FIT工学部 研究室最前線 電気工学科 遠藤研究室
柔軟鋼板の磁気浮上制御システムの製作
柔らかい鋼板を磁力で安定的に浮かせるシステムの開発。
現在、厚さが0.3 mm以下の柔らかい鋼板を、磁力で浮かせる制御システムの開発に取り組んでいます。たとえば柔らかい鋼板を製造ラインに載せる際にはローラー等で搬送しますが、その際に、接触部分に傷が入ってしまう恐れがあります。この研究は、その可能性を小さくするためのシステム開発を目指すものです。
磁力や磁気と言えば、磁石を思い浮かべる人も多いと思います。しかし普通の磁石を用いると、鋼板が磁石にくっついたままの状態になってしまうので、研究では磁力を電流で調整できる「電磁石」を利用します。この調整が難点で、研究のポイントとなります。また、薄くて柔らかい鋼板は浮上させた際に「たわみ」が生じ、落下につながることがあります。そのために、柔軟鋼板がそのままの形状で浮いた状態を維持できるシステムの開発が必要になってきます。現時点では、鋼板のたわみに関する解析を行っており、将来的に、その解析を基にした制御システムの製作を目指しています。
INTERVIEW
電気分野をもっと知りたいと思い電気工学科を選択。
私は、工業高校の機械科出身です。出身高校の機械科は約80%の人が就職するため、当時の私も就職すると思っていました。しかし、部活に熱心だったため能力に自信のないままの状態で就職することに不安がありました。そう思ったときから、考え始めたのが大学進学でした。また高校では、電気工事士の資格を取得していたのですが私にとっては内容が難しく、理解できない部分が多々ありました。そのため、どうせ進学するならば電気についてもっと知りたいと思い、電気工学科に行こうと決めていました。
福工大を選んだのは、手厚い就職支援はもちろんですが、学習環境が整っていたからです。授業ではアクティブラーニングを推進し、eラーニングなども実施しています。また、単に座学だけでなく実践的に学べる設備も整っています。こうした環境がとても魅力的だったことから、進学先を福工大に決めました。
電気以外の広範な分野も学べる制御系の遠藤研究室を選択。
いずれはメーカーに就職したいと思っていたので、材料力学や振動工学といった電気以外のことについても理解しておく必要があると考えていました。そこで、制御の研究室であれば他分野のことも勉強ができると思い遠藤研究室を選びました。
また、プログラミングを勉強できるというメリットがあったことも、選択した理由です。私自身、学部生時代にプログラミングを学んだものの苦手意識があり、知識不足だったため、プログラミングをもっと学びたいと思っていました。今でこそある程度使いこなすことができていますが、まだ満足はしていません。研究でのプログラムが完成しても、「これで大丈夫かな?」という心配がいつもあります。そのため研究室では先生に何をしたいのかを説明しつつ、ミスがあれば指摘していただき、改善点についてのアドバイスもいただきながら研究を進めています。
論文が学会誌に掲載されたとき実感した研究のやりがい!
遠藤先生は、優しく穏やかな方です。また年齢が近いこともあって、忙しい時でさえも質問等に、気軽に、親身に対応してくださいます。そのためなのか、よく研究室に授業での質問や研究室選びの相談に来る学生も多いですね。
研究のやりがいは、自分の論文が学会誌に掲載された際に実感しました。以前、掲載された論文を親に見せたら喜んでくれて、私自身も嬉しかったことがありました。そのため、次も掲載されるように頑張ろうと意気込んでいます。また、研究室で身に付いた力は、プログラミング能力や材料力学などの知識に加え、文章の構成力や発表の仕方などもあります。授業のレポートと違って、論文は何をどの順番で書くのかを考えて作成しなければなりません。発表も同様で、相手に伝えるためには、伝えたい情報の取捨選択が必要になります。論文作成や学会での発表などの実践機会が多くあったことから、文章を書く力やプレセンテーション力は、かなり鍛えられたのではないかと思っています。あわせて忍耐力、継続する力も向上しました。
世界的な工作機械メーカーへの就職を意識しながら研究に専心。
研究目標は、学会での論文の採択、そして学会賞の受賞です。就職先は特に決めていませんが、最近では機械に関することも勉強しているので、工作機械メーカーの会社説明を聞くようになりました。世界シェアの上位にランクされるメーカーなどを意識しながら、将来の進路をじっくり考えたいと思っています。
福工大は、苦手な科目があってもその差を埋めるような授業が設けられています。授業では数学や物理の基礎から授業が行われ、電気の応用や実際の応用方法について学ぶことができます。また授業では、TAやSAといった先輩による授業中のサポートも取り入れているため、授業中の疑問だけでなく、今後の授業や就職活動について尋ねることもできます。これによって先輩とのつながりができる機会も増え、安心感も大きくなるはずです。ほかにも「FIT-in サポート」という、授業でわからなかった内容を先輩に教えてもらうシステムもあるので、数学や物理の基礎ができていない人でも、自分次第で学力を伸ばせるはずです。
TOPICS
◎遠藤研究室では、先輩の大学院生や同期の学生が、学会での発表で「学会賞」をいただいています。