新着情報[大学院 生命環境化学専攻]久保研究室 一般社団法人 日本鉄鋼協会第190回秋季講演大会 学生ポスターセッション奨励賞 受賞
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2025.10.16
2025年9月17日(水)~19日(金)北海道大学 札幌キャンパスにて開催された一般社団法人 日本鉄鋼協会「第190回秋季講演大会」学生ポスターセッションにおいて、生命環境化学専攻2年久保研究室の学生の研究発表が優秀と認められ、「奨励賞」を受賞しました。鉄鋼及び関連の研究について成果発表、情報交換等が行われるこの学会の中で、学生ポスターセッションでは過去2番目に多い115件の発表の中での受賞となりました。
受賞した研究のタイトルは「炭酸水を用いたステンレススラグからの六価クロム除去」です。ステンレス製造過程で発生する副産物であるスラグに含まれる有害物質「六価クロム(Cr⁶⁺)」の環境負荷を低減し、その再利用を可能にするCO2を用いた処理技術に関する研究が高く評価されました。
受賞した研究のタイトルは「炭酸水を用いたステンレススラグからの六価クロム除去」です。ステンレス製造過程で発生する副産物であるスラグに含まれる有害物質「六価クロム(Cr⁶⁺)」の環境負荷を低減し、その再利用を可能にするCO2を用いた処理技術に関する研究が高く評価されました。
「炭酸水を用いたステンレススラグからの六価クロム除去」
ステンレスの製造過程では、六価クロム(Cr⁶⁺)を含むステンレススラグが副産物として発生します。このスラグを土木資材などに再利用するためには、JIS規格(JIS-K-0058、JIS-A-5015)に基づく厳しい環境基準を満たす必要があります。具体的には、Cr⁶⁺の溶出量が0.02mg/L以下、含有量が250mg/kg以下であることが求められます。
ステンレススラグ中のCr⁶⁺は主にCaCrO₄やMgCrO₄の形で存在しており、理論的には酸による除去が可能です。しかし、スラグには30%以上のCaOが含まれており、酸処理には大量の薬剤が必要となるほか、廃液処理の負荷も大きくなります。
そこで、より環境負荷の少ない処理方法として炭酸を用いた浸出法に着目しました。炭酸は弱酸でありながら、CaやMgを溶解する能力があり、CO₂濃度に応じて溶解性のCa(HCO₃)₂や難溶性のCaCO₃へと形態が変化します。この特性を活かし、ステンレススラグを炭酸で処理することで、Cr⁶⁺の溶出を促進し、さらに処理後の液体から鉄鋼原料として有用なCaCO₃を回収することが可能と考えました。
鉄鋼業では高炉などから大量のCO₂が排出されており、炭酸処理に必要なCO₂の調達も容易です。この技術は、CO₂の有効利用(CCU:Carbon Capture and Utilization)にも貢献するものです。
ステンレスの製造過程では、六価クロム(Cr⁶⁺)を含むステンレススラグが副産物として発生します。このスラグを土木資材などに再利用するためには、JIS規格(JIS-K-0058、JIS-A-5015)に基づく厳しい環境基準を満たす必要があります。具体的には、Cr⁶⁺の溶出量が0.02mg/L以下、含有量が250mg/kg以下であることが求められます。
ステンレススラグ中のCr⁶⁺は主にCaCrO₄やMgCrO₄の形で存在しており、理論的には酸による除去が可能です。しかし、スラグには30%以上のCaOが含まれており、酸処理には大量の薬剤が必要となるほか、廃液処理の負荷も大きくなります。
そこで、より環境負荷の少ない処理方法として炭酸を用いた浸出法に着目しました。炭酸は弱酸でありながら、CaやMgを溶解する能力があり、CO₂濃度に応じて溶解性のCa(HCO₃)₂や難溶性のCaCO₃へと形態が変化します。この特性を活かし、ステンレススラグを炭酸で処理することで、Cr⁶⁺の溶出を促進し、さらに処理後の液体から鉄鋼原料として有用なCaCO₃を回収することが可能と考えました。
鉄鋼業では高炉などから大量のCO₂が排出されており、炭酸処理に必要なCO₂の調達も容易です。この技術は、CO₂の有効利用(CCU:Carbon Capture and Utilization)にも貢献するものです。