新着情報[生命環境化学科]【特許】スキン層(皮張り層)を有しないオレフィン系樹脂多孔質体の製造方法

トピックス
2023.06.13
【特許番号】第7254308号  【登録日】2023年3月31日
【発明の名称】オレフィン系樹脂多孔質体の製造方法
【発明者】松山 清

従来技術の課題・問題点

オレフィン系樹脂多孔質体の多孔質構造(例えば、孔の形状および寸法、空孔度、樹脂骨格の太さなど)は、製造方法によってある程度限定されるため、その特性も限定され、結果、オレフィン系樹脂多孔質体の用途が限定される。また、一般的な延伸法では、多孔質膜しか得ることができない。したがって、オレフィン系樹脂多孔質体の新規な製造方法があれば、オレフィン系樹脂多孔質体の用途を拡張できる可能性がある。あるいは、既存の用途においてより高性能なオレフィン系樹脂多孔質体を提供できる可能性がある。
また、樹脂多孔質体を製造する際には、表層部にスキン層( 皮張り層) が形成される場合がある。スキン層は、無孔の層であるため、樹脂多孔質体がスキン層を有する場合には、流体を透過することができず、樹脂多孔質体の用途が限定されるという問題がある。
したがって、得られるオレフィン系樹脂多孔質体が、表層部にスキン層( 皮張り層) を有しておらず、一方の表面から対抗する他方の表面まで連通する孔を有する場合には、フィルタ、電池のセパレータ等への適用が容易となるため、特に有用である。

本発明の効果・特長

本発明の目的は、スキン層を有しないオレフィン系樹脂多孔質体の新規な製造方法を提供することにある。

本発明の概要

本発明のオレフィン系樹脂多孔質体の製造方法は、

  • 耐圧容器中で、オレフィン系樹脂と、炭化水素化合物と、極性化合物とが混ざり合った単一相を調製する工程(以下「混合相調製工程」ともいう)
  • 前記耐圧容器に高圧の二酸化炭素(CO2)を導入する工程(以下、「二酸化炭素導入工程」ともいう)
  • 前記耐圧容器内の圧力を開放する工程(以下、「圧力開放工程」ともいう)を包含する。

ここで、当該極性化合物は、ヒドロキシ基、またはカルボニル基を有する。当該高圧の二酸化炭素の導入を、当該耐圧容器内の圧力が6MPa以上となるように行う。

オレフィン系樹脂に対して強い貧溶媒である二酸化炭素が、オレフィン系樹脂と炭化水素化合物と極性化合物との混合相に入り込むことにより、2つの分離相が形成され、その結果、オレフィン系樹脂多孔質体を得ることができる。混合相が極性化合物を含むことによって、スキン層の形成が抑制される。
また、本発明の製造方法は、延伸することなく、相分離を利用して、スキン層の無いオレフィン系樹脂多孔質体を得ることができる。ここで、2つの分離相の形態は、炭化水素化合物に対するオレフィン系樹脂の量、調製した単一相の温度などによって変化する。
したがって、本発明においては、条件によって、種々の相分離構造に基づく、種々の多孔質構造を有するオレフィン系樹脂多孔質体を得ることができるという利点を有する。具体的には、以下の構造を有するオレフィン系樹脂多孔質体を得ることができる。

ダウンロード

PDFでのダウンロード

過去のキャンパスメール

 

お問合せ

福岡工業大学 広報課
TEL:092-606-0607(直通)
広報課お問合せフォーム

  1. TOP
  2. 新着情報
  3. トピックス
  4. [生命環境化学科]【特許】スキン層(皮張り層)を有しないオレフィン系樹脂多孔質体の製造方法