卒業生の今 ハードからソフトまでを手がける女性エンジニアへ成長を。

生命環境化学科

東 梨香

出身高校/熊本県立人吉高等学校
工学部生命環境化学科/2019年卒業
勤務先/株式会社島津アクセス 九州支店 第一サービス課

分析機器のメンテナンスやネットワーク構築などに従事。

(株)島津アクセスは、各種計測機器をはじめ医用機器、産業機器、航空機器などを製造する島津製作所のグループ企業であり、島津製作所が製造した分析機器や試験検査機器、各種計測機器などのメンテナンスを主事業としています。私は、主に装置内に液体を流しながらサンプルの成分を分析する「HPLC(高速液体クロマトグラフィー)」、また「分光光度計」などを対象に、据付から点検、部品交換、不具合があった場合の修理作業などに携わっています。担当するお客さまは、製薬会社をはじめ大学の研究室、薬物・毒物を調べる警察、水質を調べる水道局、農薬検出を行う農業関連機関など。担当エリアは北部九州をメインに、営業所のある九州全県で仕事しています。九州では日本でも有名な製薬メーカーの工場が稼働している、佐賀県での仕事が多いですね。

 近年は、「サーバーでのデータ一元管理」といったニーズも増えており、データ管理のためにお客さまのオフィスや点在する工場などを結ぶネットワーク構築の仕事も手がけるようになりました。現在、九州支店では、現場で働く女性エンジニアは私を含め2名ですが、全社的に女性エンジニアは増えています。私自身、今後も女性の視点や感性を発揮しながら、分析機器のメンテナンスやネットワーク構築などの業務に力を注ぎたいと思っています。

島津グループのエンジニアとして働けることが入社の一因。

私が(株)島津アクセスに関心を持ったのは、福工大の企業説明会に参加してからです。方向性としては有機化学分野よりも無機化学分野を、さらには水や大気など環境に関わることができる仕事をイメージしていました。そこで、実際の就活では工具を持って機械類を扱う「技術職」を考えながら活動。トータルで約100社が参加する学内の企業説明会の中で、分析機器を扱うエンジニアを募集していた当社に目が向き、同時に仕事自体も環境分野に関われることを知り興味が膨らんでいきました。

就職を志望する決め手となったのは、技術職の採用ということに加え、当社が医用機器、航空機器などの日本有数の機器メーカー「島津製作所のグループ企業」であるということ、また、仕事とプライベートの時間を両立できる職場環境が整っていたからです。特に、日本有数の機器メーカーである島津グループというメリットは大きく、研究室の先生も就職を勧めてくださいました。九州支店・第一サービス課に所属する篠原さんは、私と同じ福工大の工学部生命環境化学科出身で、また研究室の1年先輩でしたが、私が学部生3年生のときに就活に関する話をしてくださったことを覚えています。同じ福工大出身の先輩が当社に勤務しているという安心感があったことも、入社の要因になりました。

ソフトウェアについて学びを深めて仕事の幅を広げたい。

仕事では、学生時代に取り組んだ分析実験の知識と経験が役立っています。たとえば、実験でも用いたペーパークロマトグラフィは液体クロマトグラフの機能に通じる部分があります。液体クロマトグラフは液体の流れ具合などで成分を判断しますが、学んだ分析原理の知識は、不具合箇所の推測にも活かされています。また、在学中は1年次から「FIT ICE」という国際交流サークルに入り、海外からの留学生のサポートを手掛けたりしながら海外の友達づくりに努めました。こうした積極的な交流によって「何でもやってみよう」という行動力が身につき、同時にコミュニケーション能力も向上。このコミュニケーション能力は、お客さまと会話を交わすうえでも役に立っています。

仕事のやりがいを感じるのは、不具合が生じた分析機器を修理して感謝されたとき、また、分析機器の適切な操作法などのアドバイスを行い感謝されたときなど。お客さまのお礼の言葉は、エンジニアとしての仕事の励みにもなっています。ネットワークの構築作業については、長期間準備した作業が無事に完了した際に大きな達成感を覚えますね。今後は、ハード以外の知識も増やしたい。担当機種のソフトウェアはもちろん他機種のソフトウェアについて学びを深め、仕事の幅を広げられるようになりたいと思っています。

後輩へのメッセージ
生命環境化学科は、「環境・エネルギー」「物質化学」「バイオ」「食品」など広い分野を学ぶことができます。私自身、分析や環境分野に興味が広がり、今の仕事に辿り着きました。まだ将来の進路を決めてない人は、生命環境化学科でいろんなことを学びながら、進路を絞ってみてはいかがでしょうか。