卒業生の今 ボイラメンテナンスの経験をもとに将来は自社製品の開発に携わりたい

知能機械工学科

谷本 輝一

出身高校/福岡県立筑紫高等学校
工学部知能機械工学科/2020年卒業
大学院工学研究科知能機械工学専攻/2022年修了
勤務先/三浦工業株式会社 都城支店・都城メンテ

フィールドエンジニアとして携わる、メンテナンス業務。

私が勤務している三浦工業(株)は、ボイラ製品、水処理機器、食品機器、メディカル機器、環境機器など様々な自社製品の販売とメンテナンスを手掛けています。新入社員は、支店でボイラの基礎知識やお客様対応力などを身につけるため、現在は、宮崎県の都城支店・都城メンテのフィールドエンジニアとしてお客さまのもとを巡回しながら、「ボイラの定期点検」や「ボイラの修理」に加えて、ボイラの腐食等を調べてボイラ効率を維持するための「ボイラ水の採水・分析」などの業務に携わっています。都城支店のお客さまは、大手酒造会社からクリーニング店などの個人商店まで様々。私自身は、殺菌や滅菌、調理などにボイラを用いている給食センターや食品工場など10社程度を担当しています。なお、都城でのフィールドエンジニアの経験を活かして来年度からは、本社の生産技術部で効率の良い生産、コスト改善方法を提案する業務を行います。将来的には、本社で省エネ・活エネをサポートできる製品の技術開発に携わってみたいと思っています。

私が当社への入社を志望したのは、ボイラをはじめとした様々な製品によって、工場などのボイラシステムの省エネ、水処理システム、未利用エネルギーの有効活用、圧縮空気設備の省エネなど、設備全体の省エネ・活エネをサポートできる仕事に魅力を感じたからです。また、高いメンテナンス力による製品の維持管理、あるいは24時間365日のトラブル対応が可能な点にも惹かれました。

ソーラーカープロジェクトの活動が、向学心を増幅させた。

学生時代には、モノづくりセンターで「ソーラーカープロジェクト」の活動に取り組んだことが思い起こされます。福工大への入学を決めたのも、学生が主体的に製作活動に取り組める、このモノづくりセンターがあったからです。1年生のときからプロジェクトに参加しましたが、鈴鹿サーキットをソーラーカーで走る、「鈴鹿4時間耐久レース」にチームで参加したことは今も良い思い出です。ソーラーカーは太陽光発電を利用してエネルギーを蓄え、クルマを走行させますが、ソーラーカー製作では学生自身が設計から機構の製作、メンテナンスまでを行いました。こうした製作作業を通じて、モノづくりの幅広い知識と経験を蓄えることができたと実感しています。また、「省エネ」にも関心を持つようになり、そこから設計開発の面白さを感じ、実際に現場で手を動かす仕事にも興味が広がっていきました。

学部生・大学院生時代に所属した研究室では、燃料電池の開発につながる流体分野を研究したことで、エネルギーの活用や流体の知識を用いた製品開発に対する思いが大きくなりました。これらの経験から、流体に関する製品のメーカーで省エネを意識した設計開発ができ、あわせてメンテナンスにも力を入れている企業に就職したいという目標が見つかり、現在の仕事につながりました。

業務に活きる「熱力学」「電気工学」の知識や問題解決能力。

福工大で学んだ「熱力学」や「電気工学」などの基本的な知識が、ボイラの仕組みを理解するうえで活きています。たとえば熱力学は、蒸発量、熱損失の計算などに、また電気工学はボイラに組み込まれた回路図を把握する際などに役立っています。これらの知識は今後、お客さまへ省エネ提案をする際に、データを示して理解を深める手段として活用できるはずです。また、研究を通じて身につけた「問題を発見して解決策を見つける能力」、大学院で高めることができた「結果に対する考察力」なども業務では活きているように思います。新入社員なので日々の業務では分からないことが多々ありますが、理解できていること、できていないことを把握し、必要なマニュアルを見つけたり、また上司への質問内容を考えたりすることにも得られた能力が役立っています。そうしたなか、身につけた知識を活かしてボイラをスピーディに修理し、お客さまに感謝して頂ける瞬間に一番のやりがいを感じます。

これからの目標としては、難関国家資格の「エネルギー管理士」の資格を取得したいですね。資格取得を通じて、エネルギーを使用する設備の維持管理やエネルギー使用効率化に関する知識を身につけ、将来的に目指している省エネ・活エネをサポートできる製品の技術開発のベースにできればと思っています。

後輩へのメッセージ
工学部は講義や実験などが忙しく、大変な思いをするかもしれません。しかし、そのぶん得られる経験や知識は多く、幅広い分野の企業で必要とされる人材に成長できると思います。福工大で何ごとにも前向きに取り組み、ぜひ自分が将来やりたいことを見つけてください。