新着情報【電子情報工学専攻 前田研究室】日本表面真空学会九州支部学術講演会において『学生講演奨励賞』受賞

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2025.08.01
2025年6月28日(土)福岡大学にて開催された「日本表面真空学会九州支部学術講演会」において、電子情報工学専攻2年前田研究室の学生の研究発表が「学生講演奨励賞」を受賞しました。日本表面真空学会は表面と真空に関する科学・技術とその応用に関する学会で、学会九州支部が主催したこの学術分野における最先端の研究成果に関する学術講演会での発表が評価されたものです。
この学生が受賞した研究のタイトルは「エタノールを用いたCVD法によるAg箔上へのグラフェン成長Ⅱ」です。銀表面上グラフェン成長において、エタノールを用いたCVD法においてキャリアガスへの水素の添加と成長後の試料冷却時における表面安定化の工夫により銀の蒸発抑制に成功し、成長したグラフェンの品質改善を図ることによって提案している銀表面上でのグラフェンの成長モデルの妥当性を検証した研究が評価されました。

「エタノールを用いたCVD法によるAg箔上へのグラフェン成長Ⅱ」

銀はバイオセンサへの応用が進められていますが、表面が硫化することで性能が劣化し、寿命が短いという課題があります。これを改善するため、化学的に安定なグラフェン原子層薄膜を銀表面に成長する研究が進められています。しかし、グラフェンの成長に成功している従来の成長法では固体材料を用いているため供給量の制御が難しく、報告例も多くありません。そこで、エタノールを用いたCVD法によるグラフェン成長を試みました。実験では厚さ30μmの銀箔を用い、ArまたはAr+水素混合ガスをキャリアガスとして使用し、900℃・25Torrの条件下でエタノールを供給しました。そして、この実験に基づいて銀の高い蒸気圧が品質向上を妨げる要因であるという成長モデルを提案しました。さらに、この成長モデルに基づいて成長条件に変更を加え、キャリアガスへの水素の添加によって銀表面の安定化を図り、さらに試料冷却過程において水素ガスと成長ガスの供給を維持することでグラフェンの品質を向上させることに成功しました。水素添加だけでは表面組成を一様にできず銀表面に凹部が形成されますが、冷却時の圧力と成長ガス供給を維持することで凹部が減少し、表面安定化を向上させることができた結果です。以上の結果は提案した成長モデルの妥当性を裏付けるもので、表面安定化によって銀の蒸発を抑制することがグラフェンの高品質化に寄与することを示し、銀表面へ高品質グラフェンを成長するための指針を得ることができました。

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