新着情報工学部電気工学科 北川研究室の卒業研究が学術雑誌Journal of Alloys and Compounds (インパクトファクター6.3)に掲載されました

トピックス
2025.11.06
工学部電気工学科北川研究室の2024年度卒業研究生3名の研究成果が、エルゼビア社発行の査読付き科学雑誌「Journal of Alloys and Compounds」に掲載されました。この雑誌は合金と化合物を専門とする学術誌であり、インパクトファクターは6.3を誇ります。本研究は東京都立大学、および九州産業大学との共同研究によるものです。
2004年に提案されたハイエントロピー合金は、従来の合金とは根本的に異なる設計指針に基づいており、材料科学分野におけるパラダイムシフトをもたらしました。従来の合金では、単一の主元素に微量の他元素を添加して必要な機能性を付与しますが、ハイエントロピー合金では4種類以上の元素をほぼ同じ割合で合金化する点が大きく異なります。ハイエントロピー合金は、優れた機械的特性に加えて、耐食性、放射線耐性、エネルギー貯蔵能、熱電変換特性、触媒機能など、多岐にわたる機能においても優れており、世界的に盛んに研究が行われています。また、複数の機能を同時に発現させることも可能であり、この多機能性は従来の合金にはほとんど見られない特徴です。
超伝導材料としてもハイエントロピー合金は魅力的であり、特に臨界電流密度が高いものが多く、次世代の超伝導線材として期待されています。今回、3名の卒業研究生は共晶構造に着目し、新しい共晶ハイエントロピー合金超伝導体 Hf–Nb–Sc–Ti–Zr を開発しました。共晶とは凝固形態の一つで、凝固の際に2つの異なる相が特徴的な模様を形成する現象です。代表的な例として、鉛ハンダに見られる層状構造が挙げられます。新たに開発した超伝導合金の特性を調べたところ、これまでの典型的なハイエントロピー合金よりも高い温度で超伝導を示すことが明らかになりました。また、臨界電流密度においても、6Tまでの磁場下で実用化レベルを超える合金を得ることに成功し、ハイエントロピー合金として世界最高水準の性能を達成しました。 多くのハイエントロピー合金は多機能性を有しています。今回開発した合金が放射線耐性も併せ持つことが確認されれば、核融合炉など、従来の超伝導線材が苦手とする過酷な環境下でも使用できる可能性があります。

ダウンロード

PDFでのダウンロード

過去のキャンパスメール

お問合せ

福岡工業大学 入試広報課(広報係)
TEL:092-606-0607(直通)
入試広報課(広報係)お問合せフォーム

  1. TOP
  2. 新着情報
  3. トピックス
  4. 工学部電気工学科 北川研究室の卒業研究が学術雑誌Journal of Alloys and Compounds (インパクトファクター6.3)に掲載されました