FIT工学部 研究室最前線 知能機械工学科 数仲研究室

研究テーマ

クラドニ図形による振動モードの可視化実験に関する研究

数仲研究室は、機械システムや振動工学など機械に関わる幅広い分野を研究対象にしています。そんな数仲研究室で、私が取り組んでいるのは「クラドニ図形による振動モードの可視化実験に関する研究」です。現在、大学院生1人と私を含む学部生2人の計3人のメンバーで、この研究を進めています。
クラドニ図形とは、表面に砂を撒いた板を振動させた際に板に発生する定常波によって、砂が最も振幅が小さい場所である「振動の節」に集まることであらわれる模様のことを指します。私たちは、板の材質や厚さによってあらわれるクラドニ図形の模様の違い、また、模様があらわれる際の周波数の違いを明確にするため、日々研究に取り組んでいます。板の曲げ振動特性を明らかにすることで、多くの金属板が使用されている自動車や鉄道、飛行機などの振動解析に応用し、これらの機械構造物の遮音性や耐久性の向上に役立てたいと思っています。

INTERVIEW

研究室の魅力を語る

知能機械工学科4年

N.Y.さん

出身:
鹿児島県立国分高校

※2024年11月取材時

福工大の充実した施設・設備に魅了されて入学を決意。

私が福工大へ進学したのは、工業系の大学で施設・設備などが充実しており、実習や研究で幅広い分野の知識を身につけることができると思ったからです。もともと自動車が好きだったこともあって、将来的に、自動車業界への就職を目指して入学しました。毎年のように達成している、高い就職率も大きな魅力でした。
工学部4学科の中から知能機械工学科を選んだのは、やはり興味のある自動車に関わる多様な知識を吸収できることが大きな理由です。機械分野を深く学ぶことのできるこの学科に入れば、自動車業界への就職にも、また将来的に仕事をする際にも有利だと考え、知能機械分野の専門家である先生方のもとで、4年間を通してしっかり基礎知識を身につけようと思い、入学を決めました。

加振機を使って金属板を振動させてあらわれる砂の模様「クラドニ図形」を観察する。振動スペクトル(振幅と周波数との関係)は、FFTアナライザーのモニターに表示される。
金属板の加振周波数を増加させると、模様は複雑に変化していく。振幅が小さいと振動の様子は目に見えないが、レーザーセンサーを用いて測定ができる。

自動車や鉄道に関わる研究を行っている数仲研究室を選択。

数仲研究室は、先生が自動車や鉄道などに関わる様々な研究を行っていることから迷わず志望しました。この研究室なら、間違いなく自動車に関連する研究に取り組めると考えての選択です。
担当の数仲先生は、学生に対してとても面倒見が良く親切で、いつも研究に対する的確なアドバイスをしてくださいます。設計の授業も担当していらっしゃいますが、内容がわかりやすく、質問にも丁寧に対応してくださいます。そうした先生の人柄にも惹かれました。研究室の雰囲気は、みんな仲が良いこともあっていつも和気あいあいとしています。とはいえ、研究には全員が真剣に、そして無我夢中になって取り組んでいます。なお、数仲研究室には多くの研究テーマがあるため、他の学生の研究発表会を通じて他分野の知識も身につけられるメリットもあります。

FFTアナライザーに表示された振動スペクトルのデータはパソコンで記録される。機械構造物の遮音性能評価に必要となる模様の幾何学的な特性を調べる。

「フラッピング水力発電装置」の解析を行う研究チーム。三次元CADを用いて発電装置に取り付ける「翼」の形状を設計し、翼の流体力学的な特性を解析する。

プレゼンテーション能力やコミュニケーション能力が向上。

難しい研究分野ですが、たくさん研究しただけ新しい発見や想定外の結果を得られる点がやりがいにつながっています。現在行っている研究の内容が今後、機械設計などの分野で応用され、将来的に自動車の開発技術として活用されればいいなと思っています。
数仲研究室では、研究発表会を毎週実施しており、個々の学生が1週間の研究内容や成果を説明します。私自身、わかりやすく伝えるため、話す速さや声の大きさに気をつけて発表しています。また、研究を計画的に進めるためにメンバーとこまめに話し合うことで、プレゼンテーション能力に加え、コミュニケーション能力、さらに他の学生と協働する能力が向上しました。同時に、文字の大きさを整えたり、見やすいグラフを作成したりといった資料作成の能力も身についたと感じています。課題が見つかった際に、積極的に先生に相談しながら解決方法を探っていったことも研究の進展に役立ちました。

水力発電装置に取り付けた翼のフラッピング運動を実現させる機構を分析することで発電量および発電効率を向上させる。

回流水槽に、水力発電装置を設置する。流速を設定した後に水流を起こして電流・電圧を測定し、発電量を算出してから発電効率を評価する。

お客様に喜んでいただける自動車づくりに力を注ぎたい。

卒業後は、日本の自動車メーカーへ就職することが決まっています。具体的な配属は未定ですが、入社後には自動車の開発や生産技術、品質管理などの多様な仕事に携わることができるので、多くのお客様に喜んでいただける自動車づくりができるように修得した能力を発揮し、業務を頑張りたいと思っています。

福工大工学部は、整備された施設が魅力の一つです。勉強や研究をしやすい環境が、充実した学生生活を支えてくれます。入学後はきっと、自分の興味のある分野を見つけて研究することができるはずです。また、就職活動のサポートが手厚く、毎年達成している高い就職率も注目してほしいポイントです。私も、目指していた自動車業界への就職を実現することができました。機械分野に興味を持っている方は、ぜひ福工大工学部へ来てください。
導電性および絶縁パイプ内を落下する磁石の挙動を可視化する。高速カメラで磁石が落下する過程を撮影し、磁石の傾きや落下時間の計測データから力学的特性を明らかにする。
F棟(インキュベーションスタジオ2)にある、もう一つの研究施設。広い研究スペースでは実験に用いる回流水槽、自動車、鉄道車両の走行レールなどが並んでいる。

TOPICS

◎大学院生の特別研究において、蓄積した研究成果を査読付き学術論文(英文)の形態で発表を行い、約5ヶ月間で、400回以上のダウンロードをカウントしています。

◎三菱重工のグループであるMHI下関エンジニアリング株式会社との共同研究で、お城の耐震システムの特性を振動実験から調べています。