FIT工学部 研究室最前線 電気工学科 池田研究室

研究テーマ

災害での停電時にハイブリッド車の給電コンセントを用いて冷蔵庫を使用可能にするための検討

研究内容を電気情報関係学会の九州支部大会で発表。

池田研究室では、パワーエレクトロニクス分野における電力変換器に関する研究に取り組んでいます。私の研究テーマは、「災害での停電時にハイブリッド車の給電コンセントを用いて冷蔵庫を使用可能にするための検討」で、合同会社KFSラボとの共同研究でこのテーマに取り組んでいます。災害での停電時には、スマートフォンの電池に次いで「冷蔵庫に電力が必要」と感じる人が多いというデータがありますが、家電メーカーのPanasonicは蓄電池での冷蔵庫の使用を推奨していないため、ハイブリッド車の給電コンセントを含め蓄電池で冷蔵庫を使えない状況にあります。この問題の解決を図るため、災害の多い日本でハイブリッド車を用いて冷蔵庫を使用できるように検討しています。私は4年次4月の研究室配属以降、この研究テーマに取り組み、2025年9月に開催された電気情報関係学会の九州支部連合大会で研究内容を発表しました。
ちなみに他の学生は、日本の家庭用単相3線式配電線に接続される家電機器の種類や使用状況に応じて低下する電力品質を保証し、電気を効率よく節約して使う研究を行っています。池田研究室は、2025年度に開設された新しい研究室のため、数式を用いた理論検討とシミュレーションによる検討をメインで行いながら、実験での検討が行えるよう準備を進めています。

INTERVIEW

研究室の魅力を語る

電気工学科4年

H.I.さん

出身:
福岡県立京都高等学校

※2025年10月取材時

整った実験設備や高い就職率に魅了されて福工大に入学。

高校の物理の授業で学んだ電気回路が非常に面白く、「電気の仕組み」や「エネルギーの流れ」などへの興味が湧いたことが福工大へ進学したきっかけになりました。
高校生だった当時、進学する大学を悩むなかで、先生に「福工大は工学分野の実験設備が充実していて就職率も高い」と勧められたことによって福工大が進学先の有力候補になりました。その後、ホームページなどから様々な情報を収集した際に、ここなら将来に役立つ実践的な学びができると感じ、福工大への進学を決断しました。また所属している電気工学科は、興味を持っていた電気に関する幅広い分野の知識を吸収できると思ったことから迷わずに選びました。

研究用の実験装置に用いる抵抗を、直列・並列の構成を考慮しながら設計し、配線を行う。
「電気情報関係学会・九州支部連合大会」で発表したポスターを用い、研究内容を説明する。

電気分野の充実した研究に取り組めると考えて池田研究室へ。

研究室については、授業で学んだパワーエレクトロニクスや電力工学の分野への興味がさらに深まったことで、実際に回路設計や計測を体験できる研究室で学びたいと思っていました。池田研究室は2025年度からの開設のため研究室については動画による紹介となりましたが、私にとって最適な研究室であることを認識しました。まだお会いしたこともない先生の研究室に対する不安もあったものの、省エネルギーへの貢献や防災など、実社会に直結したテーマに取り組んでいる点も魅力だったので池田研究室を選びました。
池田先生は研究の相談にも親身にのってくださり、学生の自主性を大切にしてくださいます。研究室の雰囲気は落ち着いていて、全員が協力的な環境です。ミーティング(ゼミ)では意見交換も活発で、学生は前向きに研究を進めています。

冷蔵庫のコンセントに電源をつないだ際に発生する、突入電流の最大値を計測する。

電気をきれいにする機能を備えた、電気自動車の充電器回路を開発中。シミュレーション上で動作確認を行う。

実験計画の立て方やデータの整理・分析力など多様な力を獲得。

研究は思い通りにはいきませんが、自分で設計した回路が実際に動作し、想定した結果が得られたときには大きな達成感があります。たとえ問題が発生しても原因を探って、改善できたときの喜びは格別です。また、理論で学んだ内容を自分の手で形にできることが一番のやりがいです。
真摯に研究に取り組むことで獲得したスキルも多く、たとえば実験計画の立て方やデータの整理・分析力が身につきました。併せて、粘り強く課題に取り組む姿勢が養われたほか、失敗から学ぶことの大切さもわかりました。さらには報告書の作成や電気情報関係学会での発表などを通して、技術的な説明力が向上したことも実感しています。

研究室では週2回ミーティングを実施。所属学生同士で、研究を理解する機会が設けられている。

ミーティングに際し、研究を進める「電気自動車の充電器」の回路図をホワイトボードに書き写して説明に備える。

卒業後は設備関連の企業に就職して設計を担当する予定。

今後の研究目標としては、回路の小型化や高効率化をさらに進め、安定した電力供給に貢献できる成果が得られることを目指しています。卒業後は、電気機器やエネルギー関連の企業に入り、電力制御や設備設計の分野で社会に役立つエンジニアとして活躍したいと考えながら就活していたこともあって、設備関連の企業に就職が決まりました。入社後は、設計を担当する予定です。電動式の製品も製造しているので、学んだ電気の知識も役立つと思っています。
福工大は、実験や実習を通して「理論を実際に確かめながら学べる」環境が整っています。先生や先輩も親しみやすく、分からないことも相談しやすいはずです。電気やエネルギーに興味がある人は、ぜひ工学部の電気工学科で“ものづくりの面白さ”を体感してほしいですね。

インバータに自作のプログラムを入力するため、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)装置をセットアップする。
オシロスコープで波形を観測しながら、インバータの動作を確認する。