FIT工学部 研究室最前線 生命環境化学科 蒲池研究室

生命環境化学科

蒲池研究室

蒲池 高志 教授

FIT工学部の取り組み

研究内容

有機分子触媒反応における選択性の変化の研究。

蒲池研究室(蒲池 高志 教授)では、理論化学とコンピュータシミュレーションによる化学探求をテーマに掲げています。理論化学では実験を全く行わず、文字通り「理論」に基づいて化学分野における問題を解析します。計算化学と言い換えることもでき、パソコンを用いたシミュレーションによって、たとえば分子構造や反応に伴う化学的性質の変化など、実験的手法では知りえない情報を比較的容易に得ることができます。
私の研究テーマは、「有機分子触媒が引き起こす選択的反応の研究」で、「キラルPTC触媒のアリル基の構造変化による反応性の相違の原因」と「特異な構造を持つリン酸触媒の選択性の変化」を調べています。他にも、「メタンガスが反応しやすい表面を持つ金属を探索する」「天然ガスを運搬しやすいメタノールに転換する」といった研究に取り組む学生もいます。また、蒲池研究室での研究は材料や触媒などの物質科学、創薬、バイオといった広い分野での応用展開が期待できます。

spisara

研究室の魅力を語る

生命環境化学科4年

S.Yさん

出身:大分県 扇城学園東九州龍谷高等学校

市街地に近い、立地環境の良い福工大を選択。

私が福工大へ入学したのは、交通の便がよく、市街地にも近い立地環境に魅力を感じたからです。福工大の先生と交流のある高校の先生が、「施設も整っていて就職率も高い」と勧めてくださったことも影響しています。第一志望だった大学への進学を取りやめて、福工大へと志望を変更しました。入学試験の成績が良かったこともあって学費免除の特待生として入学しましたが、入学後も勉強に力を注ぎ、4年間特待生を継続できました。
生命環境化学科を選んだのは、高校まで学習してきたなじみ深い「化学」「物理」をベースにした学びができるからです。工業大学といえば機械、電気・電子、情報などが頭に浮かびますが、私はまったく学んだことのない分野。ですから、そうした分野ではなく、教科の中でも好きだった化学、物理、数学の知識を活かしやすい学科を選びました。

前田研究室2

基質と新たに設計した有機分子触媒を結合させた状態をシミュレーション中の瀬口さん。

前田研究室3

研究室内に並ぶ計算機。一般的なPCと比べると、超高性能のマシンも設置してある。

好きな数学や物理の分野に最も近い研究室へ。

3年次は数学系の研究室に所属していたのですが、諸事情により4年次に蒲池研究室へ移ってきました。この研究室を選んだのは、機器・器具類を用いて化学実験を行う研究室ではなかったからで、「理論化学」が私の好きな数学や物理の分野に最も近かったことにも惹かれました。また、生命環境化学科で唯一IT業界・分野に近い研究が行われていること、パソコンの組み立てやプログラミングに興味を持っていたことも選んだ理由です。それから仲の良い友達が、この研究室にいたことも選択の一因になりました。
計算手法の勉強に慣れ、計算ソフトを扱うノウハウも身に付けることができました。卒業された先輩の研究テーマを引き継いで「特異な構造を持つリン酸触媒の反応性の変化」の研究に取り組んでいます。今後は、研究内容の理解を深めながらGaussianプログラムを用いたシミュレーションを行い、結果を卒業論文にまとめていこうと思っています。

前田研究室6

サーバールームの第2研究室には、4機を連結した高性能サーバーが稼働中。

先生は、2018年のベスト・ティーチャー賞を受賞。

研究室の蒲池先生はとてもユニークで話しやすく、優しい先生。研究室のメンバーも個性的で、笑いの絶えないアットホームな雰囲気が漂う居心地の良い研究室です。蒲池先生は、物理学やパソコンの授業も担当していらっしゃいますが、教え方が丁寧で分かりやすいという学生の評価から「2018年の生命環境化学科ベスト・ティーチャー賞」も受賞されました。余談ですが、研究室には先生の授業を補佐するチューターを務めている学生も多く、私も蒲池先生の基礎物理や物理学Ⅰのチューターを担当しています。
この研究室に所属して一番良かったことは、メンバー同士で意見交換や情報共有することにより、研究に対して様々な視点からアプローチできるようになったことです。研究に対しての様々なアイディアが生まれるようになりました。また、英語の学術論文を読むことが多いので、英語力が以前と比べて向上したように思います。それから、研究室には「授業など必要用事以外は、9時から17時まで研究室にいること」というルールがあります。このルールを守ることで、社会人として必要な規則正しい生活を送る習慣も身に付きました。

前田研究室2

酸化アルミニウムにメタンを吸着させたモデルをGUIインターフェースを使って設計中。

前田研究室3

MOLDENというソフトで、計算中のキラルPTC触媒の結合状態を確認する。

将来は、防犯性の高いシステム開発に取り組みたい。

今後の目標は、卒業研究で与えられた教科書やインターネットには答えがのっていない課題について、コンピューターを使ったシミュレーションで私なりの解答を与えて、2月の発表に向けての卒業論文を充実させることです。
卒業後は、福岡のIT系企業へシステムエンジニアとして就職することが決まっています。銀行のシステム開発がメインの業務になりますが、より使いやすいATM の仕組みづくりを行うことを目標に、犯罪の脅威から銀行や利用者の皆さんをガードする、防犯性の高いシステム開発などにも取り組んでいきたいと思っています。
福工大は校舎も新しく綺麗で、施設が整った環境の中で勉強ができます。サークル活動も活発だし、自分のやりたいことがきっと見つかることでしょう。生命環境化学科は、環境、エネルギー、物質、食品など広い分野を学べ、研究室では実験などもよく行われます。そうした中で「理論」を柱とした研究に取り組みたい人、ひと味違った研究を行いたい人は、どうぞ蒲池研究室を覗いてみてください。

前田研究室6

▲松木教授によるカスタムメイドのオリジナルドライビングシミュレータで視野情報を計測実験中