FIT工学部 研究室最前線 生命環境化学科 赤木研究室

研究テーマ

免疫不全症患者で認められた変異型C/EBPεの機能解析

「幹細胞の運命制御機構の解明」に取り組む研究室。

私が所属する赤木研究室は、「幹細胞の運命制御機構の解明」に取り組んでいます。その中で私は血液細胞の運命制御機構に取り組み、私自身の研究テーマは、「免疫不全症患者で認められた変異型C/EBPεの機能解析」です。人の血液は、白血球・赤血球・血小板に分けられます。また白血球はさらに分類することができますが、その中でも白血球の約70%を占める「好中球」に着目しています。
好中球は、体内に侵入してきた微生物などの異物を食べて除去する働きを持っており、好中球が生まれるときにC/EBPεと呼ばれるたんぱく質が働きます。しかし、C/EBPεに変異が入ってしまうと免疫不全症を引き起こしてしまいます。私は、その変異が入ったC/EBPεの機能の解析を行っています。また研究室には、「ES細胞とがん細胞の類似性に着目した幹細胞性獲得機能の解明」を目指した研究に取り組む学生もいます。

INTERVIEW

研究室の魅力を語る

生命環境化学科4年

T.T.さん

出身:
福岡県立柏陵高校

※2023年12月取材時

生物、環境、物質、食品と多岐にわたって学べる学科を選択。

福工大工学部の数ある学科の中から生命環境化学科を選択したのは、高校時代に学んだ「化学」に興味を持ったからです。また生命環境化学科が、化学ばかりではなく生物、環境、物質、食品など、多岐にわたる分野を学べることも私の知的好奇心を惹きつけました。
大学自体にも、大きな魅力を感じました。まず、キャンパス内には実験設備や情報設備などの学習面の施設が充実していること、そして、キャンパス自体がとても綺麗だということ、こうしたことが入学の決め手になりました。さらに、JR福工大前駅がキャンパスに直結していて、歩いて数分という距離の近さも通学する上でとても魅力的でした。
研究室に設置された安全キャビネット内で、マイクロピペットと細胞を入れるディッシュを用いて細胞培養の作業にあたる。
「CO2インキュベータ」という細胞培養に適した環境を維持する機器から、細胞培養に用いるディッシュを取り出す。

授業で生命系分野への関心が高まったことから赤木研究室へ。

1〜2年で生命系の授業を受けていくうちに、生命系分野への関心が高まり、ぜひ生命系の研究室に所属したいと考えていました。そして3年生前期に赤木先生のSNSを見たり、研究室を訪問したりする中で、研究室の雰囲気がとても良かったことや研究テーマがとても興味深かった赤木研究室を選びました。
赤木先生は優しく、いつも学生に寄り添い気を遣ってくださるとても素晴らしい先生です。どんな質問にも答えてくださるし、アドバイスもとてもためになります。こんなに良い先生は、なかなか巡り会わないのではないかと思うほどです。そんな先生の元に集まった学生はみんな仲が良く、研究室もとても賑やかです。研究室ではよくイベントも企画しており、今までBBQやスポーツ大会、ピザパーティーなどを行いました。今後もたくさんのイベントを計画していく予定です。
培養した細胞を光学顕微鏡のモニター画面に映し出し、細胞の形態を詳細にわたって観察・確認する
実験機器の一つ、ウエスタンブロット解析装置にフィルターをセットし、たんぱく質シグナルを検出する。

実験の成功が次の実験に取り組むモチベーションになる。

研究のやりがいは、達成感を得られることだと思います。私たちの研究室では、細胞の培養をメインに研究に取り組みます。細胞が増殖するには数日間必要なので、一つの実験にかかる時間がとても多いです。もし実験に失敗すると、細胞の培養からやり直さなければならないので大幅な時間がかかります。その一方で、「目的のたんぱく質の発現が確認できた」といった実験の成功の際には大きな達成感を得られ、次の実験に取り組むモチベーションにもなります。
メンバーと協力しながら、楽しく研究ができることも赤木研究室に入って良かったことの一つ。また研究に取り組む中で、自ら計画し、実行する力が付いたことは大きな成果と言えるでしょう。赤木研究室では、自分のペースで自由に実験ができます。ですから時間に縛られないというメリットがありますが、自ら実験計画を立て、実行していかないと研究が進みません。私は、毎週末に次週の実験計画を立て、それを実行することを意識してきました。

ES細胞からmRNAを抽出し、cDNAを合成する。その後PCR(DNAを複製して増幅させる)を行い、目的の遺伝子が発現しているかを確認する。
男子学生=「上級バイオ技術者認定試験」の試験勉強に取り組む。 女子学生=「STAT3阻害剤の作用機序の解明」というテーマの論文を作成中。

大学院へ進学して研究を継続しさらに専門性を高めたい。

今後は卒業論文作成に向けて、学会の論文としても評価されるレベルの高い価値あるデータを出すことが目標です。また、学部生として卒業した後は大学院への進学が決まっていますが、大学院では、現在取り組んでいる研究を継続し、さらに専門性を高めたいと考えています。大学院修了後は、製薬会社や研究機関などで、人命を救うことのできる研究・開発分野の仕事に携わりたいと思っています。
福工大工学部では、1,2年次に基礎科目を履修することができるため、高校時代に学習しなかった科目や学力に自信のない科目も再度学んでカバーすることができます。また、資格取得のための資格取得講座、就職活動のサポートなど授業以外のサポートも充実しています。先生方も、勉強面や就活など幅広くサポートしてくださいます。福工大工学部はたくさんの魅力を秘めた、お勧めできる学部です。
共同研究の学生と一緒に、テーマに基づいた研究を進める。ナノドロップ(分光光度計)装置を用いてDNAの濃度を計る。
リアルタイムPCR装置を利用して、細胞内のmRNAの発現量の定量化に取り組む大学院生。

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