発音とかスピードとか、もうちょっと追求してみたらいいんじゃないかな。」

 

この日の授業でもこのような話をして、そして来週の口頭チェックに備えた練習をペアワークでしてもらいました。 Aさんの近くを歩いていると、「あ‘‘ー」とか「うー、言えん」など言いながら、頑張って友達と練習をしていました。

 

目線を上の方にやりながら、1語1語思い出すように言っていたので、 「まとまりで一気に言ってみる方が、頭に入れるかたまりも減るし、言いやすいかも。例えば、今さ、 I’m / tired / of / eating /(アイムゥ、タイアードォ、オブゥ、イーティングゥ) って、1つ1つ切って言ってたじゃん。じゃなくて、 I'm tired of eating, I'm tired of eating, I'm tired of eating, I'm tired of eating, I'm tired of eating, って、まとまりで何回も何回も言うの。まとまりで捉える感じ。そうしたら、インプットするまとまりが2つになるんよ。I'm tired of eating と at the cafeteria って。7つの単語を入れるより、楽じゃないかな?」 と練習の方法を提案しました。

 

遠くから様子をうかがうと、隣の学生と一緒に「おー、言えた言えた」と練習をしていました。

 

授業が終わり、Aさん達が教室を出ようとしたときに、「食べるのに飽きたは?」と声をかけると、Aさんと友達が声を合わせて「 I'm tired of eating  / at the cafeteria! イェイ。来週がんばりまーす。お疲れ様でした~。」と、笑いながら教室を出ていきました。

2023年05月10日

英語嫌いなAさんのやる気を引き出す 1

【自己調整を引き出すテクニック】 

1)クラスを歩き全員と言葉を交わし、学習に対する安心感を与えつつ、英語力、学習への姿勢のだいたいを把握
2)英語に自信がある人と強いディモチベーションを感じている人を把握
3)強いディモチベーションを感じている学生に声をかけ、安心感を与える

 

2年生の英語のクラスの初回授業の日。これから始まる私の授業の内容や評価方法を話した後、教室の中を歩きながら受講生に声をかけていると、前の方に座っていた3人のうち1人の女子学生が「あー、もう絶対無理、無理。」と話していました。

 

「ん?どしたの?」と話しかけると「英語、なにもわからないから、このクラスの内容、絶対無理ですよ~。あ~」と。「そうかそうか。まぁ、できることからね。全部を一気にするのは難しくても、できることはしていこうか。困ったことがあれば一緒に考えるからね」と声をかけました。

 

2023年04月18日