卒業生の今 質の良い電気を供給し続けるための「給電のプロフェッショナル」へ。

電気工学科

加塩 拓弘

出身高校/鹿児島県立川内商工高等学校
工学部電気工学科/2020年卒業
大学院工学研究科電気工学専攻/2022年修了
勤務先/関西電力送配電株式会社 京都支社電力本部 京都電力所・制御

社会・生活を支える、電力設備の保守・補修業務を担当。

関西電力送配電(株)は、『「あたりまえ」を守り、創る』を経営理念に、電気の安全・安定供給を通して、お客さまと社会のお役に立ち続けることを使命としています。私は現在、京都電力所の「制御」の部門で、送配電線路で発生する異常を検出し、電力の安全・安定供給を維持する設備の保守・補修業務に携わっています。送配電線路は社会・生活の基盤となる重要なインフラ設備。常に、安全・安定でなければなりません。異常があれば直ちに検出し、早期に対処するシステムの構築と維持を私の所属部門が担当しています。これからの目標は、将来的に配属が決まっている「給電」のプロフェッショナルになること。給電とは、質の良い電気を供給し続けるために電気の流れを監視・制御する仕事です。このため現在は積極的に現場に出て設備の構造や動作、システムの構成や機能、さらには社内ルールなどの知識を身に付けているところです。

私が就職先として目指したのは、「電力設備」を扱う企業でした。設備といっても関連企業は様々ですが、設備を運用する仕事にやりがいを感じたため「送配電事業」を選びました。今後、送配電事業では、電力システム改革に伴う再生可能エネルギーの導入、脱炭素化が主流となり、デジタル化も相まってエネルギー事業として変革を求められています。当社はこれらに、「熱意と挑戦」をもって安全・安定供給を図っていくことを明言しており、私も最前線で電力システム改革に携わりたいと考えたことが入社に結びつきました。

大学での学びや様々な活動の中で見つけた将来の目標。

福工大入学当初は、国家資格の「電験三種」を取ることが目標でした。そんな私が、電力設備や給電の仕事に興味を持ったのは大学3年生のとき。電験の資格勉強を進めるなかで電力設備に出会ったことがきっかけです。大学での勉強や国家資格の勉強に励みつつ、さらに課外活動などで潮流計算や周波数調整の技術を学んだことが影響しており、これらの技術を活用する仕事に就きたいと思うようになりました。

また在学中には、九州パワーアカデミーなどが開催する工場見学や発電所見学に参加したこと、海外の学生と協働でモノづくりを行うグローバルPBL(課題解決型学修・カナダのブリティッシュコロンビア大学で実施)にも参加したことなどが思い出されます。このグローバルPBLでは、現地の学生と共に、太陽光パネルと電気二重層キャパシタを用いて効率良く蓄電する装置の開発を競いました。学生時代に具体的な夢はなかったものの、「やらずに後悔しないように行動すること」を意識。好奇心や向上心を大切にして、興味があれば何でもやってみること…こうした積極的な活動も、現在の仕事に関心が向く要因になったと思います。大学院への進学も「自分の興味を突き詰めたい」とか「もっと難しいことに挑戦したい」という意欲から生まれたもので、自分の可能性を大きく広げてくれました。

達成感を覚えるのは、設備異常に迅速に対応して解決したとき。

職場では、電気工学の知識が役立っています。設備の異常を検出する仕組みも、「電気回路理論」に基づいた演算が検出を可能にしています。在学中は「電気エネルギーシステム工学」などの講義で、電力設備分野を学ぶことができましたが、意外なことに同期で電力設備を勉強したことがある人はほとんどいませんでした。私自身、学生時代に身に付けた電力設備の知識は、送配電システム全体を知るうえでとても役立っていることを実感しています。また私は、決して数学も物理も得意ではありませんでしたが、基礎から丁寧に教えてもらったことで学力が向上。今、電気分野の技術的な話を理解する力のベースになっています。

仕事で達成感を覚える瞬間は、設備の異常に迅速に対応して解決し、電力の安全・安定供給に貢献できたときです。業務では、計画的に設備を停止して設備の補修を行うので、時間をかけて入念にプランを練り上げ、作業を行います。一方で、事故や障害等の異常が発生したときは、スピーディかつ適切に対処する必要があります。その際に、身に付けた技能や知識で対処したときには充実感もありますし、より一層「安全・安定供給への使命」を感じます。そこに、この仕事の素晴らしさがあります。

現在、一般的な電気工学の知識の向上を目的に、第1種電気主任技術者の資格勉強にも取り組み中です。学生時代から挑戦している資格ですが、早期に合格したいと意気込んでいます。

後輩へのメッセージ
工学部は、将来の夢や挑戦したいことを探すことができます。中でも電気工学科は、半導体・超電導・磁性体の材料や技術、電気自動車、メカトロニクス、パワーエレクトロニクス、蓄電池や制御技術、プラズマ技術などを広く学べる学科です。また教授とともに、研究・開発の最先端へ飛び込むこともできます。技術者や研究者として活躍したい方は、ぜひ福工大で学んでください。