FIT工学部 研究室最前線 電子情報工学科 家形研究室

電子情報工学科

家形研究室

家形 論 助教

FIT工学部の取り組み

研究内容

磁気の波を用いたフィルタや共振子などの高周波デバイスの研究。

家形研究室(家形論 助教)で取り組んでいる研究テーマの一つが、「高周波領域で動作する磁気の波を利用した通信部品の開発」です。近年、スマートフォン等のデバイスが爆発的に普及する中、その性能がどんどん上がるにつれて多様なコンテンツが楽しめるようになりました。しかしその反面、スマートフォンによる通信の増加に伴って、高速で高密度なデータ通信が要求されています。その要求に応えるには、より高い周波数を使うことになりますが、現在使われている通信の根幹部品であるフィルタ素子は、高周波になるほど熱の影響を強く受けるため、今以上の高周波に対応することが難しいと考えられています。このため研究室では、高周波の磁気の波を利用し、この弱点を克服した新しい通信部品の開発を行っています。

spisara

研究室の魅力を語る

大学院 工学研究科 修士課程

電子情報工学専攻 修士課程2年

T.Nさん

(電子情報工学科卒業)

出身:鹿児島実業高等学校

美しい環境と充実した設備に魅力を感じて入学を決意。

私が福工大に入学を決めた理由は、この大学の環境と設備に魅力を感じたからです。高校時代に足を運んだオープンキャンパスで、綺麗な学校だなという第一印象を持ったことがきっかけとなりました。学食や図書館等の施設も整っており、また研究に必要な機材や装置、測定器などの設備も他大学より豊富に揃っているとの説明を受け、素晴らしい大学だと実感したことが今も記憶に残っています。電子情報工学科を選んだ理由は、現代のエレクトロニクス技術者に必要なソフト系とハード系両方の幅広い知識を修得でき、自分の将来の選択肢を広げられると思ったから。スマートフォン、タブレットをはじめとした様々なコンピュータデバイスの構造や原理に興味を持っていた私にとって、電子情報工学科は最適な学科でした。

前田研究室6

▲家形先生の研究室に設置された「多層膜作成装置(超高真空マルチスパッタ装置)」を調整する寺地君。

テーマは高速・省エネの通信に貢献するデバイスの開発。

現代は、多くの人がスマートフォンやタブレットPCなどを利用している時代。しかし、利用者が増えすぎると通信がパンクしてしまいます。この研究室では、こうした問題を解決するために通信の要とも言える部品を開発しており、より高速で省エネルギーな通信の実現を目指しています。ただしこれは、あくまでも研究テーマの一つ。研究室では、様々な研究テーマに基づく多様なモノづくりが行われており、学生は自らが取り組みたいテーマを設定し、みんなでアイディアを出し合い、協力しあいながら研究に専心しています。
 私が家形研究室を選んだ理由は、「スピントロニクス」という磁性分野で最先端の研究をすることができるからです。もともと私は、誰もまだやっていない最先端の研究に関わりたいと思っていたので、それができるこの研究室は理想的な環境でした。またこの研究室は、私が最初の研究生となった新しい研究室。私や学部生4年次の同期のみんなといっしょに机や椅子を、カタログを見ながら購入し、まっさらな状態から整えていったことが思い起こされます。一期生として研究室の環境を作りながらのびのびと研究できたことは良き思い出ですし、とても感謝しています。
 家形先生は学生を熱心に指導してくださる、面倒見が良い先生です。分からないところがあっても親身になって教えてくださいます。また学生のチャレンジ精神を大事にしてくださる先生であり、研究に大切な「何事にも積極的に行動すること」をいつも教えられています。研究室の雰囲気は賑やかそのものですが、研究成果や進捗状況をプレセンするゼミではだれもが積極的に質問するなど、お互いが切磋琢磨できる良い環境になっています。

前田研究室2

▲研究テーマである津波計測用・送受信レーダ発信器制御のプログラミングに取り組む野田君。

前田研究室3

▲スペクトラムアナライザー(周波数スペクトル分析器)で出力波形を確認中。

スピントロニクスという最先端研究に取り組む喜びがある。

研究は、計画を立ててから取り掛かるのが一般的ですが、実際は計画どおりにいかずに途中でつまずくことが多々あります。そういう予想外のことを課題として、悪戦苦闘しながらも解決していくところに研究の楽しさを感じます。また問題を解決するためには、考察力と多様な知識が必要です。様々なことを学びながら発展させ、研究成果をカタチにしていく過程がやりがいにつながっていると私自身は思っています。  研究室に入って良かったことは、最先端分野の研究に取り組めたことです。スピントロニクスの歴史はエレクトロニクスや他分野と比べると未開拓の新しい分野なので、この研究自体に取り組めることが大きな喜びです。ここで身についたチカラは、問題解決能力とひらめき(発想)力。私の研究は問題がいくつも起こる中にあって、失敗の連続だったので、何か問題が起きている時には物事を論理的に捉えて要点をまとめ、原因を見つけ出さねばなりません。たとえば装置をこう改造すればもっと良くなるといったひらめきが、実験の向上にもつながることもあります。考察を何度も繰り返し行うことで、私は問題解決能力とひらめきの力が育まれていったと思っています。

前田研究室2

▲多層膜作成装置は家形先生が設計し、寺地君と組み立てたオリジナル装置。その改良点を2人で協議中。

前田研究室3

▲研究室では現在、寺地君のほか学部生5人が自分のテーマにもとづいた基礎研究に取り組んでいる。

入学時から意識していた大学院へ進み研究を継続。

現研究は、いま作製している磁性デバイスの完成がひとまずのゴール地点。ですが完成したデバイスを詳細に評価し、さらに一歩先の改良したデバイスを作製することができればと思っています。また、進路はいろいろ考えていますが、人の役に立てる研究職やものづくりの仕事に就くことが目標です。  福工大工学部は、基礎学力に自信がない人でも1・2年次にしっかりと基礎学力を修得することができます。また、資格取得のための支援講座も充実しており、福工大自体が就職活動を強くサポートしてくれます。先生たちは親身になって学生に接してくださるので、分からないことがあったり困ったことがあったりしたら、いつでも相談にのってくださることでしょう。福工大工学部は、毎年の優れた就職実績も魅力。たとえ将来やりたいことや就きたい仕事が決まってない人にも、お勧めできる大学です。

前田研究室6

▲コンピュータで磁気の波のシミュレーション動画を見ながら、実験結果を確認中の寺地君。