卒業生の今 QCDSを意識した作業帳票を作成して生産現場を支えています。
知能機械工学科
小林 正人
出身高校/長崎県立島原工業高等学校
工学部知能機械工学科/2021年卒業
大学院工学研究科知能機械工学専攻/2023年修了
勤務先/株式会社荏原製作所(精密・電子カンパニー 装置事業部 生産部 熊本生産技術課)
CMP装置(Chemical Mechanical Polisher)の生産工程設計を担当。
私が入社した株式会社荏原製作所は創業100年を超える歴史ある会社で、創業当時はポンプを製造するベンチャー企業としてスタートし、以来、ポンプをメインとする産業機械メーカーとして社会と産業の発展に寄与してきました。今では、建築・産業、エネルギー、インフラ、環境、精密・電子の各分野へ事業を拡大し、さらに水素関連をはじめ宇宙、マリン、バイオといった新領域にも進出しています。なお、ポンプは今日でも国内トップクラス、また、半導体製造装置は世界シェア2位を誇っています。当社の根底にあるのは、社会課題を解決するためのチャレンジ精神です。社会の「不(不便・不満・不足など)」を見つけ出し、高度な技術と熱い想いで解決してきたことが多角的な事業拡大に結び付いています。
私は精密・電子カンパニーの装置事業部に所属しており、現在、「CMP装置(ケミカルメカニカルポリッシャー/Chemical Mechanical Polisher)」という、半導体ウェハの表面を平坦化する装置の生産工程設計に携わっています。このCMP装置を生産するための作業帳票(簡単に言うと手順書)の作成、また生産をサポートするための治具(道具)の製作・管理・メンテナンスなどが主な仕事の内容です。この生産工程設計業務は、上流部門から降りてくる製品情報を下流部門の生産現場により理解しやすく伝える役目を担っていることから、「設計開発と生産現場の橋渡し役」や「生産を支える縁の下の力持ち」といった言葉で表現できます。
業務を通じて社会発展の一助になりたいと考えたことが志望理由。
私が当社を志望したのは、精密・電子事業の半導体製造装置に携わることで人々の暮らしを支えたいと考えたからです。特に、高いシェアを有する真空ポンプやCMP装置など、多種多様な製品を世界中に供給して社会に貢献している会社ということに惹かれました。私もこうした製品を世の中に送り出す生産業務に携わり、社会発展の一助になりたいと考えたことが理由です。決め手となったのは、最終面接時に「人としての私に興味を持っていただいたから」です。スキルだけでなく「一人の人間」として向き合ってくださることに心が動かされました。また、就職活動に取り組むなかでチェックしていたのが会社の利益率です。当社は、健全な収益体制を維持していることから、利益を従業員へ還元し、研究開発へと投資する姿勢がチャレンジ精神を体現する基盤となっている点にも魅力を感じました。
私は、モノづくりに関わる夢を小学生の時に見つけました。農業機械関係に従事していた両親の影響に加え、様々な機械や人と関わりながら製品ができる過程を見たときの「面白さ」に魅了されたことが現在の仕事につながっています。今は現場のモノづくりに加え、工場全体を俯瞰し、部署を超えて連携できる役割を目指しています。その目標達成のために必要だと思うのは、「努力の道筋を立てる」ことと「リフレッシュすること」です。大きな夢も、小さな目標に分けて計画的にクリアしていくことで確実に近づけると考えています。また、頑張り続けるには、しっかり休んでエネルギーを充電することも欠かせません。私自身、オン・オフのメリハリをつけて、日々の仕事に取り組むことを心がけています。
工場全体のQCDSのレベルをより向上させていきたい。
私の業務は、様々な部署と連携して正確かつ安全な作業帳票(手順書)を作成することです。ただし単に資料を作れば良いというわけはなく、Quality(品質)・Cost(コスト)・Delivery(納期)・Safety(安全)の「QCDS」を意識して作成する必要があるため検討事項も多く、相応の苦労も伴います。それでも、現場の方から「今までやりにくかったものがやりやすくなった」とか「より安心して作業ができるようなった」など声をいただいた際には、大きなやりがいや達成感を覚えます。
学生時代の研究では、どのような手法で実験を行うと望む結果が得られるか、どのようにまとめると周囲に伝わりやすいかを意識して活動していました。その結果、習得した論理的思考力や伝える力が、「安全・効率的な工程の組み立て」や「作業者目線に立った分かりやすい指示」に直結しています。また、学部生時代のCS(Class supporter)・大学院生時代のTA(Teaching assistant)などの活動を通じて培ったコミュニケーション力も強みになっています。現場の方、他部署の方たちと連携することが多い今の業務では、どうすれば的確な情報を引き出せるかを考えながらコミュニケーションを図ることで、互いに相談しやすい信頼関係を構築しています。さらに、在学中に学んだ設計の知識は安全で操作性の高い治具を作るうえでの手助けとなっています。
今後の目標は、多くの方が「荏原製作所」の社名を聞いた際に、「あの会社で働きたい」とか「あそこの工場は先進的だ」といった言葉を口にするように会社としての存在感や知名度を高めていくことです。そのために、工場全体のQCDSのレベルをより向上させていきたいと考えています。現在の業務は、Q(品質)とS(安全)の比重が大きいため、今後はC(コスト)やD(納期)にも大きく関われるように挑戦していきたいです。それらを全て経験した上で、将来的に工場全体の運用を担えるように一つ一つの課題に着実に取り組んでいきたいと思っています。